第三十一話 収穫した物を食べる!後編
「もう当分、唐揚げはいいや……」
最後の唐揚げが乗ったトレーを見ながら、私はそう呟いた。
揚げるのだけで、ものすごい時間が掛かってしまったけど、これだけあれは当分は持ちそうだ。
もう乗らない! と、いう限界まで唐揚げを乗せたトレーは、どんどんアイテムボックスにしまっていった。冷めても美味しいけど、やっぱり温かい物を食べて欲しいしね。
バージルは鶏皮唐揚げが気に入ったらしく、ビールが欲しいとぼやいている。
「メロねぇ、最初のミソが一番好き!」
「ああ、ミトも美味かったな」
「これ以上食べると晩御飯食べれなくなっちゃうから、ご飯の時にしようね」
「はーい!」
「そうだな」
後はキャベツとニンジンの甘酢漬けでいいかな。口がさっぱりする物が欲しくなるだろうし。
圧倒的に野菜不足だけど、今回はパーティーって事らしいし目を瞑ろう。
アスパラも明日の料理に使おうかな。レタスは酢漬けとか唐揚げと一緒に出そう。
最後の唐揚げをアイテムボックスにしまいながら、そう考える。
お米も一応研いで炊飯器にセットしておいた。もしかしたら食べるかもしれないし。足りなくなる事はないと思うけど。
キャベツとニンジンを洗って、スライサーで千切りにしていく。
砂糖と酢を同量混ぜ合わせて、そこにゴマ油と焙煎白ゴマ、風味付け程度の生姜スライスと糸唐辛子を入れて電子レンジにかける。30~40秒くらい加熱して、砂糖が溶けるようにかき回したら粗熱を取る為に放置しておいた。
耐熱皿にキャベツとニンジンの千切りを乗せたら、ラップをかけて30秒加熱して、少ししんなりとさせる。味も染みやすいし、時短になるのでこうするけど、シャキシャキの食感を楽しみたいなら、加熱はしなくても大丈夫だ。
調味料が冷めたら、ジッパー付き保存袋に野菜と調味料を入れて冷蔵庫に寝かすだけ。
このままでも食べられるけど、少し待てばしっかりと味が染みるので晩御飯まで置いておく。
レタスもお皿に盛る時に千切ればいいかな。
そう考えて、洗い物だけ先にしてしまう。
ふと、1人で海に向かったケイタさんが気になったので、口を開く。
「そう言えば、ケイタさん海に何しに行ったんだろうね?」
「どうだろうな。突拍子もない行動が多いから想像がつかないな……」
苦笑いを浮かべたバージルは、仕方ないと言いたげな表情でそう答えてくれる。
うーん、何か苦労を感じる笑顔だ……。
その顔に私も思わず苦笑いをしてしまった。
「メロディちゃん、机拭いて食器とコップ用意しておこっか」
「うん、じゃあメロは机拭くね!」
「じゃあ俺は食器を出すかな」
「はーい、お願いします!」
2人にお願いすると、私はレタスを冷蔵庫から取り出して、包丁を入れる。
多分、そろそろグレンが「腹減った!」って戻ってくる頃だしなぁ。グレンと一緒のテオくんも戻ってくるし、ジェラルドもそろそろ戻ってくると思う。
食べやすい大きさにきったレタスをザルに入れて水で洗っていると、ガチャガチャという音と共にリビングの扉が開いてグレンとテオくん、ジェラルドが帰って来た。
「ただいま~!」
「チエ、腹減った」
「戻りました」
「おかえりなさい」
グレンの言葉が想像通りで、思わず口角が上がってしまうのを堪える。
いつもの事だけど、ご飯楽しみにしてくれてるんだろうな。
そう思うと、笑顔になるのを抑えきれなかった。
「おかえり。問題は無かったか?」
「プルメリアが外で魚を山ほど獲ってる以外は特にありませんね」
「そんなにいっぱい獲ってるんだ……」
「テオも、グレン兄ちゃんも、ジェラルド兄ちゃんも、ちゃんと手を洗わないとだめだよ!」
「そうですね、先に手を洗ってきます」
「俺も行ってくるわ」
「待って! ぼくも行く!」
腰に手を当てながら、ジェラルドとグレンにそういうメロディちゃん。
小さなお母さんみたいでつい笑ってしまう。微笑ましい。きっと、お母さんからそう言って育てられたんだろうな。
お皿にレタスを持って、上にどんどん唐揚げを乗せていく。
こっちは醤油、これは味噌、あっちが塩……。どんどんお皿に盛っていくと、大きな山が3つ出来上がった。これだけあれば満足できる筈!
