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第5章 私が魔王なの・か・し・ら (2)

お読み頂きましてありがとうございます。

 近衛師団との癒着はかわいいものであったため、放っておくことにした。どうせ、資金が流れてこなくなれば、それまでのツケが回ってきて、堕落するにきまっているのだから、そこで自分を取り戻せば、それなりに信用できる人物だろう。


 それよりも、王宮の役人との癒着振りが酷かった。予算を回して貰うための接待、買収はあたりまえ、各侯爵が役人達の派閥の裏の長をやっている状態では、出世も各侯爵の胸三寸で決ってしまうのであるから、派閥に属していない役人は出世できないに決っている。


 国の予算の半分以上が侯爵達の胸のうちで決められていたのだから、全く恐れ入る。


 まだ、侯爵間で競争するならば、よかったかもしれないが、すべての役職は持ち回りで侯爵達が話し合ってきめていたのでは、どうしようもない。


 侯爵配下の伯爵達もすべて『支配』してすべて供述させた結果を国王シーダーに報告した。


「よし、関わっていた役人のTOPはすべて、切る。侯爵達も代替わりさせる。金を貰っていた役人にはすべて、100倍の罰金をかける。罰金が払えない役人は推薦した貴族がすべて立て替える。」


 うん、そんなところかな。金が欲しいためにしたのだから、罰もお金のほうが良いだろう。ニホンの役人も、これくらいの罰を与えればいいのに、見つかった分だけ返せばOKだなんて・・・。


・・・・・・・


 侯爵達への粛清が終り、改めて代替わりした侯爵・伯爵そして、役人のTOPに隷属の首輪なしの『支配』を掛け終わったころに、それが、やってきた。妖精族を代表するフェアリー族、エルフ族、獣人族を代表する虎人族、狼人族が休戦協定に参加を申し入れてきたのだ。


 とにかく、俺達は、まず、より人族と密接な関係を築いてきた。エルフ族の本拠地であるエルフの森へ向かうことになった。


 妖精族や獣人族とは、魔王が降誕した際に、共同戦線を張ることはあっても、休戦協定などの条約を結ぶことは、ないときいている。ましてや、今回は人族の1国の王の配下である侯爵に対し、『支配』を受け入れるということであり、どんな条件を提示されるのか全く不透明だった。


 エルフの森は、ちょうどニホンでいう長野県の中部、松本市あたりの山間にあるという。中央道付近に1本道があるかぎりで、物資の輸送はわずかに、ヤマト国あたりで取れる塩とエルフの森で取れる材木がやり取りされているだけである。


 近年はエルフが人族の国に降りてきて、密接な関係を結ぼうとやっきになっているが、人族はどちらかといえば、血統主義であるため、うまく関係を結べないそうだ。


 排他的な人族が他の種族と関係を結ぼうというのは、異例中の異例で、おそらく、人族といえど、その中心となっている俺が、異世界の魔族であるというのは無関係ではないのだろう。


 エルフ族の使者の案内で、馬車で進むこと、3日かけてやっとエルフの森にたどり着いた。


・・・・・・・


「ほう、それでは、その条件で『支配』を受けてよいというのだな。」


 その条件とは、俺が10日間エルフの森に逗留して、エルフの長および長老達に『淫夢』を掛けつづけろというものであった。長老の中には、先代の魔王の側近であった先代サキュバスに『淫夢』を掛けられ『支配』された経験を持つものがいるという話だった。


「わしらはの、長い間を生きてきて、ただ退屈なだけじゃ、お主が一生『支配』し続けたとしても、わしらの一生にしてみれば、ごくわずかなのじゃ。それなら、退屈しのぎに『支配』を受けたとて問題なかろう。」


