102話 黒い太陽
とある学校で生徒達は外で魔法の訓練をしていた。教師はおらず生徒達は雑談など好き放題していた。
「遅えじゃねーか。カルナ」
「ああ、悪い」
カルナと言う生徒が授業に遅れてきた。
「こいつを捕まえるのに手間取ってな」
カルナは小さな少女、闇を連れてきていた。学友に見せた。
「闇じゃねーか。よく捕まえたな」
「最近、闇を甚振ってないからストレスが溜まってよ。皆で楽しもうぜ」
カルナの学友はそう言った。
それから少しの時間が経った…。
「!」
その場に男が空から人が降ってきて地に降り立った。
「何だ?お前」
「………」
空から落ちてきた男は闇を抱き締めた。闇の身体は冷たくなっているのを感じた。
「こんなに甚振られて、可哀想に…。間に合わなくてごめん」
男は涙を流していた。
「おい。お前、無視してんじゃねーよ。お前は誰だって言ってるんだよ!」
生徒は男に向けて炎魔法をぶっ放した。
「!」
男は炎魔法に向かって手を向けた。そして炎魔法を掻き消した。
「僕の名前か?聞きたいなら答えるよ。僕は太陽の勇者、ワタルだ」
「!」
生徒達は驚いた。
「太陽の勇者ー??」
「「ワハハハハハハハハハハ」」
生徒達はみんな笑った。
「おっさん、冗談キツいって。偶にいるんだよな、実在の人物になりすます馬鹿が。確かに太陽の勇者は不老だから成り済ますには持って来いだけど、キツすぎるだろ」
「「ワハハハハハハハハハハハ」」
男子生徒がそう言うとまたみんな笑った。
「お前達、馬鹿みたいに笑って人生楽しそうだな」
「あ?何だ??」
ワタルの言葉に男子生徒は苛ついた。
「僕が本物かどうか君たちのショボい魔法で試してみろよ」
ワタルはそう生徒達を煽った。
「言ったな、おっさん。後悔するんじゃねーぞ」
生徒全員、ワタルに向かって魔法を放とうと構えた。
「今、謝るなら許してやっても良いぞ。但し、泣きべそかきながら土下座して謝ればな」
「「アハハハハハハハハハ」」
生徒達は無詠唱で手の前に各々の属性の技を展開した。
「………」
ワタルは手で攻撃を誘うような仕草をした。
「ホント、苛つく奴だな」
「死ねえエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
生徒達は魔法を放った。
ドオオオオオオオオオオオオオン。
みんなで一斉に魔法を放ったので魔法同士が打つかり合い煙が立ち込めた。手応えはあった。
煙は消え、姿が見えた。
「馬鹿な…」
何とワタルは先の攻撃を片手で防いでいた。
「黒い太陽」
ワタルは唱えた。空に見える太陽は黒く染まり、空は赤くなった。
「お前達の実力は分かった。もういいよ」
「太陽勇拳」
ワタルは身を構えると、拳に黄色いオーラが纏った
「お前達は僕が全員殺す」
ワタルは生徒達に向かって走り出した。
「みんな、魔法を放て!」
みんなこの状況はヤバいと感じ取り自分の持っている最強の魔法をワタルに向けて放った。
「効かないだと!!」
ワタルにはどんな魔法でも効かなかった。
ワタルの使った術、黒い太陽は数分の間、自分自身を無敵の状態にする最強の技であった。
「「があああっっ」」
「「ううっ」」
「悪かった、だから見逃してくれ」
「殺さないで」
ワタルは生徒を次々と殺した。生徒の悲鳴が鳴り響いた。
「お前で最後か…」
「やめ、やめてくれ。謝るから」
カルナは近づいてくるワタルの存在に怯え尻餅ついた。
「金か!金なら沢山ある!!」
カルナは空間魔法で沢山の金貨が入った袋を出した。
「そんな物、どうでもいい」
ワタルは金貨の入った袋を蹴り飛ばした。蹴り上げた袋は地に落ち、金貨が散らばった。
「謝れ」
ワタルは呟いた。
「太陽の勇者様。数々の無礼をお許し下さい。大変申し訳ございませんでした」
カルナは土下座し、地面に額を擦りつけた。
「僕じゃない。お前が痛めつけた少女に謝れ」
「…、大変申し訳ございませんでした」
ワタルがそう言うと、カルナは謝った。
「お前。今、何で闇に謝らないといけないんだ?って思ったろ」
ワタルはカルナの髪を握り耳元で囁いた。
「いええ。そんな事、思っていません」
カルナは必死に弁解しようとした。
「もう良いよ、お前」
「そんな、僕は…」
ワタルは携えていた剣でカルナの首を斬った。
ワタルはここにいた生徒全員殺し終えた。
空は赤く太陽は黒く染まっていたが元通りになった。