結構な重さになってしまったので、バージルに唐揚げの移動をお願いして、冷蔵庫からケーキと野菜の甘酢漬けを取り出した。
テーブルの上がいっぱいになっちゃうし、ケーキは先に切り分けた方がいいかな?
でも大きいのがそのままの方がパーティーっぽいかな?
そう思ったので、ケーキは切り分けずにテーブルに置くことにして、メロディちゃんにお任せする。
「皆が揃ったらケーキを切り分けようね」
「うん!」
嬉しそうにケーキを抱えてテーブルまで歩くメロディちゃんを見て、可愛さのあまり抱きしめたくなった。これからケーキくらいどれだけでも作ってあげるからね……。
小鉢に酢漬けを盛り付けながら、シチューを温める。
クリームシチューは焦がすと味が変わってしまうので、慎重にかき混ぜながら弱火で温めていく。
シチューが温まる頃には、何故か全身ずぶ濡れになったケイタさんと、満足気なプルメリアが一緒に帰って来た。
ご飯を器によそっていた私は、あまりの状態にびっくりして手が止まる。
なんでそんな事に! 海に落ちたのかな?
「ごめんチエさん、シャワー貸して……」
「ケイタさん、何でそんなびしょびしょに……」
「ちょっと海に潜ってて……」
「早くお風呂に入ってきて下さい!」
何故、この春先に海に潜ろうと思ったんだろう。本当に行動が突飛だ……。
バージルに一発叩かれたケイタさんは、震えながらお風呂場に向かって歩いて行った。
その後ろを、バスタオルを持ったバージルが床を拭きながら追いかけて行く。
お母さんかな……?
後は飲み物かな。コーラやサイダーなどの炭酸飲料から、オレンジやアップルなどの果汁飲料、ビール、果実酒などを用意する。ケイタさんは分からないけど、バージル以外はお酒にそんなに強くないし、お酒の量は少なめにしておいた。
また二日酔いになったら、手が足りなくなってしまう。
温めたシチューと野菜の酢漬けをテーブルに並べていると、手洗いを終えたグレン、ジェラルド、テオくんが戻って来た。
「ケイタさんがお風呂にいるから、もうちょっとだけ待ってね」
「そっか~。お腹すいたけどもうちょっと我慢する!」
「あいつ待たなくていいだろ」
「子供でも我慢してるんですから我慢して下さい。チエさん、これはボアの肉ですか?」
「そうそう、ジェラルドとバージルが獲ってくらたお肉だよ」
「美味しそうですね」
そんな話しながら、皆は自分の席に腰掛けた。
グレンは我慢の限界が近いのか、唐揚げの匂いを嗅いでいる。
その途端に、グレンの方からお腹が鳴る音がしたので、私は思わず噴き出してしまう。
「お腹減ってるんだね。もうちょっと待ってね」
「待つけどよ……すげぇいい匂いすっから……」
ちょっと恥ずかしそうに、下唇を噛みながらグレンがそう言って顔を背ける。
少しすると、溜息を吐きながらバージルとケイタさんがリビングに戻ってきた。ケイタさんはシャワーだけ浴びたのか寝巻に着替えている。
バージルは呆れ顔をしているけど、ケイタさんは気に留めた様子もなく、自分の席についた。
「すまない、待たせたな」
「ごめんね~! 海でちょっと狩りしててさ。身体冷えちゃった」
「んじゃバージルも来たし食うか」
「無視はいじめだからね? ねぇグレン、知ってる?」
「じゃあ食べよっか」
「お腹すいた~!」
皆揃ったところで、各々好きな物をお皿に取っていく。取りはするけど、まだ食べないみたいだ。
私は飲みたい物を聞きながら、皆に飲み物を配っていった。
バージルはビール、ジェラルドはスパークリングワイン、グレンはコーラ、ケイタさんもビール、メロディちゃんはオレンジジュース、テオくんはコーラ、私はサイダーを手に取って周りを見渡す。
プルメリアの餌入れには、こんもりと唐揚げの山が出来ていて、プルメリアはお座りをしながら私を見つめている。
「じゃあ、チエ。何か一言」
「え!? 私!?」
いきなりのバージルからそう言われて、私はびっくりしてバージルを見た。
乾杯の口上みたいなやつ? それとも今後の抱負?
