第8話
「では、顧問は私がするとして、部長はどうしましょうか。」
細川先輩が帰った後、今川先生は切り出した。
「それはやっぱり、艦長の人がなるべきだと思います。」
「岡さんもそう思いますよね。では、岡さんが艦長でいいですか?」
「いやいや先生、私は操舵手がいいです、操舵手。ずっと憧れていたんです。」
「確かにわかります。先生も砲弾の嵐を自分の腕で掻い潜る快感を味わってみたいです。」
「ですよね!」
「しかし、では、誰を艦長にしましょうか。後藤君は通信手ですし。吉川君はどうですか?」
…吉川?
ああ、そういえばクラスにもう1人居た男子の名前が吉川だったな、忘れてたわ。
確か、初日に野球部への夢を絶たれていたはず…。
そもそも星間戦争部に入るのか?
「…俺は、砲手がいいっす。」
あっ、入るんすね。
しかも、役職指定なんですね。
「うーん、となると明石さん、艦長やってもらえる?」
「私は昨日動画を見たばかりですし、できれば操舵手とかみたいなのは遠慮したいと考えていたので、副官がいいです。」
「そうですか、じゃあ、宇喜多君が艦長兼部長ということでいいですね。はい、決定。」
「えっ!ちょ、ちょっと待ってくださいよ、そもそも俺はまだ入部するとはいってませんよ!」
「けど家隆は昨日、艦艇が手に入れば入部すると言っていたわよ。」
さすが泉殿、退路の遮断はお得意だ。
「宇喜多君は、入部しないのですか?本当にしないのですか?本当にいいんですね?」
今川先生が畳み掛けるように問いかける。
その目は、まるで獲物を追い立てる狩人のようであった。
家隆の本能は拒否をすれば死ぬと訴えていた。
「よろこんで艦長の任を承ります。」
「はい、先生はうれしいです。」
ニッコリと今川先生は微笑みかけた。
昨日、今川先生を応援したことを家隆は呪った。




