第2章 わたしは愛の・か・り・ゅ・う・ど (1)
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まずは、半年前に召喚されたヤマトの勇者達のお手並み拝見だ。俺達は必要があれば手をだすということで、ヤマトの勇者達がいつも行く狩り場に向かう。
おい、前衛タンクのくせに、飛び出して行くなよ。トウコはチームプレイもなにもない。その場で最大限打てる魔法を放っているだけだし。モモエは何でレイだけを回復している?一番マシなのはカズハだが、時折、よそ見して俺のほうへ手を振っている。
あと一撃をもらったら死ぬというところで、俺は『チームドレインライフ』を地面に対し放つ、これは回復系スキルで、数年雑草さえも生えなくなるが、地面から取り出したエネルギーをチームの親密度に合わせて均等割していく。レイは残り2割を切っていたが全回復した。さすがに親密度MAXは違う。
もちろん、モモエは親密度0なので、回復量も0だ。おいおい、回復ができるの魔術師のくせに、HP回復ポーションをつかうなよ!そんなに微々たる回復量なのか?そして、俺は交代をつげた。
「サカリ、前に出ろ!挑発だ!」
後衛で見学に徹していたサカリが、前に出て『ワイドスタン』を決める。一斉に敵の攻撃がサカリに向かっていく。サカリはスキルポイントのほとんどを防御系と挑発系に振ってある。宝物庫で頂いたミスリル製の大盾にハイエルフの加護が掛かった『ハイエース』もある。
スキルとこの大盾のせいで今戦っている魔物ならダメージ0だ。もっと高レベルであっても、1%程度しか通らないであろう。こちらの攻撃とサカリの挑発のタイミングさえ合えば、無敵だ。
いつもなら、後はゆっくりとジュウトの槍とヤルの弓で、チマチマと削っていくのだが、試しに俺は『ハイパワーパニック』を1番HPが多い敵1体に向けて放つ。このスキルは、通常、確率はレベル差に左右されるので今でも高確率なのだが、それを10倍以上確率を上げてしまうのだ。
混乱の状態異常が掛かった敵は、他の敵と同士討ちを始める。ジュウト、ヤルも中距離、長距離でそれを支援する。やがて、その1頭を除いて、死んでいった。
「ジュウト、まかせたぞ!」
最後の一撃は、ジュウトが槍を間合いが同じ長斧に持ち替えて、攻撃を加えた。
・・・・・・・
「どう言うことだ。半年間も何をしていたんだ!あきれたぞ。」
思わず、俺はレイに喰って掛かる。
「すまん。俺達、召喚されるまでゲームでさえも、戦闘をしたことがなくて、1から教えてもらったんだけど、各人の少々チートな能力で戦ってきたんだ。」
「それにしては、無様すぎるのではないか?」
「つい、見栄を張って、いつもより高レベルの敵と戦ったんだ。いつもなら、先生達も同じパーティーで戦ってくれるしな。」
つまり、俺にたいして、良い格好を見せたくて、いつもなら低レベルな敵しか相手していなくて、多少レベルが高くても、ヤマトの戦いの先生が裁いていたと・・・。
「すまんな。これでも、かなり戦えるようには、なっているんだ。チーム戦はこれから、教えるつもりだったんだ。」
後方に控えていたヤマトの近衛師団団長デスラーが声を掛けてきた。
「仕方がない。では、しばらくは、各国それぞれで、鍛えるということにしようぞ。」
「お願いですから、彼らにチーム戦というもの・・・・え、なんですと!」
やっぱり、こっちに振るつもりだったんだ。そうは、いくものか。
「では、レイ、大きく成長するのだぞ。待っているからな!」
「もちろんです。サキ様、みていてください。必ず、貴女達に追いついて、貴女を守って見せます。」
欲望の入り混じった視線で身体を嘗め回すように見ているレイに説得力はなかった。よくこんなんでハーレムを形成できたものだ。もしかすると好みに合わなすぎて、レイの方はハーレムのつもりはないのかもしれないな。皆ロリ体型だからな。
「では、さらばだ、ヤマトの諸君。」
・・・・・・・
俺達は、ヒノモトの王宮に戻った。重臣や国王シーダーに謁見するためだ。
シーダーは、優しそうな人だった。まずは無理矢理召喚したことに対し、頭を下げてくれた。これは国王としては異例なことだったようで、席上がどよめいた。
