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幽霊がいる世界  作者: 蟹納豆
神隠し編

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神隠し編その6

 次の日の放課後、俺は将棋部の部室へ向かった。あれからずっと考えたが結局のところなにも思い浮かばなかった。

 神隠しなんてやはり不可思議な現象にもほどがある。俺では手に負えないのではないか。


「あっ魁斗お兄さん! お邪魔してます!」


「あら怪奇谷君、いいところに来たわね」


 すでに富士見と冬峰が部室にいた。智奈の姿は見えない。まだ来ていないのだろうか?


「いいところって、なにか企んでるのか?」


「なにその言い方。まるで私が常になにか企んでいるみたいな言い方ね」


「はいはい悪かった。で? なんだよ?」


「ココア奢りね」


 富士見は俺に言った。


「冬峰さんが行きたいところがあるっていうから連れて行ってもらえるかしら?」


 冬峰が行きたいところ?


「はい。私、行きたいところがあるんです!」


「構わないけど、どこに行きたいんだ?」


「神社です」


 神社? この辺だと外湖神社のことだろうか?


「外湖神社か? まあそんなに遠くないからいいけど」


「わー! ありがとうございます!」


 そう言って冬峰は先に外に出てしまった。


「そんなに行きたいのか。まあいいけどな。それより智奈は?」


「智奈にはちょっと頼みごとをしてて。私もこれから用事があるから。怪奇谷君。冬峰さんに変なことしちゃダメよ? ああ、ヘッドホンさんがいるから大丈夫かな」


「はあ⁉︎ なにもしねーよ!」


「どうだか。アンタああいう小さい子好きでしょ?」


「そういう誤解を招くようなこと言うなって!」


 とりあえず俺も外へと向かう。神社に用があるとはなんだろう。


 俺と冬峰は外湖神社に向かって歩いていた。高校からは約20分ほどで着くぐらいの距離だ。しかし冬峰は歩くのがあまり早くはないので実際30分ぐらいはかかるかもしれない。


「冬峰。学校はどうしてるんだ?」


「さっき姫蓮お姉さんにも聞かれましたー。そんなに私の学校生活が気になります?」


「そりゃ気になるよ。昨日もサボったんだろ?」


「違いますよー! 昨日は創立記念日です! ふふ。ちゃんと考えて行動してるんですよー私は!」


 なんだそういうことか。それなら納得はいく。


「魁斗お兄さん! それはそうともうすぐで夏休みですよ! 高校でも夏休みの宿題ってあるんですか?」


「嫌なこと思い出させやがって……あるに決まってるだろ。お前もあるんだろ?」


「ええ! 私の夏休みの自由研究の課題、聞きたいですか?」


 なんかすごい自信満々な表情だな。そんなにすごいことなのか。


「なんと! メダカの飼育です! 前からメダカ育ててみたかったんですよ!」


 そこまですごくはなかった……


「ん? でも今メダカって入手しづらいんじゃなかったっけか?」


「あれ? 今はそうなんですか? ふーん。私の学校にはいっぱいいたんですけどねー」


「そういうもんなのか? 俺は小学生の時にカイコの幼虫を育てたの覚えてるな」


「あっ! カイコの繭の糸が貴重なんですよね!」


 懐かしい話だ。こうして昔の話をするというのもいいな。


「昔の話もいいですけど、今度は未来の話をしません?」


「未来の話ねぇ。俺としてはあまり先のことは考えたくないな」


 来年になれば高校3年だ。そうすれば大学受験という壁にぶちあたる。その先もそうだ。就職なりなんなりで先のことは出来るだけ考えたくない。


「私は早く大人になりたいですねー。前にも言いましたけど、私カッコいい大人の女性というのに憧れているんです!」


「その『幽霊相談所』を教えてくれた人みたいに?」


「そうですね! でもそれだけじゃなくて、カッコよくなった私をみて、こんな人になりたいって思われたいんです! だからそのためにも色々経験しておきたいんです!」


 なんだ。なんか俺よりしっかりしてないか?


「どうして大人の女性ってのに憧れてんだ?」


「ええーそれ聞いちゃうんですかー」


 なんだその反応は。


「まーあれですよ。ちょっとした憧れっていうやつです。雑誌とかで有名ですよ!」


「へぇ、なんていう人なんだ?」


「rayです! 結構有名だと思うんですけど」


 ray?? 聞いたことないな? 元々詳しくないから当たり前といえば当たり前か。


「じゃあそのrayって人に憧れてカッコいい大人の女性を目指してると」


「そうです! そうやってなんども言われるとさすがに恥ずかしいですけど」


 少し顔を赤らめて冬峰は言った。


「叶うといいな。いや、もしかしたらもう叶ってるかもな」


「?」


 見た目じゃなくて精神面だがな。


「ところで神社にはなにしに行くんだ?」


「神社はよくちっちゃい時に行ってたんです。悩んだりした時に神様にお願いしてたんです」


「それじゃあ……」


今回は弟のためか。


「もうずっと行ってなかったので……久々だからちょっと不安で。魁斗お兄さんと一緒ならいいかなって」


「そうか。じゃあ俺も一緒に祈るよ」


「嬉しいです! ありがとうございます!」


 いつものようにキラキラ輝かせて喜ぶ冬峰。俺は本当にこの子に救いを与えることができるのだろうか?

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