プロローグ
──国立蒼帝大学
ここは様々な地域から優秀な人材のみを集めたエリート校だ
しかも、一人ひとりにあった研究ができるよう、多くの学科が設置されている
言わなくてもわかると思うが、設備や研究費が他の大学と比べ物にならない
そんな蒼帝大学には一つだけおかしな噂があった
「蒼大には受験で落ちこぼれた人たちだけが集まった学科がある」と……
噂話だけだと思われていたその学科の名は“特別指導研究科”
その名の通り、あまりにも落ちこぼれた生徒を集め、一流の研究家を育成しようという学科である
だが実際は……いや、ここからは自分で確かめてもらったほうがいいだろう
というわけで共に見ていこう、ここでの日常系を──
「というかあんた。誰に向かって話してんのよ?」
「……うるせっ」
「うるさいはないんじゃないの!?」
「す、すんません」
ほんと怖いよこの女。まあこいつの名は宮川愛凛。俺の幼なじみってやつなのかな?
「愛凛ちゃん今日も元気だねー」
「ああ、緋姫か」
そう、こいつが白鳥緋姫。根っこからのお嬢様ってやつだな
「ウチもいるよーー」
「日依ちゃん!?」
「どうしたの?今のウチって変??ただ溶接のときに使う鉄のマスクかぶってるだけなのに……」
「「それはおかしくないの!?」」
おお、見事なユニゾン。じゃなくて、この子が柊日依ちゃん。本来は中学生なのに、外国で高校の卒業資格まで貰っている超天才。でもただの機械オタク
それから、最後にはなったが、俺が一応主人公ポジションの佐藤壮介だ。ちなみに、俺はなんの変哲もない一般人だ。少し手違いがあって今はこの“特別指導研究科”に在席している
あと、この学科はごく一般の学科と比べ授業内容も変わっている。他の学科では研究以外にも授業があるが、ここは違う。この学科では卒業研究に向けて毎日研究、研究、研究研究……研究しかない
これでわかってもらえただろうか?
ここでは一般常識などない
ただ研究結果さえ出せばいい
俺はそんなここが大嫌いだ──