第二十六話 拾った子供
「ジェラルド、一体何があったのかな……」
熱にうなされるジェラルドと子供2人。
ソファとローテーブルをサンルームに移動させて、リビングに布団を3組用意した。そこに、着替えさせたジェラルドと子供たちを寝かせた。
体温は40.0℃近くまで上がっているのに、まだ震えが止まっていない。呼吸すらも辛そうにずっと震えている。
子供は男の子と女の子で、どちらもエルフだった。
服を着替えさせた時に、胸に焼き印が押されているのに気付く。こんな小さな子達も奴隷として売られてしまうんだ……。そう思うと気分が沈む。
ジェラルドはこの子達を奴隷商から助けてた? 魔物から助けてた?
どれだけ考えても、今はきっと分からないので看病を続ける。それしか私には出来ない。寒そうに震える子供達の手を握り、肩を擦り続ける。
ケイタさんの鑑定で症状が風邪と出ていたらしいので、風邪薬を飲ませててあげたいけど、意識が無い相手に飲ませるのが怖くて躊躇していた。
今気管とかに入ったら本当に危ない気がする……。
看病の合間に、皆で順番にお風呂に入って濡れた身体を温めた。
ケイタさんはジェットバスに泣いて喜んでいたので、買っておいて良かったと思う。
「こいつら、ジェラルドの子供か?」
「え、どうなんだろう? そうなのかな?」
グレンの言葉に、私は首を傾げた。そんな話は聞いた事ないけどそうなんだろうか。
お母さん以外の家族構成は聞いてなかったなぁと思いだしていると、横からバージルとケイタさんが話に加わる。
「村での知り合いとかじゃないのか?」
「流石に俺の鑑定でも関係までは見れないからなぁ」
「ピィ……」
「大丈夫だよプルメリア。ジェラルドは元気になるからね」
心配そうにジェラルドに寄り添っているプルメリア。少しでも温めようとしているのか、ぴったりとくっついている。
身体の震えが止まらないとクーリングも出来ない。こんなに熱が出たら身体の節々だって痛い筈だ。
子供達の閉じた目からぽろりと零れた涙を拭う。
全員寝不足なので、順番に仮眠を取りながら3人の看病を続けようと話していると、ジェラルドと子供達の身体の震えが治まり始めた。今度は熱を下げる為に汗をかくから暑くなるかなと、暖炉の火を少し小さくして、額に冷却ジェルシートを貼り付ける。
タオルで皆の汗を拭きながら、女の子の額にかかった髪の毛を指で払うと、少し意識が戻ったのか、女の子はうっすらと目を開けた。
怖がらせないようにしないと。そう思って、私は優しく微笑む。
「もう大丈夫だよ。お薬とお水飲めるかな?」
私の問いかけに、小さく頷く女の子。
身体を支えて、ストロー付きのマグカップで薬とスポーツドリンクを飲んでもらう。触れた身体はまだ熱を持っていて、触っているだけで暑いと感じてしまう程だ。
力が入らないのか手が震えていたため、女の子の手の上から私の手を添えて、飲むのを手伝う。
コップ一杯を勢いよく飲み干した女の子は、辛そうにしながらも笑顔を浮かべてくれた。
「甘くておいしい……貴族様みたい……。お姉ちゃん、ありがとう……」
「まだいっぱいあるから、欲しくなったらいつでも言ってね」
「うん……」
起きている体力が無いのか、女の子はすぐに眠ってしまう。少しする男の子も意識が戻ったので、薬をしっかり飲んでもらった。しっかりと飲み込んだのを確認してから、もう一度横になってもらう。
