第13話
艦内がどことなく重苦しい雰囲気に包まれていたその時、後藤の席から、
ピコン
っと音が鳴った。
「き、きたーーー!通信手、後藤、初仕事であります!」
後藤はうれしそうに叫ぶ。
「艦長殿、本部からの通達です!英国、インド海域に侵攻せよとのことです!」
「そ、そうか。岡さん、現在地の東京からインドまではそれくらいなの?」
「ゲーム内時間で3日ですかね。実時間で3時間です。」
「よし、じゃあ、駆逐艦カゲロウ、英国、インド海域へ向けて発進だ!」
「了解!艦長!」
岡さんは、元気よく答えた。
俺たちの戦いが始まる!
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午後7時、部室には重苦しい空気が漂っていた。
意気揚々と戦闘海域へと到着したカゲロウは、一方的にやられて撃沈し、今はドックに入っている。
ゲーム時間で20日(実時間20時間)は動くことができない。
岡さんは動画を見ていただけあって、戦闘海域までの操舵はさすがだった。
しかし、いざ戦闘海域に入ると、上下左右からの弾幕によってパニックになり全く回避ができなかった。
後藤は、レーダーによる索敵は完璧だった、そう完璧だった。
レーダーに映るものを全て艦長に報告し、優先度等はめっきり報告できなかった。
俺はというと、そんな操舵とレーダーの情報を処理することができず、的確な指示をすることができなかった。
吉川は…、艦長からの的確な指示がない以上砲撃が当たるわけもなく、挙句味方の艦載機を撃墜してしまった。
「み、みんな、今日は初めてだったんだし、これから頑張りましょう。」
泉がみんなを励ます。
「そうだな、とりあえず、今日はみんな帰ろう。」
俺はそう切り出す。
「うん。」「そうだな。」「…ああ。」
みんなは口々に言うと部室を後にする。
「艦長さん。」
「はい?」
今川先生が急に話しかけてくる。
「これにめげずに明日からも皆を引っ張ってくださいね。」
「はい。」
そう答えるしかなかった。
現在のカゲロウ貢献度100P