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ふたりで、この世界で。4


4(あなたは、その世界で、生きなければ、ならない)



なにを、求めたの?

神様。

彼は、なにを求めたの?


バカだから、

くだらないこと、願わなかった?


この神様の知ろしめす世界で、

ふたりの魂が、引き離されたとき、

私たちは失望を受け入れ、

絶望しない方法を懸命に捜そうとした。


《人の心は、そう簡単には変わらない。》

《1度死んだ人は、2度と生き返らない。》

このふたつの常識を、

そんなことはないさと、言える

新しい本当を捜そうとした。

彼は死を選ぶかもしれない。

そんなことだけは、絶対にさせちゃダメだ。

越えられない真実なら、

もう、越えなくていいから。

あなたに会いたいなんて、

2度と言わないから。

這い上がれない深い谷間に、

彼を落とすことだけは、けっしてしないで。

ねぇ、神様。

私、あなたのものになります。


彼の元に戻りたいなんて、

2度と言わない。


それは、

けっして揺るがない

もっとも大切な願望のぞみよ。

ねぇ、神様、

彼を、私から遠ざけて。


私、彼のこと、嫌いじゃないけど、

もう、会いたいとは、思っていないよ。

その日限りの、耐えなければならない嘘。

昨日もつきとおした、「思っていない嘘」

明日もつきとおすはずの、「思っていない嘘」


吹きつける冷酷なブリザードは

彼の瞼を凍てつかそうとするだろう。

そうすることで、

真実から目をそむけさせてくれるだろう。


それはまるで私。

彼を嫌っているかに見える、

耐え難い、

冷たい顔に、冷たい声に、冷たい心に

見える非情の冷酷女の姿。


うつむいた微笑みに

ゾッとするナイフの切っ先をひそませた。



違うんだ。

優しくなんて、なくって良いんだ。

もう2度と、

もう2度と、会いたくないんだ。


だって、好きだからって、

だからって、会っちゃ、ダメでしょ?


ここへ、来させちゃ、ダメでしょ。


好きだから、

「会いたく、ない、」

というような大嘘を告げて終わるよ。

勘ぐっちゃ、ダメだ。


神様、

彼をここへ、連れて来ないって、

約束して。

ほんとうに、頼むから。


連れて来ないで、ください、ね?











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