何を言えばいいんだろう……。
少しだけ悩んで、当たり障りのない言葉を紡ぐ事にした。
「皆のお陰で、ここでたくさんの収穫が出来ました! また次回もいっぱい採れるように頑張りましょう! じゃあ、乾杯!」
私の言葉の後に、皆は「乾杯!」と続いて、飲み物に口を付ける。
これで良かったのかな。突っ込みが入らないからいいよね?
イスに座ってサイダーを口に含みながら、私は困ったように周りを見渡した。
皆気にする事もなく、料理を次々と口に放り込んでいくのに安心して、私も唐揚げに手を伸ばす。
まだ温かい唐揚げは、噛んだ瞬間肉汁が溢れて来た。
「ん~! 美味しい!」
思わず自画自賛してしまう。
でも本当に美味しいからしょうがないよね。唐揚げだもんね。美味しいに決まってるよね。
幸せを感じながら唐揚げを咀嚼していると、皆も口角があがって目を細めていた。
「ぼく、からあげ大好き! チエ姉ちゃん、美味しいよ!」
「チエさん」
「はい? どうしました、ケイタさん」
「結婚してくブヘッ!!」
「え、あの……ごめんなさい……」
言葉の途中で、思いっきりバージルに殴られるケイタさん。殴ったバージルは何も無かったかのように私に話しかけてきた。
えー、それでいいんだ……! 痛そうに頭を抱えているケイタさんを横目で見ながら、私はバージルの話を聞く。
「チエ、唐揚げ本当に美味いぞ。ありがとう」
「ううん、喜んでもらえたなら良かった」
「この鶏皮唐揚げが、本当に酒に合う」
「確かにこれはラガーに合いそうですね」
「だろ?」
「唐揚げと白米がうんめぇ……! ずっと食ってられる」
「嬉しいけど、野菜も食べようね」
唐揚げと白米とコーラを、ずっとローテーションしているグレンにそう声を掛ける。
一応頷きはしたけど、きっと話半分なんだろうな。そう思うくらい、一心不乱に唐揚げだけを食べ続けていた。
そこまで喜んでくれるのは嬉しいけど。
今回は、ジェラルドもグレンもお酒は飲まないらしい。明日に響くからね……。
少し口の中が油っぽくなってきたら、酢漬けを食べる。口がさっぱりして食が進むので、やっぱり作っておいて良かったな。そう思いながら、シチューを口に運ぶ。イノシシの脂のお陰か、少し甘味を感じた。
「この収穫のご馳走は、最初の収穫だけでするのかな?」
「そうだな。だから豊穣祭は……明後日か。それで、収穫祭は秋に行われるな」
「あー、もう豊穣祭か……」
私の質問に答えたバージルが、豊穣祭が明後日だと言うと、グレンが小さな声でそう呟く。
あまり嬉しくなさそうな感じがしたので、不思議に思ってグレンを見た。
お祭りとか好きそうだけどな……。
けれど、村で仲間外れにされていたと言っていた事を思い出して、嫌な思い出しかないのかな、と思った。あまり突っ込んで訊くのも悪いかなぁ。
そう思って遠慮したのに、バージルは気にせずに突っ込んでいった。
「グレンは豊穣祭に出かけたりしたのか?」
「いや、行った事ねぇ」
「なら、明後日の収穫祭に出かけてみたらいいんじゃないのか?」
「家畜放っとけねぇだろ」
「ここにいいのが居るだろ?」
いい笑顔でそう言うと、ケイタさんの肩を掴んで前に押し出すバージル。
生贄にされたケイタさんは、目を見開いている。そうだよね、農作業しないって言ってたし……。
どうしたものかと悩んでいると、豊穣祭の話を聞いたメロディちゃんとテオくんが嬉しそうに顔を綻ばせている事に気付いた。
これはあれかな。豊穣祭に行きたいんだろうなぁと察してしまう。
