アイビス
現実世界〜H-17の部屋にて…
そこはH-17の部屋…というよりまるでリビングの様な広さがある部屋で一人の少女がスマホを取り出し、ネイルへと連絡を取る。
「いやー、今回の敵は大した事なかったね」
黒髪に緑色の瞳の少女はそう言ってソファーヘと仰向きにダイブした。
『今回のは大会とかではありませんからね…』
「まぁ、そうなんだけどさ」と言いながらソファーの上で足をバタバタさせるH-17。
しばらく雑談している中、スマホからピコン、とメールが来たことを知らせる音が鳴る。
「ん?メール?誰からだろ…えーと、《アイビス》?」
『…ヒイナさんにも来たんですか?』
どうやら、私の他にネイルにも来たらしい。
「内容は…」
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アイビス:
あ、どうも。私はあなた方二人が現在プレイしている、《バトル:フロンティア》の最高責任者…いわゆる社長?だよ!!
基本的にこっち側からプレイヤーに対して接触したりしないんだけどね?
ただ!今回なんと、君達二人のプレイヤー…まぁ、つまりH-17さんとネイルさんにはなんと私が新しく開発したゲームのテストプレイヤーとしての権利を与えたいと思っています!!
わーいパチパチパチ!!!
…だけど、それにともなって1つだけルールがあるんだ…
それはゲームの内容については公表しない事…これだけ守ってくれればいいよ!!
それと、もうメモリーは送ったから、明日には届くと思うからね?
それじゃ!!良きゲームライフを…!!
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「…これ拒否権ないじゃんか…というか本物?」
『新手の詐欺…ではないと思います』
「へー、なんで?」
ネイルによると、アイビスの個人保護システムに抜け穴はなく、外部による不正アクセスは事実上不可能らしい。
『…ヒイナさんは、《水猫さん》という人を知ってますか?』
「そりゃあ、もちろん知ってるよ。」
なんでも、今まで誰も侵入出来なかった様々なゲーム会社の難攻不落のセキュリティを掻い潜ってサーバーにアクセスし、まだ発売されていないゲームをプレイして評価を付けてまわってる最強ハッカー…それが《水猫さん》というプレイヤーだ。
『でも、不思議なことに《水猫さん》はアイビス製のゲームに関しては発売してから評価を付けてるんですよ』
「あー、そういえば」
『…私、その人と少し交流があって…』
ネイルの話によると、《水猫さん》はいつもゲーム会社ヘ侵入している様にアイビスヘ入ろうとした時、自身のスマホにメールが来たらしい。
《アイリス:評価を付けてくれるのは嬉しいけど、勝手な事をしないで欲しいな?…[・・・さん]?水猫さんの本名》
「え?何その急なホラー展開…」
『この話の怖いところはですね…実は《水猫さん》がアイビスに侵入した瞬間にスマホが鳴ったんですよ?』
そうして、しばらくネイルとの会話が続いた…。
アイビスの正体は、レク………クッ!!頭が!!