109話 暗黒火術:火羅万象
僕の後ろの地面の土が黒い文字で書かれた黒色の石版の破片の形となり、黒い石版の欠片が浮かび、パズルのように組み上げられ、何かの古代の文字が書かれた黒色の石版が完成した。黒い石版は禍々しい深く黒いオーラを放っていた。
「おいおいおい、冗談だろ」
神威は焦る。
(今から石版を組み上げても、もう間に合わない。だから既に完成した物を顕現させるしかない)
(出来るのか?そんな荒技を…。やるしかない!!)
「アンタの力借りるぜ!」
神威は手を合わせ、力を込め神威の後ろに既に完成された白い石版を顕現させようとした。
(出来た…)
神威は白い石版を顕現させるのに成功した。
「暗黒火術:火羅万象」
僕は唱えた。僕の周りは黒色の炎で燃えていた。黒い炎は神威に向かって行く。
「古竜固有魔法:白い月の石版!!」
神威も僕と同じタイミングで唱えた。神威の周りにある白い炎が僕に向かって行く。
黒色の炎と白色の炎が打つかり合った。互角と思いきや、僕の黒色の石版の威力に神威の作り出した白色の石版は砕けた。そして神威は後ろに吹き飛ばされた。
「ふざけんな、初手からブッパなす奴があるかよ」
神威は大ダメージを負ったがまだ生きていた。だがそれに追い打つように黒色の火の刃が身体の内側から出現し、身体から血が飛び散った。
「くそっ!火刃を組み込んでいたのかよ!!」
神威は立上がろうとした所、火刃によるダメージを受け、地面に倒れた。
「死の耳飾り:ヌト。能力顕現:全回復」
僕は唱え、神威の傷を癒やした。
「………」
神威は傷が治り立上がった。
「父さん。何故、俺の傷を治した?」
「………」
僕は神威に向けて構えた。
「自分勝手のクソ野郎」
神威は少し笑い、構えた。互いに拳にオーラを纏わせた。
「親父ィィィィィィィィィィィィ」
神威は僕に向かって行った。
「死ねええええええええええええええ」
神威は拳を大振りした。
「!」
「があああっ!!」
僕は大振りされた拳を躱し神威の身体に拳を二発打つけた。
「くくっ」
「ぐっ!!」
神威は大振りした右手の拳を右に薙ぎ払い僕の顔に打つけ、神威は自分の左足を勢いよく僕の右脇腹に打つけた。
「………」
僕は片膝を突いた。どうやら右脇腹に入ったダメージが思った以上に大きかったのだろう。
「これで止めだ!!」
神威は片膝を突いた僕の頭に向かって左の拳を打つけようとした。
「!」
だがしかし神威の攻撃は僕の生み出した風によって防御された。
「何っ!」
僕は神威の腹に拳を打つけ神威を吹き飛ばした。
「油断した…」
神威は立ち上がり僕を睨んだ。
「暗黒渦」
「ぐっ!」
僕は獣の手のように指と指の間を開けた。そして右手で斜め上に振り払う動作をすると透明の風の刃が神威に向かって行き、打つかった。
(何だ、今の攻撃は。初めて見た」
「水景結界」
(取り敢えず様子を見よう)
神威はバリアを張った。
「はああああっ」
僕は左手を下から上に振り上げ、見えない風の斬撃を飛ばした。
(来るっ!!)
神威は最大出力でバリアの強度を上げた。
「なっ!!」
神威の最強強度のバリアは容易に斬り裂けた。
(その攻撃の正体は見えない風の斬撃か!)
(こんな攻撃連発されたら確実に死ぬ)
神威は今の自分の置かれた状況に焦りを感じた。
神威の悪い予感は的中した。
「ヴアアアアアアアアアアアアッッ!!」
僕は咆哮し身体を奇抜に動かし両手で振り払う動作を何度し、見えない無数の風の刃を作り出し神威に放った。見えない風の刃が神威に向かっていく。
「ぐっ!!」
神威は走り青いバリアを張りながら攻撃を避けていた。
神威は僕を中心に回るように走り攻撃の機会を伺った。僕は走る神威を目を離さず、無数の見えない風の斬撃を放った。
「ヴアアアアアアアアアアアアッッ!!」
敏捷い神威に僕は苛立ち咆哮した。僕は攻撃を止めた。
(今だ!!)
神威は僕の隙を狙い首を取ろうとした。だが僕が隙を見せたのは故意であった。
僕は神威を近くまで引きつけた。そして神威が勝ちを確信したその時!!
「黒竜の大嵐」
自分を包み込む黒く冷たい大嵐を作りだした。神威は黒い大嵐に巻き込まれ大ダメージを受け地に伏せた。僕と神威の戦いに決着がついた。




