神殿へ行こう!
いあいあ
前回のあらすじ
天使がやはり天使でした。
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「で、アークは剣士だっけ?オラクルはどんなのなの?」
「…?オラクル…?」
オラクルとはなんぞや。奇跡とかそんな感じの意味だったっけか?なんのこっちゃい。
「いや、後から追加されるっていうPVPとか考えたら隠すのは分かるけど、流石にパーティーメンバーには教えてくれもいいんじゃない?連携とか、戦略とかにも影響あるじゃん?」
あ、やべ。サクラってば短気なのね。イライラし始めてる。
でも分からんもんは分からんのよ。説明書?へんっ、漢ならとりあえずトライしてみるのが当たり前じゃんよ。結構項目があって面倒くさかったとかじゃないよ。まぁとりあえずやってみたら分かるっぺさぁとか思ってないよ。
「あ、そっか。アカウント凍結されてたんだっけ。じゃあまだ神殿にも行ってないよね。神託まだなんだ。」
謎は深まるばかりである。信託?俺、そんな信託する程の財産持ってないよ?自分で言うのもなんだけど、そこそこワーキングプアよ?
「じゃあまず神殿行ってみましょ。」
「ちなみに私は【物理魔法】で、サクラは【重点】です!効果はですね…。」
「コラ桃華ッ!いくら友達だって言っても他人のステータスを勝手に教えるのはマナー違反よ!」
「あ、ご、ごめんなさい…。」
「まったく、私だから良かったけど、他の人だったら怒られるわよ?気を付けなさい。」
「うん、ありがと、サクラ!」
やれやれと桃華ちゃんの頭を撫でるサクラと、嬉しそうにしている桃華ちゃん。いや、怒られるわよって、あーたも怒ってたやんけ。怖いから口には出さないけど。
そんなこんなやり取りをしているうちに神殿に到着。
いやーすげーグラフィックだわ。街の見た目とかもヤバイけど、神殿はもう一目で力入れてんなって分かる。石材の質感まで分かるわ。何これどんな技術使ってんのさ。この神殿、他のイベントとかでも使われそうだな。巨大な神殿の前にはプレイヤー達がワイワイと集まったりしている。うぅむ…どうやらパーティー募集とかしているようだ…。ああいうのって冒険者ギルド的なとこでするんじゃないの?王道的にはさ。
「タンク系のオラクル持ってる前衛職募集中でーす!西の方角トップパーティー目指してます!ガッツリ頑張りたい人募集中でーす!」
ほほう。つまりオラクルってのはアレか。推察するに、職業とは別のサブ職業的な?一部能力を使用出来ますよ、的な?つまり、勧誘においてこの場所が一番青田買いしやすい場所なわけだ。オラクル決めた後、そういえばさっき神殿の前で勧誘してる人いたな、この能力なら条件合ってるよな、声かけてみようかな、って感じ。さすがは俺。名探偵もタジタジな名推理。間違いないな。
「ほら。さっさと行ってきなさい。この神殿、用事がある人じゃないと入れないみたいなのよ。現時点じゃオラクルの神託以外じゃ中に入れたって報告はないらしいわ。私達は神殿の前で待っとくから、ほら、はやく!」
「ちょ、ま、まだ何をすればいいか…って扉閉まっちまったよ…。」
いってらっしゃーいと手を振る桃華ちゃんを後ろ目に見つつ、背中をぐいぐいと押されて雰囲気もへったくれもない感じで神殿内へ。
中に入ると内側からは扉が閉まるように見えるらしい。目的を果たすまで一方通行なのかな。きっと外からはアホ面で呆然と突っ立っている俺が見えたことだろう。
とりあえず、気を取り直して神殿の中を進もうか!
中もグラフィックがすごい。荘厳で神聖な雰囲気に包まれている。神話を描いたっぽい絵画やらステンドグラスやら、どこをとってもカッコイイ。厨二心が刺激されそうな光景である。周りのプレイヤー達も圧倒された様に辺りをキョロキョロと見渡しながらゆっくりと奥へと進んでいる。俺も奥へと進み始める。外の喧騒から離れ、カツーンカツーンと足音だけが響いている。
これは、これはいい…!まるで何も知らない田舎から出てきたばかりの少年が迷い込み、神から世界を救うという使命を授かる、そんなシュチュエーションがありありと想像できる。
そう!そしてその少年とはこの俺の事!周りの凡才の群れとは違うことをここで早くも証明してしまうわけだ!いやーまいったなー照れちゃうなーはははー!
さて、奥には慈愛の表情を浮かべた巨大な女神像が建っているのが見える。そこの周りでプレイヤー達は皆一様に跪き祈りを捧げている。俺も祈りたいが…しかし!
「空いてる場所が隅っこのとこしかない…だと…!?」
女神様の真ん前はやはり人気が高いらしく、女神さまの真横とか空いてる場所があるにも関わらずそこそこの行列が出来ている。
く、くそぅ!俺だって真ん前がいい!でも神殿の前でイライラしてるであろうサクラと、天使たる桃華ちゃんが待っている!一度きりのイベントだった場合、真横で済ませてしまうのは非常に惜しい!惜しいが!女の子を待たせるのも怖い!すまぬ、すまぬぅ、女神さまぁ、ヘタレな俺を許してくれぇ。
てわけで、そそくさと真横の位置で跪き祈り始める俺。情けないが、背に腹は変えられないよね!
謎キックのおかげで続き投稿出来ました!