第6話 異世界ウリエーラへ
それからフォルテ様も一緒に晩御飯を食べ、フォルテ様は地球の神々と打ち合わせへ、俺達は異世界の買える物の本を読みながら眠りについた。
そして翌日。
少し寝坊したけれども、志穂とフォルテ様と本屋へ。
店員さんにこんなに買うんですか?みたいな顔されたのを軽く流し、家に帰って来た。
そこから、昨日志穂と相談した通りの物を次々と購入していき、最後に仕上げとお願いだ。
「フォルテ様、お願いがあるのですが…」
「ん?なんだい?」
「この使わなかったお金、約100億円。定期的に俺達が育った施設に寄付して欲しいんですが…」
「あーなるほどね!残ったお金は何に使うんだろうと思ってたけどそういう事かい!任せておいてよ!しっかり寄付しとくよ!」
「ありがとうございます」
良かった良かった。それだけが心残りだったからな。これで気持ち良く旅立てる。
ちなみに、俺の総資産は7兆弱あった。さすがの俺もこれから先これ以上ブルジョワな事はしないだろう。
一応異世界への持ち物の軽い内訳はこれだ。
魔法の鞄(鞄の見た目以上に入るやつ。容量は体育館ぐらい)
魔法のテント(見た目以上に中が広いやつ。広さは10畳の部屋が二つに風呂、トイレ、キッチンがついてる)
魔法のテントで使う、家具や日用品
魔物の卵五つ(生まれてくる子の種族、スキルは選ばせてもらった。勿論お金がかかった。札束ビンタ最高)
俺達二人と子供達の分の専用武器
異世界の事が分かる本や正確な地図、魔法の本等を大量
地球の本や飲食物を大量
異世界の身分証(所謂、冒険者ギルドのギルドカードだ。最初からCランクスタートにしてくれている。これは子供の分もある)
タバコを大量(俺と志穂、両方ヘビースモーカーなんだ。このストックが無くなる前に自分で作ってみせる)
etc
こんな感じ。
魔法のテントはまだウリエーラでは見つかってないらしい。難易度が高いダンジョンでは結構出るみたいやけども。
だから使うのは身内のみと言う事で許可してもらった。恐らく最初の何年間かは街とか入れないだろうしね。人化できないんだもの。
「さてと!準備できたかな?もう戻れないよ?」
志穂と2人で頷く。
「「大丈夫です」」
「じゃあ、まずは未開の地ね」
そう言った瞬間景色が変わった。
目の前には只々、草原。後ろはとても深そうな森が見える。
「ここがまず君達のご要望の未開の島だね。地図で見て貰ったから分かるようにウリエーラはの世界の広さは地球の半分程。そしてこの島の大きさは地球て言うとオーストラリアぐらいはある。島というよりもはや大陸だね。大体ここが中心点だけど覚えたかな?」
「ありがとうございます。探索は自分達で転移魔法が使える様になった時の楽しみにしています!」
「そうかいそうかい。なら、次の転移場所に飛ぶよ?」
そう言って次に転移してもらった場所は森の中だった。
「ここが今、ウリエーラで一番難しいと言われてるダンジョンの2層だね。一応バレない様に森の中にしたけど君達が来る時は十分に注意する事!探索者と鉢合わせるかもしれないし急に魔物が出てくるかもしれないからね!」
「わかりました!ありがとうございます!」
「じゃあ次で、最後だね!」
最後は先程とあまり変わらない森の中だった。
「ここが、街から徒歩で五日程離れた森の中だね。少し離れた所にひらけた場所があるからそこにテントを建てるといい。テントには隠蔽結界がついてるからドラゴンクラスじゃないと見つからないよ」
ここが当面の拠点となる場所。街に近付くにつれて魔物が弱くなり、離れるにつれて強くなる。最初は弱い所でレベルを上げていき、徐々に奥の方の魔物と戦い、最後はダンジョンに挑戦しようという事だ。
何年かかるか分からない計画だけどね。
「じゃあ、最後に仕上げだね。心の準備はいいかな?」
そう、これで最後。
種族の変化とフォルテ様に名前を貰う。
魔物にとって名前とは、とても大切な事らしい。進化の際にも関わってくるし、普通は親から貰うそうだが俺達はこの世界に親はいないので。贅沢にも神様に名前を貰うわけだ。
「じゃあ、まずは金光君からだ。君の名前は【アスラ】だよ」
その瞬間、体が光に覆われて縮んでいく。皮膚が緑色に染まり、体全体的に細くなる。おぉ。視界が低い!120cmぐらいか?なんかとても新鮮だ!慣れるのに時間がかかりそうだ。
「どう?顔はやっぱりブサイク?」
正直に気になってた事を志穂に聞いてみる。
「あれ?思ってたより100倍マシ!好きな人補正入ってるかもしれないけど!」
「そうだね。ゴブリンにしてはイケメン過ぎるくらいだ。これはメスゴブリンがほっとかないね」
二人してそんな事を言いながら笑っている。
ふむぅ。地球にいた頃も顔立ちは整っている自覚はあったから素直に嬉しい。
「それは良かった。じゃあ志穂も期待できるね!最初は狐状態だろうけども」
志穂もかなり顔立ちは整っているし、スタイルも良い。身長は170cm超えてるしな。可愛いより美しいタイプの女性だ。
「じゃあ、次は秋菜君だね。君の名前は【クオン】だよ」
志穂の体が光に覆われていき、これまたどんどん縮んでいく。最終的には真っ白というより、銀色の様な体毛の全長1m程の狐だった。
「クハッ。可愛いだと。可愛い志穂も、じゃなくてクオンが新鮮すぎる。もふもふ失礼してよろしいですかー!!」
「それは、また後でね!それより、フォルテ様にお礼言わなきゃ!」
「そうだった。フォルテ様。二人の名付けありがとうございます。名前に恥じない様にこれから頑張っていきます」
「ありがとうございます。これからはアスラとクオンとしてウリエーラで精一杯頑張っていきますね!」
「こちらこそ、この世界に来てくれてありがとう!二人にはまだまだ先だけど、落ちた人の事もお願いしたしね!とりあえずこの世界に慣れるまでは安全第一!決して油断しない様にね!」
「はい。肝に命じておきます」
「あの!もうフォルテ様に会えないんですか?」
クオンナイス!それは俺も聞きたかったんだ!
「教会に来てお祈りしてくれたら時間があえば会えるよ!この世界は僕の一神教だからね。どこの街の教会でも大丈夫な筈だよ!たまーに意味のわからない宗教が湧いてくるけどね」
なるほど。それは良かった。
「じゃあそろそろ僕は行くね!何度も言うけど安全第一だよ!それじゃ、またね!ばいばーい!」
わりとあっさりフォルテ様が消えていった。まぁ神様やし忙しいに決まってるよな。
「じゃあ行こうか、クオン?」
「そうね、アスラ」
「「テントを建てに!!」」
説明が長くてすみません。
ようやく異世界に来ました。