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第8章 私はどうする・つ・も・り (2)

お読み頂きましてありがとうございます。


おまたせ致しました。ネトラレ男が一段落し、更新ペースを変更しましたので、こちらも進めたいと思います。

 あれから、ホステスと教団秘書の二足の草鞋を続けている。俺が・・・公式には、テルちゃんがアフリカの民族紛争を解決したことにより、世界中あちこちからテルちゃんに逢いたいという人間が続出しているからだ。相手は、主に他の宗教関係者だ。テルちゃんと握手した写真を撮り、自分のところの機関紙に掲載するのが目的らしい。


 テルちゃんは行きたがらなかったようだが、教団関係者からすると他の宗教家からの招待ということで、良い宣伝になると考え、俺に相談してきたのだ。俺はふたつ返事でテルちゃんの通訳兼秘書をすることになった。


 テルちゃんはまだ『支配』を行使していないが、『魅了』でほとんど骨抜き状態だ。俺の言うことならなんでもOKなのだ。


 形だけ写真をとり、対談という名の雑談をして、対談記事はお互いの教団関係者が適当にでっちあげるらしい。接待を受けて、寄付を貰って帰ってくるだけの簡単な仕事だ。


 もちろん、テルちゃんは、日本語しか話せないので、俺が通訳だ。『翻訳』は、召喚時の標準能力だと思っていたが、あれは異世界の言語にしか対応していない。そこで、改めてスキルポイントを割り振ってある。1ポイントでカンストしたから、これで最大レベルらしい。


 これで世界中何処に行っても、通訳としてやっていけるはずだ。


 月に1回長期間の遠征に出る。一定レベル以上の宗教関係者に1日に1名~2名会っている。レベルは俺と教団幹部で判断しているが、ほとんどの場合、俺の意見が通る。テルちゃんを説得するのは俺の役割だからだ。


 俺のレベルの判断は単純だ。その国での影響力と上位の宗教との繋がりだ。有名・無名は問わない。その国の絶大な権力を持つ人間が信望していれば、信徒が少なくてもいいし、絶大な権力を持つものがいなければ、多くの信徒を抱えているほうがいい。


 俺が秘書を受けたのは、そのホステスよりも稼げる給与にも魅力を感じたが、世界中の宗教関係者と会えるからだ。ときには、小さな国家だが元首にも会える。


 これらの人々に『魅了』と『支配』をかけ続けているのだ。理由は簡単だ、もう世界で宗教が原因の戦争が起きてほしくないからだ。


 世界の戦争で宗教が絡まない戦争は紀元前のむかしから皆無に等しく、俺は本来の宗教の形である戦争の歯止め役を担わせたいと思い、日夜、支配下に置く宗教関係者を増やしているのだ。


 実際に先日、ロシアの正教会の教主以下幹部を支配下に置いた直後、ロシアがある国に軍事介入をすると宣言したため、ロシアの大統領を正教会から破門すると通達をださせたら、軍事介入はなかったことになった。


 日本とは違い、他の国々では、所属している宗教からの破門は社会的地位を脅かすものらしい。世界中の宗教家にホットラインを持ち、戦争が起こりそうになったら、破門をいう切り札をちらつかせる。それだけでも、簡単に終戦に持ち込めたのが、この1ヶ月で5件もあるのだ。この手段けっこう効果があるみたいだ。


 ただ、世界5大宗教であるユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教は、一部を除き、総本山に近い人間は殆ど支配下に置けていない。


 日本の仏教は比較的全ての宗派が一堂に会することが多いため、比較的簡単に支配下におけるのだが、他国の仏教とは微妙に違うことから、あまり役に立たない。


・・・・・・・


 しかし、意外なところから多くの宗教家を支配下に置けるチャンスがやってきた。国連会議場で行われる世界宗教フォーラムで、テルちゃんが基調講演を行うことになったのだ。


 もちろん、俺もついて行く。政府が用意してくれた国連に向かう特別機にロシア正教会の教主が合流し、キリスト教は枢機卿、イスラム教もスンニ派の指導者が乗り込んできたのだ。


