子供に戻りたいわけじゃない
昔読んだ漫画はとても面白かった。
主人公が努力の末にラスボスを倒すのを、手に汗握りながら読んでいた。
昔遊んだゲームはとても面白かった。
ダンジョンの奥や隠された扉、それらはゲームの枠組みを超えた面白さを伝えてくれた。
全てが新鮮で、全に興味を持っていた。
でも、歳を重ねる事にそれらは失われていた。
何もかもが退屈で、汚い妄想に囚われた。
そんな自分を大人になったと言い訳する。
自称大人が口々に子供に戻りたいという。
でも私は、
子供に戻りたいわけじゃない。
何もかも忘れたいんじゃない。
もう一度、あの胸の高まりを...
もう一度、あの全能感を...
全ての物事に刺激を受ける、あの感覚を味わいたいのだ。