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第8章 私はどうする・つ・も・り (3)

お読み頂きましてありがとうございます。

「あと5分ほどでヤシ国際空港に到着します。乗客の皆様は、到着時の衝撃に備えて頭を低くしてお待ちください。」


 俺は、そのアナウンスを聞き、飛行機の大穴が開いているのとは、反対の客室乗務員用のシートに座る。ここなら、座席を見渡せる。テルちゃんも近くの席に移動してきた。


 テルちゃんは、あいかわらずのテンポで私の説明を聞き、他の乗客と同じように前の座席に頭を押し付けるようにした。俺は、テルちゃんに無理矢理、衝撃吸収スキルを取らせてレベルをカンストしておく。


 これで万が一、着陸時に飛行機から放り出されても死なないだろう。本当ならすべての乗客に取らせるべきだろうが、そこまで余分なスキルポイントはない。


 俺は、さらに着陸時の衝撃に備え、客室前方にも『エアウォール』を唱えた。これで乗客が前方にふっとばされても、それほどケガをしないはずだ。


 アナウンスから、4分後大穴に対して『エアウォール』を重ね掛けする。


 そして、タッチダウンのアナウンスが入り、機体に衝撃が襲う。俺は、四方に目を配りながら、いつでも次の行動に移せる態勢でいる。


 飛行機は、ここまで持ったのがおかしいくらいだったらしい。いきなり、右翼のエンジンが火を噴いた。俺は、エンジンに向け『ウォーターボール』を3発投げ、エンジンの火は鎮火したが、今度は、右翼にヒビが入り、右翼がエンジンごともぎ取られていく。


 機体は右に傾き、右にカーブしていく。まずい、このままでは、爆発炎上するのは、確実だ。俺は一か八か、左翼に対して、そして続いて、客室と機首の間に『エアカッター』を使う。慣性の法則で左翼は、吹っ飛び。胴体後部そして、切り離された胴体前部の順で着地するが、なかなかスピードは緩ず、凄い火花が巻き起こる。胴体の周囲に『エアウォール』を掛け、スピードを減速、ようやく停止した。


 左翼は、500メートルくらい先で爆発炎上している。

 機首はそのまま、前方の草むらに突っ込んで停止したようだ。乗務員が助かるといいのだが・・・。


・・・・・・・


 俺は、このままただ救援を待たず、シートベルトを外し、重症者が居ないか叫び、数名居た重傷者の命だけをとりとめる。これだけの事故で死者は、銃撃の際の数名だけで済んだ。


 ようやく到着した救援隊に重傷者を優先的に運ぶように指示する。そして、最後にテルちゃんに肩を貸して、救急車に乗せてもらい。その場を後にした。


 救急車の窓から見た光景は、一生忘れられそうに無い。


・・・・・・・


 世界宗教フォーラムの会場は、急遽ここブタペストに移動して開催されることになった。俺は、さらに積極的に各国の宗教家と面会し、支配下に置く一方、その宗教網を利用し、今回の犯人探しを始めた。


 始めは、ロシア正教会への警告のつもりでロシアの軍部が絡んでいるのかと思ったのだが、どうやらある宗教の過激派組織とそれを支援する軍事産業のトップの仕業らしい。


 俺は、協力関係にある日本の経営者を頼りに支配下に置いたアメリカ財界、ロシア財界の有力者に圧力を掛けてもらい、ロシア大統領とアメリカ大統領を世界宗教フォーラムの招待を受けて頂くことに成功した。


 既に、このときには、世界宗教フォーラムに参加した宗教家の大多数が賛成し、テルちゃんがこのフォーラムの代表になっていた。ロシア・アメリカ大統領の3者会議で今回の事件の銃撃者をロシア・アメリカ、そして世界中の宗教家の力で解決することを宣言した。


 もちろん、直接、両大統領と会談したのは、テルちゃんであるが、俺が通訳を務めており、両大統領とも『魅了』『支配』で支配下に置いている。


 さらに、ローマ法王や事件に関与しなかった宗教の総本山のトップとも相次いで会談し、解決に協力することを宣言すると共に、『魅了』『支配』で支配下に置いた。


 それら宗教家の圧力なのか、一部の社会主義国を除き、国連に加盟する大部分の国のトップがブタペストにやって来ては、協力することを約束し、支配下に置く。


 それらの国の協力を得て、ようやくパトロンだった軍事企業の資産凍結が果たせたが主犯の過激派組織の行方はわからないままだった。


 さらに半年の年月を掛けて、調べた結果、主犯たちの潜伏先は、ある社会主義国家であることが判明したのだ。


・・・・・・・


 その国家は、市場経済にも移行せず、ひっそりと隣国の社会主義国家に寄り添う。そんな国家だ。もうすでに、その国家に関する資産は隣国の社会主義国家以外では、凍結されているのだが、いかんせん隣国が大きいため隣国にとっては、対した負担ではないらしい。


 だか、じりっじりっとその隣国に対して各国が協調して圧力をかけ始めると、あっさりと協力を申し出てくれた。さすがにその国のトップとは、会えなかったが、隣国になにがあろうとこちらに攻撃しないことだけは、確約してくれた。


 どうも、この国に対しては、宗教的圧力よりも経済的圧力のほうが効くようだ。


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