11話
「アーノルド様、本当にお疲れ様です」
帰りの馬車の中、パラクが労いの言葉を掛けてくる。
やっとトライデント魔導王国の国土を抜け、ハルメニア王国へ向かう帰路についたところだ。
「本当にな。普段の修練の方が数倍マシであった。だがまぁ、この指輪の有用性もある程度確認できたな」
それに加え、この国を実際に見たことで、その技術、その知識、それらすべて学ぶに値する場であることも確認できたと言える。
他国とは一線を画す技術。
そしてそこに属する騎士達のレベルの高さ。
世界では珍しいとも言える騎士級、聖人級程度の者ならばそこら中——とまではいかないが、あの国に数多くいることは確かであった。
学院という場で果たしてどこまでの情報を開示しているのかは定かではないが、別に学院だけに期待しているわけでもない。
知れないならば奪えばいいだけだ。
もちろんそれは最終手段であるが、アーノルドも自らのためならばもはや手段を選ぶつもりはない。
自分の望むものを手に入れるためならば、修羅にでも悪魔にでも死神にでもなる。
一国が無くなろうともどうでもいい。
ただそれを手にするまでにどれだけの犠牲を生み出すかでしかない。
アーノルドは自身の指に嵌めている赤い宝石のようなものがついた指輪のようなものを顔の前に掲げた。
真ん中に嵌めてある赤い宝石はひび割れ、綺麗に光り輝いていた面影などまったくなく燻んでいる。
指輪自体もなぜいまだアーノルドの指に嵌っているのかと思うほど盛大に亀裂が入り、とても貴族がするような代物ではないだろう。
「自身の実力を隠蔽する魔道具、ですか」
パラクは複雑そうな表情でその指輪を凝視し、自身も嵌めている同じ効果をもった指輪に視線を落とした。
「魔物共には逆効果だが、人間にはそこそこ有用だったな」
魔物は直感で生きる生物だ。
それゆえ、一度自身の方が格上だと思えば執拗なまでに襲いかかってくる個体も多い。
だが、人間はそう単純ではない。
自らの実力を見せること、隠蔽すること、どちらも利のあることだ。
この世界は強くなればなるほど強者特有の力の波動とでも言うべきものによってある程度の力量が読み取れる。
もちろん意図して力を抑えることはできる。
常時それを全開にしているような者などいない。
ならばこの指輪が抑えているものが何かといえば、生物としての格がもつ見えざるオーラのようなものだ。
端的に言えばレベルに起因するものである。
目に見える相手の力量ではなく、人間が無意識のうちに五感で感じる相手の力量、微弱な力の波動とでもいうそれを隠すことができるもの。
どれだけ力の差があろうとも、その者を見れば知覚できる、あの者は強い、あの者は危ない、などといったその者自身が隠すことができぬ人としての形とでもいうもの。
例を挙げるならばアーノルドが初めて公爵に会った教会の場で感じたあの重圧こそがそれにあたるだろう。
公爵自身は実際には何もしていないにも関わらず、アーノルドの人間としての本能が公爵の力量を読み取りその身を怖気づかせた。
ただの言葉が威圧に等しい効果を齎したのである。
無意識に皆が感じ取っているものであるため、それを隠してしまえばボルネイのようにそれだけで油断するような者もいる。
ある意味、戦いでも優位に事を運べる可能性もある。
それを確かめるためにアーノルドは自らが放出させているオーラのようなものを抑える魔道具を造った——といってもそれも所詮はただの練習作のようなものであるが。
今回は敵国ともなりえる国に行くためその隠蔽は必須。
それに適した魔道具であったからついでに造ってみたようなものだ。
だが、適当に造ったにしては成果は上々だった。
本来ならば、体術試験の試験官であったゲイツに対して、試験で出した実力程度ではとてもではないが一撃喰らわせるなど到底できなかっただろう。
それを為せたのは偏に、ゲイツが無意識に感じ取っていたアーノルドの力量から実際の実力を見誤ったからに他ならない。