「あり、がとう……」
「いいんだよ。まだ眠ってていいからね」
すぐに目を閉じた男の子。私の手をしっかりと握って離れる事はない。その子の頭を数回撫でてから、皆に休んで貰おうと声を掛ける事にした。
皆はお腹がすいたのか、探索前に渡したおにぎりを取り出して食べている。
プルメリアはバージルからおにぎりを貰ったのか、ジェラルドの横でしっかりと飲み込んでいた。
もう結構いい時間だし、お腹もすくよね。気が回らなかったな。そう思いながら、私は口を開く。
「それ食べたら、先に休んでていいよ。私もうちょっと看病してるね」
「チエさんだって疲れてるんでねぇの?」
「何か、気を張り過ぎたのか眠気が無くなっちゃって……」
苦笑いをしながらそう言う私に、納得した様子で頷くケイタさん。グレンは目がしょぼしょぼしているのか、何度も瞬きを繰り返しているし、バージルは寝不足からかこめかみを押さえていた。
私が戦ったのはゴブリンを1匹撃っただけだし、きっと走り回ったり戦ったりしてた皆の方が疲れも酷いんだろうな。
そう思って、アイテムボックスから毛布を取り出して皆に配る。
「何かあれば起こすから、ね?」
「悪ィ、限界だわ……2時間経ったら起こしてくれ、家畜の世話してくる」
「うん、分かった。おやすみグレン」
サンルームに毛布を持って向かったグレンは、ソファの上で横になった。少しすると寝息が聞こえて来たので、本当に眠かったんだろうな、と口元が笑ってしてしまう。
グレンが寝付いたのを確認した後に周りを見渡すと、壁を背に座り込んでいたバージルも、こめかみを押さえながら立ち上がって私の方へ近づいてきた。
「チエ、本当に悪いんだが先に休む。何かあったら悲鳴をあげてくれ」
「それ絶対、対俺を想定してるよね? おかしくない?」
「大丈夫だよ、おやすみバージル」
悲鳴をあげる事が起きる事はないと思うので、少し笑ってしまう。心配性だなぁ。
バージルはそれだけ言うと、グレンの転がったソファまで歩いて行き、ソファの側面を背もたれにして休み始めた。座ったまま寝たら余計疲れそうだけど、基礎体力の違いなのかな……。
そんな事を考えながら、ケイタさんを見る。ケイタさんも私を見ていたので、視線がぶつかってお互い無言で見つめ合う事になってしまう。
「無自覚かぁ……」
「え、何がですか?」
「いや、独り言。チエさんさ、あのクソ鹿と息子に会ったんだよね?」
ケイタさんにそう言われて、一瞬何の事だろう?と疑問に思い、すぐにグースヒルシュとか言う鹿の神様とオリーヴァーさんの事かと思い出した。
こっくりと頷いてから、首を捻る。クソ鹿ってどういう事だろう?
「会いましたよ。ケイタさんも会ったんですよね?」
「うん、俺も会ってスキル貰ったんだけどさ。オリーヴァーの奴、ナギの木に話しかけろって言ってた?」
「何かあればナギの木に触って話しかけて下さいって言ってましたね。それがどうかしたんですか?」
「何てぇのかな……。あいつ等、あんま信用しない方がいいよ」
「え?」
ケイタさんのその言葉に首を傾げる。鹿の態度はどうかと思ったけど、オリーヴァーさんの態度はそこまで悪くなかったし、私の事心配してくれてる感じがあったのに。ケイタさんの時はそうじゃなかったのかな?
