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三日目:美瑛町図書館

「彼は重くない」私が誰にともなく言った。「わたしの弟だ」


『初秋』ロバート・B・パーカー 菊池光訳

 Suicaで改札を抜けようとしたが、センサーがない。女性の駅員さんに、ICカードは使えないと言われた。切符を買って改札を抜けると、プラットフォームへと向かった。


 旭川駅から美瑛駅へは富良野線で三十分程である。しかし例によって本数に限りがある。


 美瑛駅舎は石造りの堅牢な建物で、中々趣がある。案内板によると、地元産の美瑛軟石を使用しているという。


 例によって図書館が開館するまで時間があったので、スマホで写真を撮って暇を潰した。一眼レフのバッテリーは充電したままで入れ忘れていた。


 かつてこの町に存在していた明徳中学校に、金子圭一校長と中山岳教頭が勤務していたことがある。その中学校の資料が、図書館にあるはずだった。


 開館とほぼ同時に図書館に潜入すると、早速検索してみた。

 職員の女性に依頼すると、資料を出してくれた。


 明徳中学校関連の資料は、全て同じフォルダに入っていた。必要ない資料もあったが、フォルダごと貸してくれた。


 こちらの閲覧室では、Wi-fiも使用可能だった。

 『明徳小学校開校90周年記念・併置校11周年記念誌』には、若かりし頃の金子圭一校長の写真が掲載されている。当時三年生の担任だったらしい。寄せ書きでは、生徒さんや先生方が素直にお祝いの言葉を書き残している。金子圭一校長の自筆によるお言葉も残されていた。


 明徳中学校は平成29年3月に閉校し、69年の歴史に幕を閉じた。その時にガックンは教頭を務めていた。恐らく、記念式典やら記念誌の編集のために駆けずり回っていたに違いない。閉校記念誌では、若かりし頃の金子校長やガックンの写真を見ることが出来る。


 更に閉校記念として制作された映像も残されている。


 最初はPCに案内されたが、いつまで経っても再生が始まらない。どうもアプリが対応していなかったらしい。男性職員が二人してPCをいじった挙句に、映像視聴覚ブースの方に案内してもらった。


 そこでは、金子校長の写真とともに、動くガックンを見ることが出来た。マツケンサンバでバックダンサーをしていた。中々の衝撃映像である。


 こちらの図書館では、利用者自身で複写が出来るという。その方が手っ取り早くて私としても助かる。コピー機で複写すると、女性職員の方に確認してもらい、コピー代を払った。内容に関して特に何も言われなかった。


 映像で見るガックンは、あまり幸せそうには見えない。人生において何か問題を抱えていたのかもしれない。


 最後に、金子校長のありがたいお言葉を紹介しよう。


『90年の歴史は重いが、私も重い』金子圭一

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