もしアーノルドが普段通りであったのならば、たとえアーノルドが全力で力を抑えていたとしても、戦いの最中、力が漏れ出てすぐに警戒されることとなっただろう。
ボルネイについては言うまでもない。
「だが欠点は耐久性だな」
指輪自体が小さいためか、強い力を扱うと力を吸収しきれず自壊してしまう。
上位魔法相当の魔法を使ったことにより宝石にヒビが入り、ボルネイ程度を倒そうと力んだだけで指輪自体が耐久限界を迎えた。
もちろんそれまでのゲイツとの戦いなどで蓄積はあっただろうが、その上限があまりにも低すぎる。
実戦で使えば、それこそ開戦と同時に壊れてしまい意味などないに等しいだろう。
アーノルドとて力を弱く見せることによって起こる問題は認識している。
それを上回るほどの利がないならば着けている意味などない。
「あの学院に通っている間、ずっとその指輪をつけるおつもりですか?」
それを悟ってかパラクがそう尋ねてくる。
パラクとコルドーの指輪は壊れていないのでアーノルドの知らない間大きな問題はなかったのだろうが、それでもこの指輪の着用時の使用上限は感覚でわかるのだろう。
この指輪を着けるということは力を抑えるということになるということを。
だからこそアーノルドは即答する。
「いいや、常に着けるつもりはない。お前ももう外しておけ」
アーノルドはもはや使い物にならない自身の指輪を握りつぶした。
改良次第では使う余地はあるが、やはりわざわざ自らを弱く見せるなどというものはアーノルドの性には合わなかった。
誰に憚ることがある、と。
立ちはだかり阻む者がいるというのならば殺せばいいだけだ。
潜伏などには使えるかとも思ったが、そもそも諜報員がそんなものを垂れ流しているというのならばすぐに存在がバレるはずだ。
所詮この指輪が隠しているのはその者を見た時に知覚できるものに過ぎず、見られさえしなければそもそも読み取られる心配はないものなのだ。
それゆえ絶妙に需要を満たしていない。
したがって、成果としては上々でもアーノルドにとっては着ける価値はいまのところないもの。
「だが、少なくとも目的を果たすまではあまり目立たんようにしたいがな」
今回は試験期間ということで各国から数多の者が来ていた為であろうが、まるで蜘蛛の巣のごとく誰も逃さぬとばかりに騎士が配置されていた。
普段どれくらい配置されているのかは知らないが、あれだけの監視の目がある中で力を晒すというものそれはそれで気分が悪いし、監視されることも気分が悪い。
マークされればそれこそ動きにくくなることは必至である。
そういう意味では一般人に擬態できるとも言えるその指輪は有効ではあるのだ。
「人材のスカウトと魔道具の秘密を探るため、ですよね」
「ああ、奴らが魔道具を造れているということは神言文字を少なくとも扱えているということだ。それは既に試験からも確認できた。規則性を見つけたにしろ、何らかの手段を手に入れたにせよ、それを手に入れることも目的の一つだな。あれは考えてどうこうなる言語ではない」
アーノルドは神言文字をある一定数読めるわけであるが、読めるからと理解できているわけではない。
残りの読めない文字はどれだけ分析、解析しようとも読めない。
どれほど考えようとも規則性など見えてこない。
そもそも規則性などというものを考えることすら無意味なのかもしれない。
様々な試行錯誤の結果、あれは人間の手でどうにかできるものではないという結論に落ち着いた。
その結論に至るのは早計かもしれないが、それでも曲がりなりにも神言文字というものの一部を読めるアーノルドと魔術界で最高峰の実力を有するマードリーの二人を以てしても何一つ進むことはなかった。
どちらにせよ時間効率的にもこれ以上は考えるだけ無駄と判断したのだ。
「それで諜報の結果はどうだ?」
