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運命を変えた出会い 〜水影碧〜

俺は、都内(新宿駅近辺)にある私立の高校に通う普通の高校生である。


高校二年の春、始業式。クラス替えがあり、俺のクラスは二年一組となった。小学校からの親友だった、天月渚(あまつきなぎさ)と同じクラスで俺は嬉しくて、始業式の日に投稿して早々に天月と話しまくった。天月は優しくて、頭が良かった。自慢じゃないが、俺も周りから比べたら頭が良かったが、渚にはいつも一歩前を行かれていた。


「渚、今年はクラスメイトとして、宜しくな!」

「おう、こっちこそ!」


始業式の後、クラスの係決めやら担任の自己紹介やらがあった。担任の先生は雪月百合(ゆづきゆり)先生。名前からは想像できないが、男の先生で、なんと僕らの二つ年上の十九歳なんだそうだ。春休みの間にこのあたりに越してきて、仕事が無いからうちの学校の校長先生に教師をやらせろと直談判したそうだ。うちの校長は物好きなことで有名だから、多分条件付きか何かで許可したんだろう。


雪月先生は銀髪で、容姿端麗で声が高く、透き通っていた。女子達には人気が高そうだ。


「それじゃあ、係、委員会決めを行うから、これから配るプリントに記載してある一覧表からやりたい係、もしくは委員会を選んで、五つくらいの候補を決めてくれ」


それから、やりたいものが被ったらじゃんけんをし、負けたら一周してからまた挑むという方式だ。


俺は、最後まで負け続け、「先生の世話係」とかいうふざけた係をやるハメになった。何でも、先生から荷物運びやらなにやらを手伝わされるのだそうだ。一人ではなく、「箏峰柚葉(ことみねゆずは)」というクラスの女子と二人でその係をすることになった。

世話係になったことを嫌そうにしていると、先生から、いかにもわざとらしい、にんまりとした笑顔が向けられて少しイラッとした。

次は、クラスメイトの自己紹介。そして、先生への質問へと移った。

先生の担当科目は現代文と生物という文系なのか理系なのか分からない何とも曖昧な2科目らしいが、基本的に何でも教えられるから、担当教科に構わず、何でも聞いてほしいとのことだ。

一通りの作業を終え終礼を行い下校となったが、俺と箏峰は残され、先生の手伝いをさせられた。

今年度入って早々、最悪だ。なぜ俺がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ……!そんな思いを胸に係の仕事をこなした。

手伝いが終わり、教室には俺と箏峰の二人だけになった。


「なぁ、お前って去年は何組に居たんだ?」


「一組だけど、どうして?」


「いや、あんま見ない顔だなぁと思って」


そういえば、女子と話すのは久しぶりな気がする。

そう思っていると、心なしか少し照れ臭くなる。


「そう?」


「うん」


箏峰は、ストレートにしていた自分の髪を、ポニーテールに結び直してから、俺に言った。


「それはそうと、雪月先生どう思う?」


「少しイラッとするけどかっこよくて良さそうな先生」


「始業式早々、先生と何かあったの?」


「係が決まったときに、にんまりとした顔で見つめられた…」


箏峰はフフフと笑っていた。

そんな他愛のない話をしながら、俺と箏峰は二人で帰った。箏峰は御茶ノ水に住んでいるらしい。結構なお金持ちだな。因みに俺はというと、埼玉の川口に住んでいる。

そのため、箏峰とは新宿駅で別れることになった。

俺は新宿駅の構内をいつも通り進んで、埼京線のホームに来た。そこから、赤羽駅まで行き、そこで京浜東北線に乗り換えてから川口駅までゆらゆらと電車に揺られボーッとしながら帰った。


「ただいまー」


「おかえり。始業式なのに、随分遅かったじゃない」


母親に問い詰められる。

帰るのが遅いと、よく学校帰りにカラオケにでも行っているのではないかと言われるが、正直な所、学校帰りに遊びに行くやつの気が知れない。部活ならともかく。


(かかり)があって」


「始業式そうそういきなり?それで何係になったの?」


「言いたくない」


言えるものか。

()()()なんて口が裂けても言いたくない。


「それはそうと、新しい担任の先生はどうなの?」


「雪月百合先生。悪い先生ではないと思うよ」


「それにしては、随分と嫌そうじゃない」


そりゃ、初対面であんなことされりゃ腹も立つよな。


「まぁね」


俺は自分の部屋に戻ってから、ラノベの続きを読んだ。以前から気になっていた作品で、読み始めていたらあっという間に夕方になってしまっていた。

母さんは、台所で夕飯の支度をしており、二階建てのこの家にほんのりとしたカレーの匂いが漂ってきた。

その日は、夕飯を食べて風呂に入った後、ベッドで横になったらそのまま寝てしまった。

翌日の朝。


「ふわぁ〜。母さんおはよう」


母さんは、今日も朝早くから起きて、朝食を作ってくれている。朝はあまり時間がないから、朝食を済ませたら歯を磨いて直ぐに学校に向かった。

駅に着くまでの間で、天月と合った。


「天月、昨日帰ってから何してた?」


「バスケの自主練と春アニメの捜索。今季面白そうなのいっぱいあるよ」


「俺は今、絶賛『ご注文はバニーガール先輩ですか?』をラノベとアニメの両方で追ってるから、それが一段落ついたら見る事にするよ」


学校には二人で向かった。というよりいつもそうしている。天月とは小学校からの仲だった。いつも、こんな他愛のない話で盛り上がっている。




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