ヘレトピアのお祭りがどうなってるか分からないけど、祭りがあるとすれば国境のプレミリューになるのかな? でもこの子達を連れてお祭りに行けるんだろうか。
「僕も家畜は多少見れるので、出掛けても問題ありませんよ」
「1人で行ってもしゃあねぇだろ……」
「ねぇバージル」
「ん? どうした、チエ」
「私も、メロディちゃんとテオくんを連れてお祭りに行っちゃ駄目かな?」
私が恐る恐るそう言うと、一瞬きょとんとした表情を浮かべたバージルは、意味を理解したのか優しい手付きで私の頭を撫でてくれた。
「ああ。俺も一緒に行こう」
「ありがとう、バージル!」
「お祭りに行ってもいいの!?」
「やったー! ありがとうバージル兄ちゃん!」
「そっか、チエさんは豊穣祭は初めてだもんなぁ」
納得したように頷くケイタさんの声は、はしゃぐメロディちゃんとテオくんの言葉に掻き消される。
日本に居た頃は、親子連れを見ると辛くなってしまうで、全然行く気にならなかったけど、不思議だな。きっと、皆が居るから行ってみたくなったんだろうな。
そう思うと、私はヘレトピアに来てから少しは成長出来ているのかもしれない。
「では、僕とケイタさんは留守番ですね」
「え、俺も行きたいんだけど……」
「人手が足りないので駄目です」
「はい……」
「グレンとバージルは、チエさんとメロ、テオから目を離さないようにお願いしますね」
「祭り、か……」
腕組みをしていたグレンだけど、少しだけ口元が綻んでいる。
本当は行ってみたかったのかもしれない。グレン、嬉しそうだなぁ。その表情に、私もつられて笑みを浮かべてしまう。
「ほら、祭りに連れてってやるから、今はご飯をちゃんと食べなさい」
「はーい!」
「ぼくもちゃんと食べる!」
「野菜もしっかり食べるんだぞ」
テオくんにそう言うと、バージルも目を細めながら食事を続けた。
今のなんか、親子みたいな会話でいいな。お父さんと息子みたいな……。
そこまで考えてハッとする。変な事を考えそうになる頭を振りかぶっていると、バージルが不思議そうに私を見ていた。
「チエ、どうかしたのか?」
「ううん、何でもない! そろそろケーキ切ろっか」
「これもサイバーモールで買ったやつ?」
「メロとチエ姉ちゃんで作ったんだよ!」
「え!? 売り物かと思ったんだけど! すごいな!」
「ありがとう! ちょっと包丁持ってくるね」
席を立ってキッチンに向かうと、大きめの包丁を手に取ってからケーキに向かう。
8等分でもいいかな? プルメリアも食べれるだろうか。
7等分は難しかったので8等分にしたケーキを、皆のお皿に乗せていった。
生クリームはダレてないし、イチゴの水分でぐちょぐちょにもなってなくて安心する。
「すっげぇ、ショートケーキ! 貴族も食ってねぇべ!」
「これも作ったんですか? 凄いですね……」
「メロディちゃんがいっぱい手伝ってくれたからね! 美味しそうなのが出来たんだ」
「そうなのか。チエ、メロディありがとな」
「ありがとう! いっぱい食べてね!」
「おう! 任しとけ!」
一番最初にケーキにかぶりついたのは、作ったメロディちゃんだった。
見た事もないような、蕩けた笑顔を浮かべながら、ショートケーキを食べている。
そんなメロディちゃんを見て、我慢できなくなったのか、テオくんもケーキを食べ始めた。
大きな口を開けてケーキを食べたテオくんも、見た事ないくらい目を見開いた後、一心不乱に口へケーキを運んでいく。