最も欲しいのは神言文字とそれが組み込まれている魔道具に関する情報。
ニンデルからの情報は基本的に表面上のものしかない。
商売の傍らで手に入れられる程度のものだからだ。
客から入ってくる情報など所詮は噂話や上辺だけのもの。
それでもないよりはマシだが、色濃い話はそれほど期待できない。
ニンデルは所詮、生粋の商人に過ぎない。
諜報の真似事などさせるつもりはないし、ニンデルにつけている護衛にもそんなことをさせるつもりはない。
そのため今回の諜報で得た情報にはアーノルドも期待している。
パラクが諜報に出ていた者から受け取っていた報告書類をアーノルドへと差し出す。
「今回はまだ軽く探った程度らしいですが、魔道具を初めて造った製作者はやはりヴァレンヌ家で間違いないようですね」
一足先に目を通しているのか、諜報の者に直接聞いたのか、パラクがアーノルドの知りたいであろうことを語った。
「やはりヴァレンヌ家か。どの時期に初めて造られたのかはわかっているか?」
アーノルドは手に持つ書類をめくりながらパラクに尋ねる。
「いえ、それはまだみたいです。七帝家の詳細な歴史を調べることは難しかったらしく、まだ大まかなことしかわかっていないみたいです」
七帝家とは、バルデバラン王が生きていた時代、バルデバラン王に仕えていた七人の臣下達の家門のことである。
魔術回路を司るヴァレンヌ家、魔術を象徴するガルフィード家、剣術の名家バルフォメット家、槍の名家ゲーボルン家、体術の名家ラングレー家、医学の祖ノイマー家、武具作製のドラグル家。
これが現在囁かれているそれぞれの家門の代名詞とも呼ばるものだ。
「七帝家が実質あの国では莫大な権力を有していることに間違いないみたいですね」
「そうか。子に権力が引き継がれるわけではないとも聞いていたがどうやらそれはただの理想論でしかない虚妄であったか」
アーノルドが鼻で笑うが、パラクが控えめに、いえ、とかぶりを振る。
「それは一応は正しいみたいです。ただ結局はその家門の秘伝のようなものはそのまま家門の子孫にしか引き継がれないみたいなので実質それほど他の国と権力体制は変わらないというだけのようで。ただ、身分に関係なく力持つ者が権力を持っているというのは事実みたいなのですが、たとえ七帝家の人間であれ力無い者は冷遇されるか容赦なく排除されるそうです」
パラクは憐れみのような同情のような悲しげな表情を浮かべてそう言うが、アーノルドは淡々と手に持つ書類に目を走らせるだけであった。
それは実力主義社会ではないただの貴族社会でも起こりうることだ。
現にダンケルノ公爵家がそうである。
力無き者は使用人であろうと直系の子息であろうと冷遇され、排斥される。
「それで? 結局、あのブリアント制度というのはどのくらい機能しているんだ?」
「思っていたよりは機能しているようです。まず等級管理局はかなり厳重な審査の末にしか星を出さないらしく、癒着などによる不正は基本的にはないようです」
「基本的に、か」
アーノルドはまるで言葉咎めのようにパラクの言葉を反復した。
だが、それは杞憂ではなかったようで、パラクはその言葉に頷く。
「どうやらここ最近、星の評価に疑いが出て来ている者が数名いるらしく、本当に等級管理局が不正をしていないかということが国でも秘密裏に問題となっているようですね。等級管理局に属する者がそこで不正を働けば公開処刑に処されることが決まっているそうで、それを恐れてか国をいまの体制に改めてからは初期を除いて刑が実行されたという記録はないのは確かみたいです……それも記録が改ざんされていなければ、ですが」
自らの国をよく見せるために汚い部分を隠蔽する。
よくあることだろう。
「それでも等級管理局はあの国の根幹であるのは事実みたいですし、かなり厳格なことも間違いないようです。一種の治外法権のような扱いですね。何人たりとも侵すことができない領域、というような扱いのようです。それにかつてバルデバラン王が不正を厭い今の国を創ったとされているので、あの国の人間は不正には人一倍敏感なようで」
