情報部
情報部。真田の所属する部活だ。
「さ、入るわよ。七兵衛」
中に入ると、真っ黒なローブ? をまとった少女が出迎えてくれた。こんなのいたっけ? 新入生か?
「ようこそ。情報部へ」
声的にはまったく歓迎されてる気がしないのだが。
「源二に会わせてもらえるかしら」
「……部長は不在です」
「そんなこと言わないで、会わせてちょうだい」
「……部長は不在です」
「そんなこと言わないで、会わせてちょうだい」
「……部長は不在です」
「そんなこと言わないで、会わせてちょうだい」
「……部長は不在です」
「そんなこと言わないで、会わせてちょうだい」
「……部長~。面倒なのが来ました~」
そういうと、少女は部室の奥へと入っていった。部長いるじゃないか。
だから、女は嫌いだ。
「入るわよ。七兵衛」
※※※
あたしーー荒木 六重ーーは困っている。
部長の言いつけ通りに、部長は不在ですって言ってるのに、来訪者は帰ってくれない。
お姉様の占いに出てた、最強の敵の襲来はこのことだったのね。
これはもうあたしの手には負えない。
「……部長~。面倒なのが来ました~」
あたしは、部長のもとへと向かった。
※※※
「某に何の用かな。お二人さん」
部室の奥。社長室のようなところに彼はいた。
流行りに乗りたいのか、赤い服を着て、後ろのホワイトボードには六文銭が書いてある。
真田 源二。こいつがこの学校の情報屋だ。
「織田 勝姫さんの連絡先を教えてほしいの」
「連絡先? そんなの直接聞けばいいだろ」
ごもっとも。
「そうできない事情があるのよ」
「ふーん。でも、ただで教えるわけにはいかないな」
「対価はなに?」
「某の出す超簡単なクイズか、金か、有益な情報か。どれかだな」
ずるい奴だ。超簡単とか言っといて難しい問題をだすに決まってるし、金は高額を要求されるだろう。有益な情報は、難癖をつけていくつも得ようとする。魂胆が見えすぎている。
「七兵衛。円周率って覚えてる?」
「円周率?」
っていうか、なんで小声。
「あいつに聞かれないためによ。で、どうなの?」
「教科書に載ってたのを見たから、多少は。でもそれだけで」
「十分よ」
十分? どういうことだ。
「結論は出たかな?」
「ああ、クイズを出してちょうだい」
「わかった。じゃあ、円周率の小数第24位を15秒以内に」
小数第24位だと、無理だろ。
「ちゃんと考えて。七兵衛」
ちっ。えーと、3.141592653589793238462643だから3か。
「3だ」
「はずれ」
違ったか。
「ちょっと待ちなさい」
「なんだ。文句でもあるのか」
「あるわよ。正解でしょ。今の」
「なにを言ってる。そんなはずは」
真田が机をたたいて立ち上がろうとした、その時、横から少女の軽い声が聞こえた。
「部長~。3であってますよ~」
「…………」
しばらくの沈黙。そして
「いやぁ、悪かった。なんでも情報を教えよう。なんだったかな?」
切り替えの早いやつ。
「織田 勝姫さんの連絡先よ。それから」
※※※
登録されてない人から連絡が来た。怪しいメールかと思ったけど、タイトルを見て開けることにした。
今から体育館裏で会えない?
本文はその一言だった。興味を持った私は勝奈と貞子に連絡を取り、3人で向かった。
※※※