シーダーは戦いには向いていなさそうだが、必要ならば一緒に戦うとまで、言ってくれた。この人のためならば、戦ってもいいかもしれない。もし、同じチームで戦うことになったことを考えて、『魅了』を掛けて親密度をMAXにしておいた。
国王だからなのか、彼がそういう人間だからなのか。一切、いやらしい視線を送ってこない。この世界に来て、イヤ、VRMMOを始めてこの姿になってから、初めて心の安らぎの場を得られたかもしれない。
それに引き換え、重臣達は、最悪だった。国王の手前、ニコニコとしていたが、重臣達の視線は欲望と猜疑心がモロに出ていた。最低限度、この国の人間からは敵対されないようにする必要がある。油断して、背後から攻撃されては堪らないからだ。
その夜から、1人、また1人と重臣から呼び出される。さすがに、国王の手前、犯らせろとは言わないが、重臣達は皆同様に、『淫夢』が見たいと言ってくるのだ。
『淫夢』とは、夢の中で、理想の相手と好きなだけヤレ、絶頂を迎えることができる。俺には精気が流れ込んで、一時的に強くなれるし、経験値も入る。2晩続けると人族は、そのまま、逝ってしまうため、連続使用はできない。
仕方がないので、2度と言ってこないように『魅了』で親密度をMAXにして、1度だけ『淫夢』をかけてやった。まあ、良い夢をみるがいい。
しばらく付いていると、1度目の絶頂を迎え、精気が流れ込み、経験値が流れ込んでくるのを確認すると、部屋を出る。何度見ても、いい歳したおっさんの痴態は最悪だ。もうこれ以上見たくない。
部屋をでると、そこに案内役のルルが律儀にも待っていた。憔悴しているみたいだ。まあ、そうだろう、どの重臣も男であるかぎりは、俺に欲望をぶつけてくる。男性不信にもなるだろう。
「大丈夫か。ルル?」
「申し訳ございません。うちの重臣達が・・・。」
「ああ、それはわしがサキュバスであるかぎり、どうしようもないぞ。不可抗力だと思って見逃してやりなさい。」
「サキ様は優しいのですね。本当は・・・。」
「まあ、男がどういう生き物か知っているだけだぞ。稀にお前の父のような存在も居るがな。お前、この戦いが終わったらどうするつもりだ?」
「そうですね。勇者の誰かの子供を産んで、王家を維持していく・・・。と考えておりましたけれど、まずは、貴女達を無理矢理召喚した罪を背負わなければなりません。出家して一生償ってまいります。」
「そうか・・・。なら、いっしょに来ないか?その罪、俺達の異世界で償うのが筋だろう。それに、この世界の暗部ばかり見てきたのだから、違う世界が見たいのではないかな?」
「ついて行ってもいいのですか?もちろん、送還者が付いて行った前例はございませんけど、強く思えばできると思います。」
「なら、ついてくるがいい。」
俺も男だな。幻滅されなきゃいいけど・・・。
・・・・・・・
ウォーリーとラインハルトの監督の下、レイ達と戦った魔物よりも高いレベルの魔物を徐々にレベルを上げながら、駆逐していった。基本的な戦い方は、ゲームで培った戦い方で良いようだ。
「最後に、この辺りでは一番強い魔獣と戦ってもらいます。過去の歴史で人族がこやつらを飼いならした例はありませんが、魔族のトップクラスが飼いならしているのを確認しました。もしかすると貴女ならば・・・。」
それは、白いふさふさとした長い毛が特徴の大きな猫だ。昔飼っていた白い猫を思い出した。相手は初めから戦う気はないようで、にじりよってくると、俺の胸元に顔を擦りつけてくる。くすぐったい、そのまま、俺は、押し倒されてしまう。
俺が『魅了』を使って虜にするとさらに過激に嘗め回してきた。こら、ビキニの中に舌を差し入れてくるな!さらに『魅了』を使う。親密度は上がるのだが、過激な行為はやめようとしない。ああ、そうか、こちらは、何も攻撃していなかった。嫌がっていることが、解らないんだ。俺はそのまま、『電撃』を食らわす。
「止めろ!そうか、わかった、わかった。ここがいいんだな。よし、掻いてやるぞ。」
ふと、視線に気付き、周りを見渡すと男共は、涎を垂らして見守っていた。
とりあえず、ルル王女と魔獣をゲット!
次は何をゲットするのか?