それを聞いたアーノルドはハーメティアのあのボルネイに対する嫌悪具合にも納得した。
ただ単に人間として嫌いなのかと思っていたが、宗教的な思想と変わらぬ嫌悪かと。
崇拝するバルデバラン王が嫌っていたことだからとその思考に染まる国民など神を崇める聖職者共と何も変わらない。
それに不正を厭い厳罰に処すと公言しているとはなんとも可愛らしい考えだと思わず鼻で笑う。
別に何一つ間違ってなどいない。
不正を咎めるのは、人間として、組織として正常な思考だろう。
だが、その程度で不正がなくなるというのなら、誰も苦労などしない。
実際それだけでなくなっているというのならばそこには何かがあるのだろう。
果たしてバルデバラン王が何を思ってあんな国を造ったのか、ますます気になってくるというもの。
「即死刑とされているのは、バルデバラン王が生きていた時代に等級管理局で早速不正を働いた職員と貴族を見せしめのように拷問した上で処刑したのが由来だそうですね」
「妥当だな。国の根幹となるところが腐敗すれば、腐り落ちるのは一瞬だからな」
変遷の時期にそれを許せば、後に待つのは不正の温床になるという結末だけ。
だからこそ、バルデバラン王が国を作り変えた時にその愚昧共を処刑したのは正しい判断だろう。
だが、その効力があるのはバルデバラン王が生きている間だけのはず。
本当にいまのいままで不正をした者がいないなど信じるに値せぬ世迷言の類であった。
「またいまの風潮として同じ星の数であっても武力によって得た星の方が上と見做されているようです。それと星が一○を超えたあたりから星の数が絶対であると考える者が多くなる傾向があるみたいです」
「一○以下の連中はそんなに気にしていないということか?」
「星の数を上げたいという気持ちはほとんどの人達が持っているみたいですが、星が一○以下の人達は自身よりも下の者達をそれほど見下すことは一般的にないそうです。そういう傾向は星が多ければ多いほど多くなり、いわゆる選民思想的な思想を持った横暴な人間もいるのだとか。当然ですが星が多くても全員が全員そうではないみたいで、七帝家で言えばラングレー家やガルフィード家などはかなり民達からの評判もいいみたいです」
「ラングレーにガルフィードか」
奇しくもアーノルドは今回の試験でその名を冠する人物二人と邂逅している。
一人はアーノルドと戦った体術試験官であるまさしく人懐っこそうで闊達そうなゲイツ。
もう一人は冷然なる印象が色濃く頭に残っているハーメティア。
アーノルドはいまのいままでゲイツが七帝家の人間だと思い至っていなかった。
ラングレーという名を聞き、ゲイツを思い浮かべたのだ。
ラングレー家はあまり目立っている家門ではない。
それにゲイツと相対した時はゲイツの名よりもゲイツ本人にしか興味がなかったため名前など聞き流していた。
(七帝家の人間だったか。どうりで強いはずだ)
「どうかしたのですか?」
深く考え込んでいるアーノルドを見て、パラクがそう尋ねてきた。
「いや、なんでもない」
パラクは不思議そうにアーノルドを見ていたが、そこで馬車が大きく揺れたことで体勢を崩す。
トライデント魔導王国の道は整備されていたのでこんなことはないが、一度あの国を出れば、整備されていない悪路などどこにでもある。
アーノルドは乗り心地の悪さに舌打ちをし、不満を溢す。
「しかし……この馬車はどうも慣れんな」
路面が悪い場所を走るとバネが硬いからか体が飛ぶような場面もあり、かなり乗り心地が悪い。
「普段が普段ですからね」
わずかに崩れた体勢を立て直しながらパラクは若干苦笑する。
アーノルドが雇用している職人達に作らせた中に馬車があった。
マードリーは馬車の内部を魔法で改良していたが、今のアーノルドならばあれがどれほど異常なことだったかわかる。
