部活、それは青春!! 〜水影碧〜
ある日の放課後のこと。
「なぁ。二人は部活、何部入ってんの?」
「そういう水影君は何部なの?」
桜海が聞き返してきた。
「俺は男バレ。福音高校男子バレー部。ポジションは、オポジット(OP)か、ウイングスパイカー(WS)」
すると、意外にも箏峰が食いついてきた。
「それって、超攻撃型選手じゃん。両利きなの?」
「ああ。だからレフトからでも、ライトからでも、利き手でスパイクを打てるぜ!」
「へぇ〜。そうなんだ。バレーのことはいまいち分かんないや。ま、それは置いといて。部活の話に戻しましょう。私が入っているのは陸上部。種目は短距離と走り高跳び」
「雪ちゃんは凄いからなぁ…」
「そういう柚だって、去年の夏のインターハイで、全国ベストエイトじゃない」
「でも、ほとんど先輩のお陰だよー」
「でも一年の中でただ一人、その先輩達とコートに入って一緒に戦ったんだから、十分凄いじゃん」
夏のインターハイ……? 去年、ベストエイト……俺の頭の中で何かがよぎった。
「お前女バレだったのか!!!!」
「うん。私は女子バレー部。基本的に、ポジションはセッター(S)。ねぇ、天月くんは何部なの?」
「俺はバスケ部。結構ハードだけど、中々面白いよ? バスケ。小学生の頃から水影に一緒にバスケやろうって誘ってんだけど、「あんなドリブルは俺にはできない」とか、「手の器用さはバレーでも必要だろ?」って言っても、「使う部分や使い方が違うからどのみち無理」って言われたりしてさ。結局、小学校から、俺はバスケ部、水影はバレー部を続けてるんだよ」
「成るほど。もしや水影くん、頑固なタイプかな?」
桜海がいじってくるのに反抗しながら、俺は話を進めた。
「今週末空いてる? 皆でアキバとか池袋のメイトとか行かない?」
満場一致で賛成だった。その後、天月と桜海は、「軍資金を集める」とか言ってバイトに行った。
俺と箏峰は、バレー部の練習があったので、着替えてから新体(新体育館)に向かった。
「雪月先生……何故ここに……?」
「ああ、僕は今年から男子バレー部と女子バレー部兼任の顧問になったから、よろしく」
「何で、兼任なんですか?」
「女子からの人気が高いし、コーチは居ても事務的な内容と選手のサポートをこなす顧問がいないからと、梓川先生と日南先生が仰ったのでね」
二人ともぽかーんとしていた。
何だろう。何故ここまでこの先生とは縁があるのであろうか。きっと箏峰もそう思っているに違いない。
不意に、箏峰が提案してきた。
「ねぇ、私セッターやるから、スパイク打ってくんない?」
「何で?」
「私のトスの感想が聞きたいから」
「オーケー」
そして、箏峰の上げたトスでスパイクを打ってみた。打点、スピード共に、申し分無いくらい正確だった。
箏峰に感想を伝えると、いつも通りアップから入って練習を始めた。雪月先生は、事務的な内容をこなす顧問にしては随分いろんなことを見てくれた。バレーのことだけではなくて、部活メンバーとの人間関係とか、普段の生活とか、勉強のこととか。後、作戦の見直しや、今の攻撃スタイルが通じなかった時の打開策などなど。
しかし、梓川先生は相変わらずスパルタだ。今日もサーブ、レシーブ、スパイクを50本ずつ。後は各々ポジションごとによる練習。
6時半まで部活をして、クタクタになりながら俺は帰宅した。