でも、その忠告をしてくれたケイタさんは、さっきの戦闘中の比ではない程真面目な顔をしていた。
真剣な眼差しに背筋がぞわりとする。
ケイタさんが怖いんじゃなくて、何か嫌な感じがするからだ。
私が考え込むように黙り込んでしまうと、真剣な顔を崩したケイタさんは毛布を持って立ち上がった。
「ま、まだ確証がない俺の勘なんだけど! チエさんごめんね、俺も休ませてもらうわ」
そう言うと、毛布に包まって床に寝転ぶケイタさん。
信用しない方がいいってどういう事なんだろう。いっぱいいっぱいで何も考えて来なかったな……。
1人で考え込んでいると、身じろぐ音がしたので視線を後ろに向けた。布団の上で身体を起こしたジェラルドが、ゆっくりと室内を見渡しているのに気付いて、慌てて近寄る。
「ジェラルド! 大丈夫なの? お水飲める?」
「ピィ!!」
「チエ、さん、プルメリア……すみません」
「謝る事なんて何もないよ!」
プルメリアにジェラルドの身体を支えて座ってもらい、薬とスポーツドリンクを飲んで貰った。
ジェラルドの身体もまだ熱くて、汗で肌がしっとりとしていたので、タオルで汗を拭いてから横になってもらう。このままだと風邪が悪化してしまいそうだし……。
叱られる前の子供のような顔をしていて、私は無意識にジェラルドの頭を撫でてしまう。子供を助けたからって、怒る事なんて無いのにな。心配はしたけれど。
横になったジェラルドは、辛いだろうにゆっくりと口を開いて何があったか説明をしてくれる。
「プレミリューからの帰り道に、奴隷商の馬車が、ゴブリンとオークに……襲われていたんです……。最初は、見捨てようと思ったんですが……」
「見捨てられなかった?」
「いえ、見なかった事にして、歩き出したんです……。でもこの子達に気付いて……」
そう言って、優しい目をして子供達を見つめるジェラルド。
きっと、ジェラルドによく懐いて居たのかもしれない。そんな事を思うぐらい慈愛に満ちた顔だった。
「ジェラルドの村の子なの?」
「オロルの森から、徒歩半日くらいにあるリヴァディ村の、子供達です。僕達からは山の恵みを、向こうからは穀物や野菜などを物々交換をしていて、顔見知りでしたから。オークに連れ去られるのを見て、追いかけてしまったんです……」
そこまで言うと、ジェラルドはぎゅっと目を瞑る。
「危ないから自覚をなんて言いながら……。言った僕がこんな事をしてしまいました……! チエさん、すみませんでした……」
ジェラルドはそう言うと、大きく息を吐きだした。
きっと、助けた後もこうやって葛藤してたんだろうなと思うと、胸が痛んだ。
私が考えるよりずっと、ジェラルドはここの事を考えてくれて、私の心配もしてくれて、それでも出した答えが子供を助ける事なら、自分を責めるような事じゃないのに。
そっとジェラルドの手を握る。まだ力が入りにくい筈なのに、きつく握られた指を少しずつ解していく。
「この子達を助けてくれてありがとう、ジェラルド」
「チエさん……」
「私は逃げれるけど、この子達は逃げられないから。だから、ありがとね」
「ごめんなさい……。ありがとうございます、チエさん……」
「早く良くなってね」
私がそう言うと、顔を隠すように布団に潜るジェラルド。
小さな嗚咽が聞こえてきたけど、聞こえないふりをしてジェラルドの手を握り続けた。
話した以上に、ジェラルドの中では葛藤があったんだろうな。主従の誓いとかもしてしまっているし。でも考えるより先に身体が動いてしまう事もあるだろうし、私にも身に覚えがある。
少しすると、嗚咽が寝息に変わった。体調が悪いし、疲れもあるのだろうと考えて、顔を布団から出しておく。このまま窒息でもしたら困るし。
涙の後をタオルで優しく拭いてから、プルメリアに声をかける。
「皆のご飯を作ってくるから、何かあったら教えてくれる?」
「ピィ!」
任せて!と言いたげな顔をしたプルメリアをその場に残してキッチンに向かう。
皆には普通にご飯作ればいいかな?と考えて、ジェラルドと子供達にはおかゆでも作ろうと冷蔵庫を開ける。中に入ってる物を取り出してから、ご飯を研いで炊飯器のスイッチを入れた。
