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プロローグ

お読み頂きましてありがとうございます。

 VRMMOが開発されて、X年目のこの年、ゲーム廃人が蔓延るVRMMOに画期的なシステムを持ったゲームが登場した。チームプレイ専門の「みんなでGO!」がそれだ。


 1つのIDで4人~6人がログイン可能。但し、年長と年少の年齢差は1歳未満であること。まさに、同級生同士でしかプレイできないゲームなのだ。人数が4人以上と限定されていることから、ぼっちが多いゲーム廃人が集めきるのが難しいのだ。


 他のVRMMOで遊んだ仲間で構成しようにも、リアルであってみれば、年齢がバラバラというのがほとんどだ。さらにリアルの付き合いが必要なため、ネカマ、ネナベの発生も抑えることができる。


 まあ、ネカマといってもアバターによって体型まで変化する男の娘だったりするので、全く区別が付かないのだ。しかし、公然と排除は出来ない。本物の性同一障害も存在するから、そんな事をすればバッシングされる。


 このところのゲーム業界の不況はこのネカマ、ネナベ、ゲーム廃人の3者によるものと共通認識され、近年はいかにこの3者を排除できるかが、ゲームの成功の可否を握っていると言っても過言ではない状態だった。


・・・・・・・


〈よし、入れたか?〉


〈ばっちり!〉


〈よし、よし!〉


「ん、何か言ったか?」


「サキ、なんでもないよ。」


「サキって呼ぶな。サクだ。日渡咲サクだ。サカリ、それよりも、入手できたんだろうな。」


「ああ、この通りさ。」


 といって、サカリが1つのパッケージを取り出した。これこれ、4人の身分証明書どころかDNA検査データまで登録させられたんだよな。そこまでして、ゲーム廃人を排除したいのかよ。


 俺達4人は、なにかというと学校非公式のゲーム同好会のメンバーなんだ。昔は正式なゲーム同好会があったらしいが、少子化の影響で1つの学年に1クラスしか存在しないのでは、同好会を維持できなくなり、廃部となったらしい。実際は、これまで、学年1人くらいだったが、非公式ながら同好会の担当教師がゲーム好きだったせいか。部室だけは確保できていた。


 まあ、少子化の影響で、教室はガラ空きなのだが・・・。

 高2、高3に部員がいなかったせいなのか、たまたま俺達の高1に4人もゲーム好きがあつまったのだ。そして、例のゲームだ、これはやるしかない。というわけで、今、親が海外で活動中という矢瑠ヤルの家に集まったのだ。


 VRMMOのヘッドセットを被り、獣人ジュウトの掛け声が聞こえたあたりで、凄く眠くなってきた。おかしい、昨日興奮しすぎて眠れなかったのがダメだったのか?


・・・・・・・


 俺が目を覚ますとちょうど、チュートリアルが始るところだった・・・・。え、キャラメイクは・・・。俺は自分の姿を見下ろすと、そこにはとんでも無い光景が見えた。


「なんじゃこりゃ!露出狂かよ。」


 胸の谷間が見える。それも超きわどい、三角形に切れ上がった胸当てはほとんど乳首しか隠れていない。そのたわわな、Fカップはあろうかという胸の輪郭が丸見えなのだ。しかも、他の部分も、パンツはわずかな三角布で後ろはTバックだし、なのに黒くて長い手袋と黒くて長いブーツを履いていた。


 俺は急いで、ステータスをみるとそこには、「種族:サキュバス」の文字が見えた。ほかにも、回復系の魔法スキルも取得されているようだ。俺は頭に手を持っていくと其処には、立派な角が・・・丸くなっているから、やぎみたいな角だ。


「サキが寝ていたから、いつもの通り、回復魔法系と補助魔法系を取得しておいたぞ。それで、よかっただろ。」


 う、確かに事前に話し合って、俺が回復と補助魔法系を受け持つことは話し合ったが、これは聞いてないぞ。


「なんで、インキュバスじゃなくて、サキュバスなんだ?」


「ああ、ちょうどいい衣装のアバターが出ていてな。思わず買ってしまったんだ。課金は全部そこに付きこんだぞ。喜べよ。」


 俺は1万円しか入れられなかったけど、4人が出し合って、課金用の口座に30万円入れたんだよな。それをすべて、使ったってか。


「うーん、やっぱり、サキは似合うな。襲えるものなら、襲いたいくらいだ。」


 VRMMOのルールは国の法律で決まっていて、男性キャラが女性キャラを触ろうとした場合、触る直前で男性キャラに電撃が与えられる仕組みになっている。

 逆に、女性キャラが男性キャラに触れないのは、股間だけとなっている。女性キャラが胸や身体を押し付ける分には、自由なのだ。もちろん、俺はそんなことはしないが・・・。


「まさか、俺に痴女行為をさせようってか。」


「サキちゃん、してくれるの。よろしくお願いします。」


「するわけ無いだろ。気もちわりぃ。」


・・・・・・・


 チュートリアルが済み、各自は最低限の武器やHP回復ポーションを貰って、始まりの街に到着したとこだ。


「くそ、なんで、俺だけ、鞭なんだ。それも黒光りしてて、SMの女王みたいじゃん。」


「まあまあ、そう言わず鞭で絡め取って、電撃を食らわしたサキちゃん、かっこよかったよ。」


 あれも嫌だった。鞭を振るうときに、上半身を大きく振りかぶらなくてはいけなくて、いつ、胸当てがはずれるかと、ひやひやしながらやったからな。アバターなんだから、外れないのは解っているが・・・。こいつらは、胸をガン見だったけど・・・。


 まあ、俺もあちら側にいれば同じように胸を見るだろうから、せいぜいできるのは、睨みつけるだけだ。

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