「美味しい! お姉ちゃんもチエ姉ちゃんもすごい!!」
「良かった。今度はテオくんも一緒に作ろうね」
「うん!」
美味しい美味しいと、皆が笑顔を浮かべてケーキを食べているのを眺める。
砂糖も高級だし、真っ白な小麦もあまり無いのかもしれない。
喜んでくれて嬉しいな。もっと美味しい物をいっぱい食べて欲しい。
バージルは、ケーキを小さくフォークで切り分けながら、1口ずつ噛みしめるように食べていた。
甘い物は好きじゃ無かったのかな? と、少し心配になったけど、よく見るととても嬉しそうな顔をしている事に気付いた。ちょっと分かりにくいけど。
あぁ、私、バージルが喜んでるって分かっただけで、こんなに幸せな気持ちになるんだ。
胸が締め付けられるけど、甘い余韻を残すその痛みと、お腹の中から広がっていく温かい物を感じながら、私は目を閉じる。
考えなくちゃいけない事、これからも山積みだし、いつも一緒には居られないかも知れないけど、この想いは大事にしたいな。
叶うとは思ってないから、せめて同じ時間を幸せに過ごしたい。
そう考えて、目を開いた。
「そう言えば、明後日に祭りがあるなら、明日にはプレミリューに向かった方がいいのかな?」
「そうだな。早朝から向かって、途中で野宿して当日にプレミリューって事になるだろうな」
「メロ、野宿初めて!」
「ぼくも! お手伝いがんばるね!」
「じゃあ、メロディちゃんとテオくんの野営具も用意した方がいいね」
「おう。片付けは俺がすっから、チエは見繕ってやってくれ」
グレンにそう言われて、私は頷く。
きっと、一緒に出掛ける友人なんかも居なかったであろうグレンが、嬉しそうに私達を見ている。
こんなに嬉しそうだし、皆で一緒に豊穣祭に出掛けられて良かったな。
畑と家畜が居るから、ジェラルドとケイタさんは行けないけど……。
お土産をいっぱい買って来なくちゃ!
せっかく、お留守番を買って出てくれたんだし、お土産くらい用意したいな。
そんな事を思いながら、私はケーキを食べ終えたお皿にフォークを置く。
皆も大体食べ終わっていて、お腹を擦ったり欠伸をしたりしていた。
ご飯食べた後、消化に血液持っていかれるから眠くなるよね……。
「ほら、寝る前に順番にお風呂に入って下さいね」
10kg調理した唐揚げは、もう既に殆ど残っていないので、満足して貰えたのかもしれない。
シチューがちょっと残ってるから、明日のお昼ご飯用にレンジでチンするだけの状態にしたドリア擬きでも作ってから出かけるかな。
「ごめん、チエさん。唐揚げアイテムボックスにしまったわ……」
「え、残るより全然! そんなに気に入ってもらえたなら良かった」
「美味しすぎて……ごめんね! 代わりに皿洗うから!」
肘をテーブルに突いたケイタさんが、顔を覆い隠しながらそう言った。
なんの告白だろうか、そう思ったけど、そんなに唐揚げを気に入ってくれたなら嬉しい。
謝らなくていいのにな。けど、私も最初の頃に皆にたくさん謝ってた気がする。
そう考えると、日本人に刻み込まれた謝罪のDNAでもあるのかもしれないなぁ。
食べ終えた食器をみんなで片付けて、入浴の順番を決める為にじゃんけんをした。
今回は、ケイタさんがお皿を洗ってくれるので、必然的にケイタさんは最後尾になるけど。
じゃんけんで1番に入れる事になったので、見た事の無い異国の祭りに胸を躍らせながら、私はメロディちゃんを連れて浴室に向かった。




