《解散パーティー》
《解散パーティー》
会場に着くとそこは多くの人でごった返していた。
全色戦隊カラフルレンジャーは総勢514名のカラフル戦士が所属する史上最大規模の戦隊ヒーローだ。
メインカラーのレッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンクを筆頭に、マイナーカラーの戦士が覚えきれないほど在籍している。日本各地を守るにはメインカラーの5人だけでは足りなかったのだから仕方がない。
各県庁所在地と政令市、北海道の支庁所在地に支部を持ち、それぞれの支部に3人から10人の戦士が在籍し、ジャアクドーと戦ってきた。
そして先日、敵の親玉をメインカラーである俺たちが倒したことにより、めでたくカラフルレンジャーはお役御免となったわけだ。
今日の解散パーティーはカラフルレンジャー本部のトレーニングルームだ。最大で500人を超える俺たちがトレーニングできるスペースだけあって、大きな体育館を彷彿とさせる広さがある。
今日はここに立食形式で飲食物が持ち込まれ、総司令の挨拶の後は無礼講、思い思いに仲間と思い出を語り、食べて飲む。
俺は恋人となったユウの面倒を見ていたこともあり、少し遅れて会場に入ったため、総司令の挨拶は終わっており、皆は既に飲み始めていた。
「遅いぞ、ワタル。
どこに行っていたんだ」
俺に声をかけてきたのはメインカラーのチームリーダー、カラフルレッドこと煉也だ。
「悪い、ちょっとした事件に巻き込まれてきた」
俺は冗談めかして答えるが、実際は異世界召喚に巻き込まれてきたのだからちょっとした事件どころではない。
「そうか、まあ飲め」
軽く流されて、煉也は俺にワイングラスを手渡してくる。
「ああ、いただこう」
俺はグラスを受け取ると煉也のグラスと軽くぶつける。
「「乾杯」」
二人して一気にグラスのワインを空けた。
「ところでワタル、後からメインカラーの俺たちは挨拶があるらしいぞ」
煉也がありがたくない情報を教えてくれる。
俺は大勢の前でしゃべるのは苦手なのだ。
「うえ、それはありがたいな」
皮肉交じりに言って、顔をしかめる。
「まあそう言うな。
俺たちは敵の総大将を仕留めた英雄様と言うことになっているからな」
「ああ、あきらめて何か言うさ。
まあ、しらふじゃやってられないな」
「そうそう、だから飲め」
煉也はそう言うと、ワインをたくさんのせたトレーを押しているボーイから新しいグラスを二つ受け取り俺に渡してくる。
「そうさせてもらうさ」
俺は素直にグラスを受け取ると2杯目に口をつけた。
そんなこんなで、仲間や同僚たちと歓談していたときにそれは起こった。
いきなりライトが落ちて暗闇となる。
「何ら?
イベントか??」
かなり酔いが回ったらしい煉也の声だけが聞こえる。
ドガン
爆発音がして爆風らしき衝撃が俺たちを襲う。
「何事だ!」
あちこちから怒声が聞こえるなか、突然視界が回復する。
「動くな、貴様たちは完全に包囲されている」
そこには、パーティー会場の出入り口や壁際にずらりと並んだ謎の戦闘員が銃を構えてこちらを狙っていた。