《真の逆転劇》
《真の逆転劇》
「エネルギー充塡120%。
二射目、行くぞ」
「「「おお」」」
考えている内に発射準備ができてしまう。
どうする……
煉也の指がトリガーにかかる。
そのとき俺の脳裏に閃きが訪れた。
『そうだ、バレなきゃいいのだ』
俺は異世界で新たな力を手に入れた。
通常の人間の戦闘力を10とするなら、カラフルスーツの力は戦闘力を+100とし、合計110となる。
しかし、仮面ドライバーへの変身は戦闘力を100倍にし、結果戦闘力1000となって単身での戦闘力はカラフルレンジャーを大きく上回る。
そして異世界で俺は、カラフルブルーの力に仮面ドライバーZ3の力を上乗せすることに成功している。
10+100を更に100倍にする。戦闘力11000。
この状態で俺は、通常の1000倍以上の早さで動くことができ、体感時間は1秒が約18分となる。
人が認識できるスピードではない。
カラフルキャノンを撃った瞬間に変身し、仲間の認識速度以上で敵を殲滅する。これしかない。
「ショット」
煉也が引き金を引くと同時に、俺は小さい声で呟いた。
「変身、Z3」
時間が止まる。あのときの感覚が蘇る。
カラフルキャノンから荷粒子のビームがゆっくりと伸びていく。
俺は全力で駆けた。
手当たり次第に敵を殴る・蹴る・叩く。
「Z3パンチ、Z3キック、Z3チョップ」
敵はゆっくりとした時間の中で圧倒的な力を加えられる。
まだだ、まだ加速せねば!
「Z3反転キック、Z3マッハパンチ、Z3トルネードチョップ」
俺は光を追いかけて敵を穿った。
0.1秒後、全ての敵に一撃を加え、カラフルキャノンの発射態勢にある仲間の元に戻ると、元の姿勢を維持してZ3の変身を解く。
この間、体感時間およそ2分だ。
時間の流れが元に戻る。
俺に遅れたカラフルキャノンの荷粒子ビームが拡散して敵に当たる。俺が一撃を加えた敵たちに……
ドン、ドバッ、ドバン
一撃目のときとは明らかに違う音が鳴り響く。
視界が晴れたとき、敵は全て粉みじんとなり、あたりは血しぶきが舞っていた。
「やった、やったぞ」
煉也が喜ぶ。
俺はほっとして肩の力を抜いた。
そのとき、後ろから声がかかる。
「ねえ、ワタル。
なんかさっき一瞬消えなかった?」
俺の真後ろにいたカラフルピンクのジュンだ。
まさか、あの一瞬を認識したのか。
俺は焦る。
「まあ、そんなわけないわよね」
ジュンは常識で考えて自らの感覚を否定したようだ。良かった。
「ああ、そんなわけないさ。ははは」
俺は笑ってごまかした。
こうして、悪の帝国ジャゲドン帝国は、その記念すべき発足日に全滅した。
このことが、今まで交互に現れていた仮面ドライバーと戦隊ヒーローの歴史にどう影響し、それが日本社会をどう変えるのか。
このときの俺は知るよしもない。
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