浅山東高校学生生活支援部
学校が終わり、放課後。
俺は、校門へ向かう人ごみの中にいる。
今年からーーもとい昨日から俺は帰宅部ではない。だが、部活には行きたくない。というか、
あの女には付き合ってられない。
だから、俺はここにいる。
人ごみの中から探し出すことなどできないはずだ。
もうすぐ、学校から出られる。
あんな部活は二度と行くもんか。
学校のチャイムも、校内放送の声もすでにと
「2年3組津田 七兵衛。帰ろうとしても無駄よ。いますぐ部室に来なさい」
遠く。
「七兵衛。あなたが来るまで、この校内放送はやめないわよ」
聞こえない。聞こえない。
「七兵衛。来ないのなら、あなたの秘密を流すわよ」
秘密?
「七兵衛は中二の時に好きな子の下駄箱にーー
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
俺はあの部活から逃れられはしないようだ。
※※※
「遅かったわね。七兵衛」
結局。俺が校門から引き返して放送室につくまで、秘密の暴露は続けられた。
この女によって。
「さあ、部室へ行くわよ。七兵衛」
「あの、いい加減名前を連呼するのやめてくれませんか」
「あなたが私を名前で呼んだらね。七兵衛」
「絶対呼びません」
俺は女を名前で呼ばないと決めている。
「なら、私は呼び続けるわ。七兵衛」
だから、女は嫌いだ。
部室に入るとそこには二人の先客がいた。
「やあ、災難だったね。津田君」
こいつは、立花 宗治。俺の苦手な、さわやかイケメンってやつだ。
「自業自得だ。バカが」
この人は、足利 昭乃さん。旧姓 日足、最近離婚したらしい。俺たちのクラス担任で、部活の顧問だ。
「さあ、今日の部活を始めるわよ」
なぜ、こんなことになったのか……。それは今から2日前。
※※※
回想に入ると思った? 入らないわよ。
津田 七兵衛は今から2日前に昭乃さんと宗治によって、浅山東高校学生生活支援部の一員になった。生徒から依頼を受けて解決する部活である。
はい。終わり。
※※※