「そんなものですか?」


「そうじゃ、さらにその間、魔族から攻撃を受けないというのであれば、これ以上のことはないわ。そうじゃろ。」


 まあ、確かにその為の休戦協定なのだから、より強固なものになればそれに越したことはない。問題は、隣にいるルル王女の男嫌いが酷くなるくらいであろうか。


「ルル、ここは我慢しろ。そんなに、唇を噛むでないぞ。」


「はい、わかっておりまする。」


 早速、まず、魔法の通りをよくするために、『魅了』で親密度をMAXにする。

 そして、『淫夢』をかける。凄い、凄い経験値が入ってくる。エルフを『支配』する場合に使用するMPよりも、経験値で得るMPのレベルアップのほうがはるかに高いようだ。

 『淫夢』により、絶頂を迎える瞬間に『支配』をかける。心がより無防備なときのほうが、深く『支配』が掛けられる。実は隷属の首輪を使うのも、同様に諦めにより、こころが無防備になるため、『支配』が相乗効果を生むのだそうだ。


 その晩は、さすがにみたくない長老の痴態を多く見たため、ルルを抱きしめて寝た。自分が女性化しているせいなのか、ルルに対して欲望を抱くことはない。逆にルルは、日増しに俺に対して欲望が募っているのか。我慢している姿をよくみかける。


 言ってくれれば『淫夢』を掛けてもよいのだが、さすがに女性に勝手に掛ける事ははばかれる。そんな我慢している姿がみていられなくて、最近はルルを抱きしめて寝るようにしている。ルルと魔獣のチョンを抱きしめて眠ると、その表情がやわらぐのだ。


・・・・・・・


 ようやく、10日間の苦行が終り、エルフの次期、長候補の案内の下、フェアリー族のところへ向かっているところだ。エルフの里をさらに、北上した、長野市あたりにフェアリー族は住んでいるという。


 半日馬車に揺られるとフェアリーの森に到着したという。馬車を降りると、そこには、ユニコーンが居た。ユニコーンは、エルフの次期、長候補に挨拶しているようだ。


「申し訳ありません。サキ殿、先日森で火事があったそうで、フェアリー族はその対応の大わらわだそうです。休戦協定の件は、後日でお願いしたいということでした。」


「それは、大変じゃない、何か手伝えることがあるはずよ。さあ行きましょう。」


 俺が先を急ごうとすると、ユニコーンがこちらに寄ってくると、ふざけたことを言い出した。


「へへん、俺の姿は見えないだろ。サキュバスの『支配』だとぅ。みえなきゃ、どうしようもないだろ!」


 ムカついたので、俺は、正確に剣を振り上げ、ユニコーンの角に当ててやった。すこし、先が欠けたようだ。


「ぎゃー、なにをしやがる・・・なに、まさか、見えているのか?俺様はユニコーンだぞ。清らかな乙女にしか見えないユニコーン様だぞ・・・。」


「悪かったわね。清らかなサキュバスで、えーえー、どうせ清らかさんですわよ。ほっといてよ。」


「むむむ、どうしてくれる。俺の角が、大事な角が・・・。これでは、次期、長になれないじゃんかよ。」


 うるさくて仕方が無いので、『魅了』で親密度を上げたうえで、周辺の森に対して、『ドレインライフ』を掛け、ユニコーンに向かって回復させた。そうすると、ユニコーンは、突然褐色の肌に変わり、種族がダークユニコーンに変わってしまった。


「ほら、治してあげたわよ。もう、うるさくしないでね。さあ、行きましょうか。」


「・・・・・・・。」


 ユニコーンの次期、長候補も、エルフの次期、長候補も呆然としているようだ。


・・・・・・・


 フェアリー族の森では、うまく森から生命力を引き出せなくて、困っている子達や、ケガをして弱っている子達、そして、これから生まれようとしている子達に向かって、『広域魅了』『チームドレインライフ』を掛けて救けた。

 皆同じように褐色の肌に変わって、種族も変わったようだが、皆の命のほうが大切だと思い、積極的に『広域魅了』『チームドレインライフ』を多用したところ、その場に居たフェアリー族の大半が、褐色の肌になった。まあ、皆同じになったんだから、いいだろう。


 なぜか、言葉少なにお礼の言葉を言って貰い、長老達からの『支配』を引き出し、フェアリー族の森を後にした。はぁー、たまにはいいこともしないとね。


・・・・・・・


 虎人族も、狼人族にも、それぞれの王より、戦いを挑まれ、『ハイドレインライフ』で倒したところ、皆尻尾を巻くように、ナンバー2からナンバー5までが『支配』を受け入れてくれた。



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