第7話
入学2日目の健康診断は滞りなく終了し、いよいよ放課後となった。
クラスの全員は教室に残っており、担任の今川先生も教卓についていた。
「先生、星間戦争部っていうのはなんですか。」
俺は恐る恐る尋ねる。
「先生、昨日岡さんに言われて動画を見たんですけど、もう衝撃でした。こんなにスリリングなことが世の中にあるなんてと。そこで、ぜひとも皆さんには青春の思い出としてプレイしてもらいたいと思いました。」
泉といい、今川先生といい、昨日と同一人物とは思えなかった。
「そこで調べてみたら、プレイするにはヘッドセットのレンタル料と艦艇のお金が必要であると知りました。高校生の皆さんにあまりお金を使わせないようにするにはどうすればよいのか考えた結果、部活動にしてしまって、部費で賄えばいいと結論付けました。」
「そ、そうなんですか…。」
「はい。友達の弁護士の結婚話ついでに、本校最後の学生たちに思い出を作れと言ったのは校長先生ですよねって創部のお願いをしたら、許可をくださいました。ただ、ヘッドセット料金はいいとして、艦艇のお金はいくらになるかわからないからダメだと言われました。」
今川先生を敵に回してはいけない、そう心に誓った。
「先生、それじゃあ、やっぱりだめなんですかぁ?」
岡さんが泣きそうな顔で今川先生に訴える。
「いいえ、先生は考えました。そして、そういえば、去年社会を担当していた生徒にこの手の話をしていた子が居たことを思い出しました。」
いやな予感がする。
「そして、交渉の結果、なんと卒業を機に引退するつもりであったから艦艇を無償で譲渡してくれるそうです。では、細川君入ってきてください。」
そう先生が言うと、1人の男子生徒が教室に入ってきた。
「3年の細川です。中学時代の仲間とやっていたんですけど、卒業を機に皆は他のチームに行くみたいで、僕は引退しようと思っていたので、ちょうどよかったです。みなさんで使ってください。ヘッドセットが届き次第手続をします。」
「細川君、本当にありがとうね。」
「いえ、先生の頼みですから。」
そう言った細川先輩の顔が一瞬ひきつっていたのを家隆は見逃さなかった。