2時間程でご飯は出来上がったのでグレンを起こすと、家畜の世話に行くと傘を差して雨の中出掛けて行くのを玄関で見送った。玄関から戻ってくると、グレンとのやり取りで目が覚めたのか、バージルとケイタさんも起き上がって身体を伸ばしている。
時計を見るといい時間だったので、2人に声を掛けた。
「ご飯食べられそう?」
「グレンが戻ってからでいいぞ」
「じゃあ何か飲む?」
「チエさん、コーヒーある?」
「あるよ。バージルは?」
「そうだな。俺はお茶でいい」
リクエストを聞いて、キッチンに向かう。コーヒーとお茶を入れてリビングに戻ると、熱が少し下がったのか、女の子が身体を起こしてきょろきょろとしているのに気付いた。
怯えた様子で布団を握りしめて、身を縮こまらせている。
そうだよね、売られていく途中でオークとゴブリンに襲われて、ジェラルドに助けられて。いつから意識が無かったのかは分からないけど、全く知らない場所だもんね。
怖がらせないようにゆっくりと近付く。いきなり近付いたらびっくりしちゃうもんね。
ゆっくりと距離を詰めていると、怯えた様子の女の子が口を開いた。
「ここは、貴族様のお家ですか……?」
「知らないところでびっくりしちゃったよね。私ジェラルドのお友達なの。ここは私が住んでる家だよ」
「ジェラルド兄ちゃんのお友達……」
きょとんとした顔を見せた女の子は、意味を理解したのか安心した様に息を吐く。
周りを見渡して、男の子とジェラルドが居る事に気付いたのか、顔を綻ばせた。きっと、売られていくので悲壮感でいっぱいだったんだろうな。そう思うと胸が苦しくなる。
「私の名前は千会です。貴女のお名前は?」
「メロディ、です」
「そう、メロディちゃんって言うんだね。あそこに座ってる人はバージルとケイタさんっていうの。あともう1人、今は居ないけどグレンっていう人が一緒に住んでるよ」
子供を怖がらせないようにか、ダイニングテーブルに座ってる2人の方を見る。
2人にお茶とコーヒーを渡してから、私はメロディちゃんの横に座り込んだ。
意識ははっきりしてるみたいだけど、まだ目が潤んでいるし頬も赤いままだからきっと熱は下がってない。
「ごめんね、お熱測らせてね」
「はい……あの」
「ん? どうしたの?」
「メロディ、何でもするのでテオとここに置いてもらえませんか!?」
「え?」
「家事でも畑でも何でもします! 寝るところは庭でもいいです! お願いします!」
悲痛な顔をして、私に縋りついてくるメロディちゃん。テオ、とは男の子の事だろうか。体温計を持ったまま、ぽかんとする私の腕をしっかりと握っている。
その様子に、胸に焼き印を押されてしまったら、もう普通に生活できない事を子供達も知っているのかと、改めて痛感した。こんな必死になるなんて。
自分の認識が甘い事を再認識しながら、メロディちゃんを優しく抱き締めた。
「家に部屋は空いてるから、外でなんて寝なくてもいいんだよ」
「え……?」
「1個しかないから、テオくん、と同じ部屋になっちゃうかもだけどいいかな?」
「ここに居ていいんですか……?」
「うん、居てもいいよ。だからまずは風邪を治そうね」
意味を噛み砕いてるのか、信じられない、というような顔をしたメロディちゃんは、私の腕からゆっくりと手を離して俯くと、身体を震わせ始める。
何度か頭を撫でていると、メロディちゃんは堪えきれなくなったのか、私に強く抱き着いてきた。
「こわかっ……! ジェラルド、兄ちゃんが、居なかったら……きっと、メロは……」
「もう大丈夫だからね」
嗚咽で話しにくいだろうに、一生懸命言葉を紡ぐメロディちゃんを、ぎゅっと抱き締める。
売られていった先を覚悟して、オークに殺される死を覚悟したんだろうな。こんなに小さいのに。
落ち着かせようと背中に手を添えて何度も擦っていると、泣き疲れたのかメロディちゃんはそのまま眠ってしまう。起こさないようにゆっくりと身体を布団に戻して、毛布を掛けた。
静かに立ち上がってダイニングまで移動すると、バージルがイスを引いてくれたのでお礼を言って腰掛ける。
