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第8章 私はどうする・つ・も・り (1)

お読み頂きましてありがとうございます。

「よりにもよって、なんでしょっちゅう来るのよ。」


「いいだろ。売り上げに貢献してやってるのだから。」


 そう組のヒモのついたお金は一切排除したが、なぜか組長は、頻繁やって来る。初めは、お気に入りのホステス達がいなくなったので、単にお客として来ているのかと思ったが、わざわざ、指名してくるのは、俺だ。


「また、鉄砲玉がやってきたら、どうすんのさ!」


「大丈夫だ。うちの組は、なんにもしていないのに勝手に潰れてくれたからな。やつらは。替わりに今、シマを荒らしているのはチャイニーズマフィアだ。やつらは、ゴキブリのように叩いても叩いても出てくるが、鉄砲玉を出すほどの勇気はない。」


「へえ、そういうもんなんだ。」


「ああ、ニホンのヤクザの鉄砲玉は、生き残れさえすれば、長期のお勤め後、幹部への取立てという出世パターンができあがっているが。やつら、中国に強制送還されて、死刑で終りだからな、だれもやりたがらんのよ。それよりも怖いのは、暗殺者だな。特に女性の暗殺者は別嬪揃いで床上手なんであっさり、殺られるんだ。うちの組も何人殺られたか・・・。」


「ああ、それで、身元がしっかりしているこのバーにくるのか?」


「まあな。それもあるな・・・。」


「それなら、私なんて、ヤバイんじゃない?殺られるかもよ。」


「ハッ、言っただろう。床上手だって、お前みたいな、処女にできるわけがねえだろ。」


 さすがに処女だとバレているらしい。腐っても組長ってとこか。


「じゃあ、なんで指名するんだよ。お気に入りだったホステスは、いっぱい居るのに。」


「さあな、おめえと話していると楽しいみたいだ。女のなりした、うちの幹部と喋っているみたいだ。なんか、わかんねえけどよ。そうだ、俺の妻にならねえか?」


 うーん、こいつと喋るときは、素に戻るんだよな。気をつけないと・・・。


「極道の妻かよ。はやんねえよ、そんなの。なんで、私に声を掛けるの?あっちやこっちに候補がいっぱい居るんだろうに。」


「そりゃ、その肝っ玉だな。鉄砲玉の前に飛び出していくなんざ、だれにでもできるもんじゃねぇ。それだけの器が無ければ、組を影で纏めていくことは、できねえのさ。」


「ま、ありえないね。私は、平和主義なんだ。ドンパチやってられないわ。」


・・・・・・・


 最近は、組長のほかにも、よく通ってくれる人がいる。なんでも、仏教系の新興宗教法人の二代目なのだとか。


「てるちゃん、いらっしゃい。ひさしぶりね、さみしかったわよ。どっかで浮気してるんじゃないでしょうね。」


「浮気なんて、この店一筋なんだから・・・。ごめんね、少し忙しかったんだ。こんど、法人の雑誌で、アフリカを特集するんだって。戦争をしている地域を回って、教えを説いて回るんだ。」


「アフリカかぁ、何にもないようなイメージだね。よくそんなところに、行くよね。戦争をしているんでしょ、危ないじゃない。」


「南アフリカなら、金が産出されるから金製品は有名だし、世界中のブランドが集まっているね。もしかするとニューヨークよりも、多いかもしれないよ。まあ、戦争といっても、民族同士の小競り合いだし、教えに説くところも有名ホテルだから、ぜんぜん安全なんだけどね。」


「へぇ、いいわね。じゃあ、お土産期待してるわ。」


「そうだ、サキちゃん、一緒に行かない?なんでも買ってあげるよ。だからねぇ。」


「本当に何でも買ってくれる?いつから、行くの?スケジュールが合えば行ってあげるわ。」


「えーと、再来週月曜日から7日間なんだけど・・・。」


「ダメだわ。ダメ、月曜日はダメ。火曜日からだったら、大丈夫だったんだけど・・・。」


 まあ、どういうスケジュールでも断るんだけどね。


「火曜日からなら、大丈夫?それなら、スケジュールを変えてもらうよ。サキちゃんのスケジュール優先で・・・。」


 し、しまった・・・。


「え、そんなことできるの?」


「ああ、違約金さえ払えばなんとかなるよ。」


 くそ、宗教法人だから、金だけは呻るほどあるんだっけ。この店に来るときも、シャンパンや高級ワインに、ボトルも一番高いやつを入れてくれて、次に来るときまでに飲んじゃってと言われるくらい散財してくれる。


 しょうがないか。いざ迫られたら、『淫夢』でもサービスしてあげるよ。


「じゃ、再来週火曜日ね。楽しみだわ。」


・・・・・・・


 パスポートは、学生の時取ったものがある。ビザもどんなコネをつかったのか・・・きっと、金だろうけど、あっさりと取れてしまった。アフリカへはビザの発給だけで数ヶ月は掛かるとネットや旅行情報誌に書いてあったので安心していたのだ。


・・・・・・・


 本当にあるところには、あるんだな。まず、到着した、南アフリカであれも、これもと高そうな貴金属類やお店向きのドレスなどをどんどん、注文していく。しかも、既製ではなくて、すべて、オーダーメイドだから簡単に計算しただけでも、億を超えてしまった。


 しかも、この新興宗教はこのアフリカでも何箇所か支部があるらしく、その支部が主催するパーティーに出て、説教をするだけなのだ。しかも、日本語で。ぜんぜん理解できないことばを聴いて盛り上がるというのを毎回繰り返す。


 『翻訳』で現地の言葉を聞いていても、嘘偽りなく、皆感動して帰っていく。宗教団体とは不思議なものだ。


・・・・・・・


 何を勘違いしたのか、全く不明だが、ある国のパーティー会場で、銃声が鳴り響く、小競り合いがあり、市民の大半が銃を持っている社会と聞いて、例の防具にいつも、MPを投入しておいたのがよかったのか。自分のすぐ近くに銃弾が飛んできたらしい。


 とっさに、てるちゃんに抱きつく、それも怖がっている振りをしてだ。


 周り中、悲鳴が鳴り響き、皆、逃げ出す。それに続こうと、てるちゃんをひっぱって行く。


 しかし、外でもドンパチをやっている最中だった。


 うーんメンドクサイな。


 外では、信者さんやこの国の一般人がどんどん犠牲になっている。このままじゃ、次の国に行けないな。仕方が無いやめさせるか。俺は、ほとんど、気絶状態同然のてるちゃんをひっぱり、ズンズンと、マシンガンを撃っている部隊の隊長らしき人物の下に向かった。


「・・・・・・・・・・・」(やめなさい!この人は、見てわかるとおり、神だ。だから撃っても無駄だ。)


「・・・・・・」(神・・・そんな、私達は神を撃ってしまったのか。)


「・・・・・・・・」(大丈夫だ。神は必ず、お許しになる。今は停戦しろ、わかったな。)


 こうして、両陣営のボスらしき人物が弾丸を弾き返す人物の出現に驚いている間に『魅了』と『支配』で停戦させた。


「ほら、てるちゃん、お説教の時間よ。はじめて!」


 俺がそういうと、てるちゃんは両陣営の前に進み出て、やはり日本語で説教を始めた。



サキがこれからの人生にやりたいことをみつけた瞬間です。

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