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枯れない涙
涙は枯れるって
ただの表現だね。
あのひとに目の前で
あの娘といちゃいちゃされた、
あの娘うでをからめて彼の耳元に
くちびる寄せて
こちらに視線を送るから。
おもいっきりしてやったりの視線で
うすら笑いの尖った刃で
この目をけずりとろうとしていたから。
わたしは、くるってもう
にらみころしたいとおもったんだわ
ころしたくて泣いていたほどだったわ
わたし、ひきょうしてでも、
しあわせになる歴史は
あったのだろうか?
わたしのこわしたものを、
かなしむ気持ち、小雨にまぎれ
ふりおちる、ほら
枯れないね涙。
鉛筆だから鬼を
描くとても上手に黒く描く鬼を
あらたな生命の誕生だと思う
心の中に住む鬼を、殺す殺す殺す鬼を
ときはなち、黄泉のくにへ、送る
夜更けの歌を歌っておくれ。
ねむりにつくのがこわいわたしに、
夜明けの歌を歌っておくれ。
まぶしいあさひがいたいわたしに、
あさ、君はわたしを探して
その家飛び出した、と
ゆうだろう。
ごめん、
わたしじしん、
君をもうしんじられない
どこから堕ちてきたか?
なんて、もう、
さっぱり、わからないわ。
さっぱり、わからないのよ………