空間の構築など並大抵の力では到底実現不可能なほど難易度が高い。
あの時マードリーはさも簡単であるかのように軽く言っていたが、改めてマードリーという人物の魔法がどれほどすごいのかがここ数年でわかった。
真性の怪物。
魔法という分野に限った話では“才能のない”アーノルドではおそらく一生勝てないだろうと思わされるほどの異質なる者。
だが、魔法で勝てなくとも戦いに勝つことが出来れば問題ない。
といっても、マードリーは別に敵というわけではない。
——だが、誰がいつ敵になるかなど誰にもわからない。
馬車の話に戻ると、その職人達に作らせた馬車はいわば機密技術満載の宝の山となった。
更には最近魔術回路まで仕込んだため、もはやその価値は計り知れないものとなっている。
だが、そんな宝——ある意味では弱点となりうる——をこのトライデント魔導王国に持ってくるわけにはいかなかった。
受験のこの時期にはかなりの人数がこの国に集まる。
その中には当然貴族もおり、自分の馬車を使って来る。
それだけの数の馬車が集まれば当然置いておくところなどない。
なので、貴族の馬車は専用の馬車置き場に預けなければならなくなる。
当然動かすとなるとそこを管理する御者が操縦することになる。
そうなると否が応でもその馬車の違和感に気がつくだろう。
あの国は技術の最先端。
そんなところに技術の結晶体を持ち込む気にはなれなかった。
「こんな馬車でまた一ヶ月以上も移動を強いられるのか……。気が滅入るな」
身体強化を使い、走って帰るという手もなくはないが、それはそれで面倒極まりない。
国境を跨ぐのに貴族が徒歩など要らぬ疑いを掛けられる。
場合によってはそっちの方が時間がかかるだろう。
「いえ、帰りは国境付近の街まで迎えが来るようにしているので二週間ほどになるかと」
パラクはあくまでも真剣な表情でそう言うが、その声に滲み出る歓喜の色は隠せていなかった。
パラクとて言葉には出さないが、この馬車よりもあの馬車の方が遥かに乗り心地がいいということを知っている。
だからこそ国境まで馬車を来るように手配したのであろう。
自国を超えるまでは流石に出来ないにしても、二週間程度で済んだのは慰めにはなる。
だがそれでも——
「あれを知っているとな……」
ここから二週間程度とはいえ、アーノルドの感覚からいえば二週間もこの馬車に乗らなければならないというのはやはり苦行であった。
パラクに感謝は抱きつつもどうしても不満の声が漏れてしまう。
それほどまでにいつも使っていた馬車は至極の逸品なのだ。
内装や快適さはもちろんのこと速度や耐久性など全てにおいて秀でている。
アーノルドは目を閉じあの快適な空間を思い浮かべたが、揺れるせいかだんだんと気分が悪くなってきたので目を開けた。
パラクもアーノルドのそんな様子に乾いた笑みを浮かべるだけだった。
そのとき御者のコルドーからコンコンコンと馬車の部屋が不規則に叩かれる音がした。
襲撃の合図だ。
「来たか」
コルドーに合図される前から既に気配を察知していたアーノルドは煩わしそうに息を吐き、白い鞘に収められている剣と漆黒の如き黒い鞘に収められている剣の二つを手に取った。
「本当に来たんですね。なんと言うか……馬鹿って何処にでも居ますよね」
「何を今更。今までそのような馬鹿どもを何人殺してきたと思っている。いつもと変わらん。さて今回は、能無しの馬鹿か、考えるだけの頭はある馬鹿か。果たしてどちらだろうな」
「能無しでしょう。考える力があるならそもそも襲撃なんて手段を選ばないですよ」
「違いない」
アーノルドとパラクはそう話しながらクツクツと笑い合っていた。
一時期、襲撃など日常茶飯事であったがゆえにそこに気負いのようなものなど一切ない。
パラクもアーノルドも年齢の割に、もう既に生死を賭けた戦いなど山ほど経験しているのだから。




