第7章 私をどうする・つ・も・り (2)
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翌日からは、昼間は幻影を使い、サクの姿で学生、夜はサキの姿でホステスという二重生活を送っている。ヤルの知り合いには、ホステスが多く、姿だけは妖艶だが中身は男子学生、男の生態については、人一倍知っていても、ホステスをするには経験値が足りない、お姉さま方からいろいろと教えてもらいながらの生活だ。
「ほら、みさき姉さんが呼んでるわ。ヘルプよろしくね。」
このごろ、ようやく、女性としての足運びに慣れてきた。元々そんなにガニマタというほどではないが、異世界では、気にする人間はいなかったが、こちらでは厳しい特にこの世界は厳しいようだ。
「ほら、この娘が最近入った、サキちゃん。」
「よろしくお願いします。サキです。」
このお客さんは、みさき姉さまのご贔屓なので、モノにしてはダメだが、みさき姉さまがいらっしゃらないときに、付けてくださるように、1回だけ『魅了』を掛ける。
その途端、みさき姉さまに釘付けだった視線がこっちのほうに、向く、ぐっ、顔は一瞬だけで、視線はやはり、胸に集中する。そして、おもむろにこちらに手をのばしてくる。
ぎゃー、平静を装いながらも、心の中で悲鳴をあげる。う、思わず下に穿いていた例の防具にMPを投入してしまった。そのとたん、お客様の手は、胸から数センチのところで止まる。不思議そうな客の顔、またやっちまった。
だが、タイミングよくみさき姉さまの手が届き、お客様の手をつねる。
「いがちゃん、オイタをしちゃダメよ。ここは、そういうところでは無いっていつも言ってるでしょ。」
「いや、思わず吸い込まれるように、手が動いてしまった。失敬、失敬。」
お客様は、そうみさき姉さまにいいながらも、隣の客を伺うように言う。
隣にドンと構えてらっしゃる客こそが、ここのオーナーであるXX組の組長、そうヤルの友達のお父さんだ。
初めて会ったときの第1声が酷かった。
「だれだ、こんな下品な女を雇ったのは・・・。」
今でこそ、『魅了』を何度か唱えて、親密度を上げてあるので、なにもいわれないがそれまでは、酷い扱いだった。
辛うじて、その場で『魅了』を使ってしまったほどだった。他のホステスをみると解るが、確かに巨乳レベルのホステスはいない。よっぽど、自分の好みとは違ったのだろう。
雇われママが、ヤルの父の紹介であることを告げると、仕方無さそうに引き下がった。一応、商才はあるらしい。ヤルの父とことを構えてまで、追い出す気はないようだ。
ただ、何かにつけて、あそこが悪いだの、ここが悪いだのと文句を付けてくる。それも、結構、的を得ている文句ばかりなので、渋々、従っている。
カラン・・っと、店をドアが鳴る。だれか、客が入ってきたようだ。一瞬間をおいて、悲鳴が聞こえた。俺は、そのまま走って、悲鳴を上げたホステスと客の間に割り込んだ。
やはり、客は拳銃を持っていた。どうやら、組長を狙った鉄砲玉のようだ。すでに防具はMPを投入してあるので、突入するだけだ。相手の拳銃が火を噴く。もちろん、防具は物理攻撃を弾くのでなんともない。
ほとんど、相手の拳銃が火を噴いたと同時に、当身をする振りをして、『ドレインライフ』を使う。まあ、俺のドレインライフ程度では、2・3回撃たないと、命をすべて奪い取れないのだが、昏倒させることはできる。
突然の乱入者に硬直して動けなかったお姉さま方だが、やっと動けるようになって、周りに集まってくる。実はお姉さま方は、『魅了』を使って親密度を上げてあり、この店はニホンに帰ってきてはじめて作ったテリトリーである。
闖入者は店のスタッフがこのビルにある組事務所につれていったようだ。
「全く、だから、貴様は下品だというんだ。だが、救かった。礼を言うぞ。全く、組のモンはなにをやっていたんだ。締め上げてくる。」
救けてもらっておいて、なんていう言い草だ。まあ、こいつがこの場から居なくなるだけでも、救けた甲斐があったというもんだ。
・・・・・・・
組長が帰った後が大変だった。店のお姉さまは全て、店を辞めると言い出したからだ。皆で新しい店を始めるというのだ。
後で聞いたのだけど、組長のあの言い草を皆が聞いていて、怒りに駆られての出来事だったらしい。当然、俺も誘われたので、一緒に移籍した。お姉さま方が居てこそのテリトリーだ。
あんなことがあった直後の移籍騒ぎだったので、仕方が無いと思われたらしく、別に報復もされていないらしい。ここに、ニホンでの初めての支配地域ができたのである。
遅れて申し訳ありません。
ネトラレ男を優先させて頂いておりますのでご了承くださいませ。