オラクルというステータス
おひさ
前回のあらすじ
豚さんマジイケメン
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「つまり、オラクルってのはユーザー毎に設定された特殊能力って事か。」
「まぁ大体その認識で間違ってないわ。そのユーザー毎にってとこがちょっと特殊よね。ハズレを引いた人がキャラを作り直しても、オラクルは変わらないらしいし。
検証してる人達によるとVR機本体や回線、ソフトを変えてもダメだったらしいんだけど、一体どんな技術を使ってるのやら。
他にもグラフィックとか個別エフェクトとか物の質感とか、もう謎の技術のオンパレード。企業秘密って奴だろうけど、やっぱ気になるわよねー。」
流石は世界に誇るクールジャパン。これが変態企業ってやつか。
世界に公開すれば様々な賞を総嘗めに出来そうな企業である。
まぁよーするにだ。オラクルを分かりやすく例えるなら、『リセマラが出来ない最初のボーナスガチャ』ってとこだな。
で、俺のガチャ運はといえば。
「それで俺のこのオラクルはなんなんだろうな…。」
「さぁ?棒で切れるんでしょ?そのまんまじゃない?でもあんまり期待しない方が良いわよ。そういう意味分からないオラクルは大体ハズレらしいから。」
「私のもちょっとよく分かんないからね!仲間だよー!」
「そうだね仲間だね!一緒に頑張ろう!」
「「おーっ!」」
「桃華のはそこまでよく分からないオラクルじゃないんだけどね・・・。」
おい外野そこうるさいぞ!
ちなみにサクラのオラクルは【重点】で、攻撃力などを一点に集める事が出来るらしい。上手く当てれば旨味がデカイし、ピンポイントで防御が出来ればダメージを抑えられる、攻守共に優れたオラクル。集中させた部分以外は疎かになるため結構なPSが要求されるが、オンオフの切り替えが可能なのであえて使わずとも戦える。デメリットはあるものの、文句無しでアタリのオラクルといえる。これは常に効果を及ぼすパッシブスキルである。
そして桃華ちゃんのオラクルは【物理魔法】、魔法が物理法則に影響を受けるという効果を持ち、放つ魔法は基本的に放物線を描く等、様々な影響がある。障害物を乗り越えて、つまり盾役の後ろから雨あられと魔法を撃てるが、見えない敵に当てるのはとても難しい。まぁアタリとも言えなくもない、微妙なオラクル。これもパッシブスキルらしい。
そして俺のは【棒切れ】。棒で物を切れる。パッシブスキル。ハズレ。
以上だ。
……うむ。これは酷い。
俺は剣士である。持っているのは剣。勿論、最も弱い初期装備の剣でも普通に物を切れるし、まぁわざわざ棒を使うよりも攻撃力は高い。甚だ存在意義の見あたらないオラクルである。
「でもまぁ、そうは言っても検証しだいよね、実際。」
「…そうなの?」
軽く絶望を味わっていた俺に一筋の光明が差し込む。
「結構居るみたいよ?ハズレだと思ってたのが、実は使い方によってはかなり使えるスキルだったってプレイヤー。」
マジかよ。ってことはアレだ。凡才系主人公がその知恵と工夫で危機を脱する王道が目指せるのではないか…?トリッキーなスキル相手を翻弄し、一般的にゴミスキルだと言われているスキルでトドメを刺す。
…あれ?いいんでない?中々、いいんでない?むしろもう、それしか考えられない。知略を駆使して敵を翻弄し、ダメかと思った瞬間に策謀が炸裂!敵を撃破する、みたいな。
知略系王道ストーリー、アリだと思いますっ!!
しぶり