恋愛って、そんなもんですか?
男はアホでプライドの高い生き物ですから
手のひらで転がしてやればいいのよ
高校時代に清美に言ったセリフ
実は清美のことが好きで
清美に男を好きになってほしくなくて
言っただけなんだけど
なんか清美の座右の銘になっちゃったみたいで
あの子可愛いから
男の子を手玉にとっては遊び暮らしてきたんだ
私はそれを見ながら心掻き毟られていた
清美と会う回数も減っていき
そろそろ清美のゴールインかと言うようなときに
私はあの人に出会ったんだ
何が優れているわけでもないと思ったし
この男のどこがいいんだろうと
何度も何度も悩んだけれど
巷間広く伝わる通り
好きって感情は理屈じゃないんだと初めて知った
清美を好きだったのは
清美の美しさに触れていたかったからだし
清美と2人でいるだけで
周りの人間から憧れて見られる
ような気がしていたし
清美はおそらく私にとってだけじゃなく
世界にとって特別な娘だったんだ
だから私は当然あの子の信者でしかなかったんだ
あの人は突然私の前に現れて
私の人をいとおしいと思う気持ちの大半を
掻っ攫って行ってしまった
本当に
どうしてそうなったのか
まるでわからないんだけど
(ちくしょう好きになってしまったんだ)
あえて言えば可愛らしいところかな
自己主張そんなにするわけでもないし
歌も好きみたいだけど
ちょっと音程外れてるのが可愛いかったり
でも正装びしっと決めている姿は
見ているだけでかっこよかったりした
もうだめなんだ
好きになってしまったから
何もかもよく見えてしまうんだだろう
そして私は恐れ始めるんだ
この幸せな2人の時間が少なくなってしまわないかと恐れ始めていつも恐れ続けてしまう
昔流行ったマーフィーの法則だったっけ
良いことを思い続けていればいいことが起こる
じゃぁ悪いことを思い続けていれば
それこそ頭から瞬時ものがせないほど
最悪の想像を感じ続けてみたら
その思いはどうなるの
名付けるか
貴子の法則と名付けるか
それは夜中の2時ごろだった
突然あなたは別れを告げて
私の部屋を出て行った
理由はいろいろ言っていたけど
そんな事はどうでもいいんだ
私はただあなたに戻ってきて欲しい
それ以外に1つの望みもないんだ
けれど当然洋の東西を問わず。
諺のように格言のように
こぼれた水は盆には戻らない
こぼれたミルクはコップには返らない
私たち2人はもうこぼれてしまった
そしてその時
あの高校時代の懐かしい清美の顔が浮かぶんだ
清美のあどけない笑顔
私の言葉にうんと頷く笑顔が浮かぶんだ
男はアホでプライドの高い生き物ですから
手のひらで転がしてやればいいのよ
その時の私に言ってやりたい
清美も横にいたら聞いておいておくれ
それは確かに真実だけれど
恋愛っていうのは勝負でもあるんだ
なら答えは簡単だ
惚れたら負け、惚れさせたら勝ち
そしてその後私は
人生と言う勝負にも負け続けることになる
すっかり変わってしまった清美と再会するまでは