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いまさら

風が

おやすみのささやきを

聞かせる


忘れたい声が

枕まで纏わりつくので

ゆっくり耳を澄ませてみる


常夜灯のかなぶん

闇夜の風をすり抜けて

障子をひっ掻く音を立てた


わたしは行こうとはしなかった


あなた

そこにいるの? という

これまでかけたことのないむなしいセリフ

あなたがいまも

あの部屋にいるのを知りながら


小雨だったので

ちいさな雨音が

ちいさな窓ガラスに

撥ね付けられるのを

聞きながら


小雨だったので

すこしの濡れる勇気で

自転車に飛び乗れば

この闇を縫って

どこへでも行けると知りながら


わたしは行こうとはしなかった


風の

おやすみのささやきは

あすもまた聞こえるだろうが


わたしは行こうとはしないだろう

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