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献花と調査のための旭川紀行:旭川女子中学生いじめ凍死事件を追って  作者: 朝木深水
『娘の遺体は凍っていた』から事件を読み解く
16/33

薬に関する謎

僕を凍えさせる毒の塩水が、そなたを酔わせる葡萄酒だ。


『平調曲』コクトー 堀口大学訳

     『コクトー詩集』新潮文庫より

お母様

『自閉スペクトラム症の薬の影響でウトウトしてしまった時』

『イライラを抑える軽いお薬を毎日一錠だけ飲んで、』


爽彩さんの死体検案書

『薬物血中濃度は治療域』


 爽彩さんは、自閉スペクトラム症の治療のために、小学生の頃から薬を服用していたらしい。

 自閉スペクトラム症の場合は、それ専用の薬というのは、どうも存在していないらしい。抗精神病薬を、症状に合わせて処方することが多いようだ。


 今のところ、薬の種類までは判明していない。


 その一方で、死体検案書に医師が『統合失調症』と誤った病名を記載していたことが報道され問題となっている。


文春オンライン

『服用していたPTSDの薬から道警が病名を推測して伝えたものを、医師がそのまま書いた』


 この記述から推測すると、PTSDと統合失調症に共通する薬ということになる。

 少々ググってみると、PTSDに対して処方される薬というのは、基本的にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)がメインらしい。薬剤名では『パロキセチン』(パキシルが有名)『セルトラリン』『フルオキセチン』といったところだ。


 しかし、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)のガイドには、『慎重に服用すべき場合』として『脳の器質的障害または統合失調症の素因のある人』とある。

 統合失調症にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が処方されることは、まず考えにくい。


 ここで疑問が生じる。

 爽彩さんが服用していたのがSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)だとすれば、何故、警察官が統合失調症と判断したのか。そして何故、医師がそれを追認したのか。


 警察官が誤認したとしても、医師がそれに気づかなければ、医師に責任がある。

 警察官が意図的にミスリードして、医師に強要したとすれば、警察官に責任がある。

 警察官が意図的にミスリードして、医師がそれに気づかなければ、双方に責任がある。

 医師は、ただ病名を聞いただけで、薬の種類までは知らなかった可能性もあるが、それはそれで問題ではある。薬物血中濃度の検査結果で、ある程度は把握出来るとは思う。


 或いは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)ではなくて、他の薬が処方されていた可能性もある。しかし、統合失調症の治療薬をPTSD(心的外傷後ストレス障)に対して処方するとは考えにくい。それはそれで、担当医の説明を求める必要が生じるだろう。


 そもそも十四歳の女児に、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を処方するケースがあるのか、ちょっとわかりません。


 その統合失調症の治療薬も多岐に渡るが、その中に少々気になるものを発見した。

 『リスペドリン』(リスパダール)、『アリピプラゾール』(エビリファイ)、は、統合失調症の治療薬として一般的なものだが、自閉スペクトラム症に対しても処方されるらしい。


 爽彩さんは小学生の頃から、自閉スペクトラム症の治療薬を服用していた。

 これらの薬であれば、警察官と医師が、統合失調症と誤認することも、充分有り得ることになる。

 そうなると、文春オンラインの『服用していたPTSDの薬から道警が病名を推測して伝えたものを、医師がそのまま書いた』という記述に誤りがあった可能性もある。この場合、確認した病院側が『PTSDの薬』と述べたのであろう。


 結局のところ、爽彩さんは何の薬を服用していたのか。

 自閉スペクトラム症の薬に加えてPTSDの薬を服用していたのか。

 従来の薬から新たな薬に切り替えたのか。

 新たな『PTSDの薬』というのが、そもそも存在していないのか。


 また警察官は、どこから薬の情報を得たのか。

 爽彩さん本人が所持していたのか。

 検査結果によるものか。

 御遺族から聞いたのか。


 御遺族側からの抗議を受けて、死体検案書は修正されているという。既に詳細は把握されているのであろう。我々がこれ以上、追求する必要もないのかもしれない。


 しかし、詳細を知らない我々としては、陰謀論も払拭出来ないのである。

 プライバシーの問題もあるが、この点は、今一度検証が必要ではないだろうか。

 ちょっと文春さんあたりに、再び取材して頂きたいところである。

 この章では、薬と医療に関して書いています。筆者は専門家ではないので、内容に関して一切責任は持てません。悪しからず。

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