16話 日常
僕は家に帰った。
「ただいま」
僕がそう言うとアリアが来た。アリアが帰って来ているとは珍しいと思った。
「私が居てガッカリしたか?」
アリアはそんな言葉を使わないのに珍しくそう言った。
「そんな事は無いよ」
僕はアリアの頬を手で触りそう言った。
僕は食事をアリアと取り取り、寝る身支度をし終え、アリアの部屋に入った。
「なあ、アリア。僕がエリナやシエラを可愛がってもお前は気にしないのか?」
「なんで私がそんな事を気にしなければいけないのだ?」
「アリア、お前は可愛くねーな」
アリアは一瞬、悲しい表情を見せた。
「………」
アリアは涙を流した。
「嘘だよ。アリア。アリアは今日も可愛いなあ、さすが俺の嫁」
突然の事で僕は慌て、取り繕った。
「ごめんな、アリア」
「………」
僕とアリアはベッドで寝た。僕は泣いているアリアを抱きしめ頭を撫でて宥めた。
朝になった。
僕は腕をアリアに抱きしめられ、目が覚めた。僕は起きず、そのままでいた。
アリアは目が覚め、起きたのか腕が解けた。アリアは僕の方を見てどこにも行かず、また僕の隣に寝転んでいた。
「………」
アリアは僕の顔を見ているから視線を感じる。
「起きてるか?」
「………」
アリアは僕にそう言った。僕は寝たふりをし、無反応で返した。
「………」
アリアは僕の頬にキスしてきた。
「………」
アリアはまたキスすると何回も僕にキスしてきた。
(やばい…、起きてアリアの反応が見たい)
「………」
僕は無反応で通した。ようやくアリアのキスは終わったようだ。
アリアは起き上がり部屋から出て行った。
あれからまた数日が経った…。
僕はフェンリル女学院高等学校で教鞭を執ることになったのでアリア達に伝えた。
教師になったといっても非常勤講師なのでそんなに授業をすることは無さそうだ。
「ヨミ、起きて!」
エリナが僕の部屋に入り、そう言ったが僕はその部屋にいなかった。
(トイレに行ったのかな)
エリナはそう思い、僕のベッドの側まで歩いて来た。
「また、服脱ぎっぱなし」
僕の私服の白いワイシャツがベッドの側に置かれていた。
「もう、仕方ないんだから」
エリナは洗濯かごに入れるため持って行こうとした。
エリナは何を思ったのか僕のワイシャツの匂いを嗅いだ。
(ユウイチの匂い…。良い匂いがする…)
エリナは僕のワイシャツの匂いを嗅ぎながらベッドに横たわった。
エリナはヨミのワイシャツを鼻に押し当て匂いを嗅いで欲情した。
「あーすっきり、すっきり」
僕はトイレから自分の部屋に戻り、自分の部屋の扉を開けた。
「何してるんだ?エリナ…」
僕のベッドで横たわっているエリナにそう言った。
僕は自分のワイシャツをエリナが嗅いでいる所を目撃した。
「………」
エリナは固まった。
「ああ、悪い」
僕は見てはいけない光景を見てしまったようだ。僕は部屋を出て行った。
朝食を一緒に取り始めたが、エリナは先の事が無かったように振る舞っていたので僕もそれに合わせた。
今日の朝食は日本食だ。温泉旅行したときにルナは「日本の料理」という雑誌を買ったのでルナがその本を見て朝食を作った。
僕はご飯とおかずを十分に頬張ったので味噌汁を飲んだ。
「うげえ、なんだこれ!」
僕は驚き、言葉を発した。
「どうしたんですか?」
ルナは不思議そうに聞いてきた。
「この味噌汁、大根が入っているじゃないか!」
僕はルナにそう言った。
「僕はジャガイモ、ネギ、タマネギ、豆腐だけが入っている味噌汁じゃないとダメなんだよ」
僕はルナにそう訴えた。
「そうですか。わがまま言ってないで食べてください」
ルナはきっぱりとそう言った。
「味噌汁美味しいですよね?」
ルナは食事をしている皆に聞いた。
「「おいしいよ」」
皆が一斉にそう答えた。
「俺、大根苦手なんだよおおおお」
僕は泣き言を言っても誰も助けてはくれなかった。
僕の日常はこうしてまだ続くのだった。




