エピローグ
あたしーー荒木 六重ーーは困惑していた。
誰もいなくなってない。正確に言うと、肝試しに参加したメンバーは誰もいなくなってない。
同じクラスの林 貞子がいない。クラスから存在そのものがいなくなっているかのように。
「先生~。林さんはどうしたんですか~」
「…………」
先生が目の前まで近づいてくる?
「先生?」
「ここにも非制御者がいましたか」
「せんせ……くっ」
先生の行動にクラスが騒然とする。
あたしは頭を押さえられて動くことができない……。
「消しておこう」
「先生。少し、待ってください」
1人の生徒が立ち上がり、そういった。
名前は、たしか……山崎羅武。
「なんですか、メモリー」
「使える力かも知れません。捕らえてコレクターに渡しましょう」
「ちっ……わかりましたよ」
「では、記憶処理をします」
「すぐに頼む」
「大丈夫ですよ。記憶処理だけなら時間はかかりませんから」
あたしの意識はそこで完全に途絶えた。
※※※
伊達から聞いた話によると、今回の作戦はよかったらしい。
「依頼達成だな。よくやったお前ら」
「今回は部長のおかげですよ」
「そんなことないわ。七兵衛」
俺は別に何もしてないが。
「まあ、これからもこの調子で頑張っていきましょ。七兵衛」
俺はこんな部活やめたいんだが。
「これからも、頑張ろう。津田君」
……こいつら。
「ああ」
こんな部活……でも、もう少しやってみるか。
「変ったわね。七兵衛」
そんなことはない。
「変ってません。それより、いい加減名前を連呼するのやめてくれませんか」
「あなたが私を名前で呼んだらね」
「浅井……」
「苗字じゃないわよ。名前よ」
「呼びません」
俺は女を名前で呼ばない。
「まあ、いいわ。七兵衛」
だから、女は嫌いだ。
一旦、完結。