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2話

(何か暖かなものに包まれている感じがする)

 すると何だか騒がしい声が聞こえてきた。


(あれ?そういや私は何してたんだっけ・・・)


「$%&#%$&#%&$|#$&’#」

(なんだ?何を言っているんだ?目も開けられないし、体に力も入らないな)


 そして一気に寒くなったような気がした。


「$%#$%|#$&$%#!」

(寒い!窓を開けたのか?閉めてくれ!)


 そう思っていると暖かいお湯のようなものに入れられた。

(ん?そうか・・・。思い出した。私は確か車に轢かれて・・・。そうか命は助かったのか・・・だが、体に全く力が入らないし目も開けられない・・・。お金もないから入院費など払えない・・・。こんな状態で生きていても・・・)

「$#%$|#¥$」

(そういえば言葉もわからないな・・・。脳が損傷しているのかもしれないな・・・。そして眠い・・・これ以上はむり・・・だ・・・)


 次に目が覚めると、薄く目を開けることができた。

(周りに落ちないように柵がしてあるのか?動くこともできないというのに・・・。ん?誰か来たな)


「#$%¥$#」

(看護師か?英語、中国語、ドイツ語ならわかるが何語なのだろうか?そしてなんだその哺乳瓶のような物は!植物状態の人間が飲めるわけなかろう!それに看護師のくせに何だそのメイド服のようなものは!私が知らない間に世界がそこまで変わったのか?んぶっ!・・・ゴクゴクゴク・・・・・・・・・ゲップ)


 まるで赤子のように飲んだ後に背中をトントンとされゲップさせられた。

(何だこいつは?!まるで赤子のように・・・)

 そこで私は気がついた。

 自分の体がかなり小さく、手も赤子のようにふっくらした小さな手だった。


(!!ん?なんだこれは?これは私なのか?!私はどうなって・・・し・・・ま・・・)

 混乱した頭とは裏腹に強烈な眠気が襲ってきてそのまま眠りについてしまった。



 結局その後も自分の置かれた状況がわからず数ヶ月が過ぎていった。

 だが、周囲の状況からなんとなく自分はもう前の自分ではなく、ここも日本ではないということは理解できた。

 妻がよく読んでいたライトノベルに出てくる転生?なるものなのではないかと思うようになってきた。

 私は全く興味がなかったので妻が楽しそうに話しているのを聞いていただけだったが・・・


 そして数ヶ月もすると少し声を発することができるようになった

「あー・・・あー・・・うー・・・」

「#$%&#」


 そうすると近くで待機しているメイドらしき人が何か話しかけてくる。

(しかし私がもし赤ちゃんになっているのだとしたら私の母は何をしているのだろうか。まだ一度も会ったことがないのだが。それともこの人が私の母親なのだろうか)


(だがもしこれが転生ならば私は今度こそ間違えない!!勉強だけどれだけできようと力がなければ淘汰されるだけ!今世では力を手に入れてやる!!・・・そういえば、転生ものでは妻がよく神様にまず会ってチートなるものを貰うと言っていたが、そんなものなかったな。だがそんなものが無くてもこの世界で力を手に入れることは変わらん!)

 そう思って動けない体であるが、今できることをしようと手をにぎにぎしたが


(ダメだ。すぐに疲れてしまう・・・。鍛えるのはもう少し大きくな・・・て・・・か・・・ら・・・)


 それから数年後、3歳となった私は何とか言葉がわかるようになっていた。

 そして私の名前はアーノルド・ダンケルノというらしい。

 そしてなんとダンケルノ家は公爵家であり私はその家の三男であるのだそうだ。

 公爵家といえば王族に次ぐ地位である。

 生まれながらにほとんど頂点に近い地位を手に入れたことで内心かなり喜んでいた。

 だが、未だに母親にも父親にも会ったことがないのが気がかりだった。


 その後、1年間の間に様々なことを教えられた。

 この国の地理や歴史、算術に他国の言語等、とても3歳児がやるとは思えない内容であるが、私は誰にも負けない力を手に入れるのが目的であるので好都合だった。

 誰にも負けない力には当然勉学も含まれている。

 どれだけ力や立場が強かろうと頭が悪ければ、いや世の中というものを知らなければ簡単に騙され淘汰されてしまうのだ。

 そして聞けば、この世界では魔法というものがあり、魔物も存在し騎士というものも存在しているのだとか。

 それを聞き、私は物理的な力でも今世では強くなると心に決めた。

 どれだけ地位があろうが圧倒的な力の前には平伏さないといけないだろうと思ったからだ。

 この公爵家に生まれたことを感謝し私は次の目標を立てた


 1.誰にも負けない知性を手に入れる

 2.誰にも屈しない圧倒的な武力を手に入れる


 まだ漠然とした目標ではあるが、今世では2度とあのような惨めな人生を送りたくないのでぬるま湯に浸かって暮らしていくつもりはなかった。

 時間は有限なので、この時期から勉学を教えてくれるのはありがたかった。

 そしてさりげなく武術や魔法の鍛錬をしたいと言ったのだが5歳になってからだと困った顔で言われてしまった。

 仕方がないので知識だけでも、と思い書庫で魔法関連の本を探したが1冊もなかった。

 元々前世でも勉強は苦手ではなかったし、この体が優秀なのか子供だから吸収が早いのか4歳になる頃にはもう初等部卒業レベルまで学び終わってしまった。

 そして5歳になる頃までに中等部卒業レベルまで終わったのである。

 しかし私は浮かれていたのだろう。

 出る杭は打たれる、ということを忘れていたのだ。

 あれほど自戒したというのに・・・


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