「ありがとうバージル」
「チエは子供が好きなんだな」
「うーん。そうなのかな……。両親が早く死んじゃったから、家族っていうのには憧れるけど。相手も居ないしね……」
「だって。良かったなバージル」
「うるさいぞケイタ」
バージルとケイタさんのやり取りの意味が分からず、私は疑問符を飛ばす。
ただ、仲が良さそうというのは伝わって来たので、口元が綻んでしまった。日本に居る友達は、きっと私が急に居なくなってびっくりしてるんじゃないのかな。生活が落ち着いてきて、色々考えてしまう。
今まで、慣れるのに精一杯で、日本を振り返る余裕が無かったのは逆に良い事なのかな。
頭を振って思考を振り払おうとしていると、ふいにケイタさんから声を掛けられた。
「チエさん、俺1週間くらいここに泊まってっていいかな? バージルの部屋に泊まるし」
「え、はい。全然いいですけど、お仕事はいいんですか?」
「優秀な子達が居るから平気。ちょっと見てみたい事があってね」
「おい、そんな話は聞いてないぞ?」
「(いいじゃん、チエさんと1週間も居られるんだし文句言うなよ!)」
「(またお前はそうやって……)」
何やらこしょこしょと話してる2人を見ながら、コーヒーを口に運ぶ。少し冷めてしまっているけど。
コーヒーを飲んだ後、ふぅっと息を吐きだす。やっぱり美味しいなぁ。
ヘレトピアには、コーヒー豆は無いらしくて、庶民は水、貴族は酒と紅茶が主流と聞いた事を思い出していると、バージルが私の頭を撫でる。
不思議に思ってバージルの方を向くと、優しい顔をしたバージルと視線が合う。
その優しい顔に、胸がドキッとして背筋が震えた。
「チエ、悪いが1週間ここに置いてくれるか?」
「好きなだけ居てくれていいよ。悪くなんてないし!」
バージルと1週間も一緒に居れるんだ!嬉しいな。どんな事話そうかな。嬉しさに破顔してしまう。我慢できそうにない。
ニコニコしながらバージルを見つめていると、バージルも指に絡めるように私の髪を梳く。
頭触られるの、気持ちいいな。でも、胸が苦しくなってくる。
どうしてだろう、と自分に問いかけていると、横からケイタさんの声が聞こえて来た。
「居た堪れねぇ……」
「え?」
「いや、リア充爆発すればいいと思っただけ。ところでチエさん」
「はい、何でしょう」
「俺、調味料と米と惣菜と弁当とカップ麺マジでいっぱい欲しいので売って下さい!」
ドン!という音と共に、テーブルの上に置かれる革袋。
え、これは何だろう?と、疑問に思って革袋を上から覗き込むと、これでもかと言わんばかりに詰め込まれて膨らんでいるせいか、紐で縛ってあるにも関わらず締まりきらずに金貨が零れ落ちそうになったいた。
思わずぎょっとしてケイタさんを見るけれど、ケイタさんはすごく真剣な顔をしていた。
「アイテムボックスにいれとけば腐らないし、お願いします!」
「は、はい……」
私も10年、味噌と醤油から離れるとこうなるんだろうか……。このスキルがあって良かったな。
そんな事を考えながら、サイバーモールを開いてメニューを選んでいると、ケイタさんが後ろに回り込んできて、私の肩越しに画面を覗き始めた。
「すっげぇ……あ、俺なんか泣きそうかもしれん」
「ケイタ近い。チエから3m離れろ」
「嘘でしょ!? 感動の涙くらい流させてくれない!?」
「体調悪い人が居るんだから静かに!」
「はい……すみませんチエさん……」
「悪い……」
バージルも結構子供っぽいところがあるんだなぁ。ロジャーさんの時よりも更に子供っぽいなぁ。
そんな事を考えながら、律儀に離れたところから、あれが欲しい、これが欲しいと希望を出すケイタさんの欲しい物をサイバーモールで購入していく。
金貨5枚程の買い物をすると、大きなダンボールが40箱くらい届いた。
結構なその量にドン引きしてしまう私とは正反対に、ケイタさんはダンボールに頬ずりをしている。
まぁ、10年ぶりだもんね、しょうがないよね……。
そう自分に言い聞かせながら、そろそろグレンが戻ってくるかなと、キッチンに向かい配膳の準備を再開した。




