第2話
「私の名前は今川冴といいます。2年前に地方の国立大学を卒業して教師になった、まだまだ新米の教師ですが皆さんよろしくお願いしますね。担当科目は公民です。学部が法学部だったので、政治・法律系の単元が得意ですよ。」
黒髪を後ろで結んでいる今川先生はそう一気に語りかけた。
若い綺麗な先生がこんな高校に居るとは想像していなかった。
それも担任である。
祝山高校に来て良かったかもしれないと少し思った。
「では、廊下側の女の子から順番に自己紹介をしてもらいましょうか。」
「はい。わかりました。」
そう言って、泉が立ち上がった。
「明石泉です。となりの家隆君と同じ丸々市第1中学から来ました。中学のころは生徒会に入っていましたが、クラブには入っていなかったです。趣味・特技は料理です。これから3年間よろしくお願いします。」
泉はそう言ってぺこりとお辞儀をした。
クラスからはパチパチと拍手が起こるが、この人数である、どこか寂しい。
泉の挨拶の最後が「1年間よろしく」ではなく、「3年間よろしく」であるところに悲しみを覚えつつ、俺は立ち上がった。
「丸々市第1中学から来ました、宇喜多家隆です。」
「入学式で立ち上がっていたのは宇喜多君ね。」
「は、はい、そうです。」
今川先生とのファーストコンタクトは最悪であった。
「ごめんなさい、続けて。」
「はい、えっと…、趣味や特技は自慢できるものはないですね。ただ、ゲームが好きです。」
「どんなゲームをするの?」
突然となりの女子が質問をしてくる。
「シミュレーションものかな。提督の即断とか、曹操の野望とか。」
「へぇー、なんだ、そっか。」
そういうと隣の女子は家隆に対する興味を失っていた。
(なんやこいつ)
と思ったが、これ以上今川先生の心証を悪くしたくないので、黙っておいた。
「それでは、3年間よろしくお願いします。」
そういって、家隆は着席した。
「岡楓です!丸々市第3中学から来ました!」
家隆への拍手が終わりきらないうちに、隣の女子は立ち上がって話し始めた。
(元気な子だなぁ)
それ以上の感想を浮かべようとすると負の感情しか湧きそうになかった。
「皆さん、私と高校生活の思い出づくりに、星間戦争やりましょう!ね!ね!」
俺は入学式初日に自分よりもやらかした可能性のある人物の出現に喜びを覚えた。