 おそらく、利害関係の少ない日本の特別機だからだろう。他にも指導者レベルに近いユダヤ教、仏教、ヒンドゥー教の宗教家も乗り込んできた。


 ロシア正教会の教主は、顔が広いみたいで枢機卿とも懇意の仲のようだ。その宗教家は、次期法王に一番近いと言われている人物だ。枢機卿といえど男だ。紹介してもらい対面したときに、視線が泳いでいるのがわかった。数秒間で済んだのは、さすがというべきだろう。


 それでも、握手するときに好色な顔を覗かせる。きっと、隠し子が沢山いるのだろうな。


 もちろん、『魅了』と『支配』を掛ける。これでその内、法王にも面会可能になるだろう。


・・・・・・・


 ヨーロッパ経由で向かうのだろう。途中、何箇所かで給油したり、空港の待ち合わせで休憩しながら、ニューヨークにある国連本部まで、行くのだろう。さらに多くの宗教家が乗り込んでくる。


 途中、ある国の上空を飛んでいたときにその悲劇は起こった。ロシア正教会の教主が乗る飛行機中央部が突然、銃撃されたのだ。後で聞いた情報によると、国籍は不明だが、旧ソ連製の戦闘機だったらしい。ロシアでは、既に現役を退いている。


 俺達は、飛行機の後方に乗っていたため、無事だったがロシア正教会の教主とその側近や他国の宗教家が犠牲になったようだ。しかも、飛行機の胴体部分に大穴が開いているのだ。客室は、パニック状態だ。


 俺は、飛行機に衝撃があった瞬間には、例の防具にMPを投入していた。とりあえず、この状態なら飛行機から落ちたとしても、『フライ』で速度を落とせば生還できるだろう。


 俺は、すぐさま飛行機の大穴に対して、『エアウォール』をかける。もちろんスキルポイントで魔術師のレベルはカンストだ。1回に付き、5分くらい持つから、その間に大穴の周辺に居た乗客を次々と飛行機後方へ移動させる。本当は、職業レベルを上げたほうが効率がいいんだが、緊急事態なため、腕力にスキルポイントを投入している。


 怪我人も多数居るが、重傷者を中心に『ウォーターヒール』『魅了』『支配』と抱き込むようにして掛ける。


 『エアウォール』が切れそうだったので、再度『エアウォール』を掛けておく。


 そこで、ようやく客室内にアナウンスが入り、客室乗務員がやってきた。アナウンスでは、近くの飛行場に到着するのにあと15分は、かかるらしい。


 俺以外の乗客は、後方の座席でシートベルトをさせている。


「あなたも、早く座席について!」


 客室乗務員がヒステリックに叫んでいる。


「私は、あの穴を塞いでいるので、ここを離れられないの。」


「貴女は、なにを言っているの。」


 説明してもわからないだろう。俺は、近くにあった座席をひきちぎり、大穴に投げつける。乗客は皆、座席が外に飛び出て行くと思っただろうが、そこには、風の壁があるため、壁で座席の速度が弱まり足の部分が、外に出ただけで落ちる。


「オー、奇跡だ。貴女は、神の使途なのか?」


 後方でその光景を目にした宗教家が叫んでいる。


「そんな、バカな!」


 目の前の客室乗務員は、現実をうまく認識できないようだ。俺は軽く、彼女の顔をひっぱたく。全力だと頭が吹っ飛びかねない。


「とにかく、ここは、大丈夫だから、機長に説明してきて!」


「わかりました!」


 彼女は、我に返ったようで前方に掛けていく。


 俺は、『エアウォール』を切らさないように維持しつつ、他の怪我人に、治癒魔法を掛けていく。宗教家は複雑だ。キリスト教やイスラム教のような宗教ならいいのだが、仏教やヒンドゥー教の宗教家は、女性に触れられないのだから。


 俺は仕方なく、手を翳すようにして各宗教家や側近に対して、『エアヒール』を掛けていく。その度に彼らは、感激し握手を求めてくる。どうやら、それが精一杯の接触なのだろう。もちろん、そのチャンスを逃さず、『魅了』と『支配』を掛ける。しばらくは、俺に対する恋慕で悩ませてしまうだろうが。彼らもそういう思考をシャットダウンする手段を持っているに違いない。


「貴女は、神の使途なのか?」


 彼らは一様にそういう質問を投げかけてくるが、既に気絶状態のテルちゃんを指す。


「彼が神から引き出してくれている力を利用しています。彼は、今瞑想状態なのでそっとしておいてください。」


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