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月傾く淡海  作者: かざみや
2/8

第二章 「海石榴市(つばいち)の少年」

 「淡海へ行け」という託宣を葛城一言主に下された倭文は、一晩で心を決めた。

 ぐすぐすしていても、始まらない。恐らくあの神は、何らかの意図をもって倭文を試そうとしているのだ。

 近江へ向けて旅立つ決意をした倭文は、次の日の早朝、一人で葛城の里を立った。

 何も言わずに姿を消すと騒ぎになるので、ごく親しい近習の者に「しばらく旅に出る」とだけ言付けた。無論彼らは慌てたが、倭文は昔から王族の姫に似合わず一人でどこかをふらふらとしていることが多かったので、さして強く止めることも出来なかった。

 

 倭文はまず、東へ向かって飛鳥を抜けた。

 三輪山の麓まで出れば、そこからは北の山背国へ向かって山の辺の道が続いている。この道は大和と他の地域を結ぶ最大の要所であり、周辺を行き来する旅人の多くがこの道を利用していた。

 飛鳥で一晩過ごし、山の辺の道の起点である「八十やそのちまた」に入った時、陽はちょうど中天にさしかかっていた。

 この「八十のちまた」では、日によって大和最大の市「海石榴市(つばいち)」が立つ。

 どうやら今日はその日に当たっていたようで、道のそこここに人々が店を広げ、それを物色する旅人などで辺りは大変な賑わいだった。

「どうだい、入ったばかりの鮑の干物だよ!」

 ちまたの目立つ場所で、真っ黒に日焼けした男がことさらに大声を上げている。

 広げたむしろの上には沢山の土器が並べられ、それぞれにウニ、鮫、鮑、若布などの魚介類の干物や塩漬けが溢れんばかりに盛られていた。

 山に囲まれた大和には、海がない。こうした海産物は、熊野灘などから保存用に加工されて運ばれて来るものばかりであったが、それでも相応の貴重品であり、常ならば身分の高い者の口にしか入らない。

 その品々が、こうしてふんだんに商われているのを見るだけでも、この海石榴市の豊かさ、規模の大きさがわかるようだった。

「……こっちはとれたばかりの早米だよ! 赤も黒もあるさ!」

 向かいの老婆が負けじと声を上げる。かなりの老齢であるのに、それを感じさせないほどの威勢のよさだ。

 ここにいる者は、商い主も客も、みな活気に溢れていた。人々は生気に満ち、喧噪さえも楽しい。

 ここで生活の糧を得ている人々には、「大王崩御」など、何の関係もないことなのだろう。

 倭文は市を見るのは初めてだったので、興味を引かれるまま、あちらこちらと足を運んだ。

 とれたての野菜や茸、果物などの食料品はともかく、土器や下駄、衣や櫛など、ここで扱っていないものはないくらいだ。

 倭文は若い娘なので、やはり衣や帯などの華やかな品に目を引かれる。

 装飾品を扱った通りを物色して歩くうち、倭文はふと、ある店の前で足を止めた。

 その筵の上には、色とりどりの真新しい糸束が並べられている。浅黄、紅、紫紺など、目にも鮮やかな色に染められた糸は明らかに高級な品で、こんな道端に置かれているのは不釣合だった。

「……お姉さん、目が高いね」

 一人で店番をしていた少年が、倭文に声をかけた。

「ここだけの話だけどさ。これ、新羅から入ってきた特別品なんだ。このまま見過ごしたら、お姉さん一生の損になるよ」

 倭文は少年に目をやる。

 まだ、十歳くらいの幼い男の子だ。それなのに、妙に世慣れた喋りかたをする。それが倭文のかんに触った。

「……君、ひとり? 他に大人の人はいないの?」

「いないよ。俺は、一人で商いをやってんだ。ここは俺の店だぜ」

 少年は、少しむっとしたように言い返した。

 確かにこの頃、戦乱や飢えで親を亡くした孤児は都の外に多かった。彼らは、幼いころから生きる術を自分で身に付けていくのが常だ。

(それにしても……)

 倭文は少年の姿を凝視した。

 彼は、あまり豊かではないのだろう。袴も履かず、素足にごく簡素な膝上までの衣を着ていた。伸びた黒髪は、角髪を結うこともなく、無造作に一つに束ねただけである。

 奴卑とまではいかなくとも、明らかに下層の者だ。それが、こんな高級な品を扱えるものだろうか?

「……お姉さん、いい身なりをしてるね。もしかして、身分の高い人?」

「--そう見える?」

 倭文は警戒しながら答えた。

 旅に出るにあたって、倭文は持っている装束の中で、最も地味なものを選んできていた。

 男装も試してはみた。しかし、自分は体の線が細いわりに背が高いので、どうも青年にも少年にも見えず、かえって怪しくなるだけだった。

 仕方がないので、とりあえず無地の青衣の裳をつけ、その上に旅用のおすいを羽織ることにしたのだ。

「うん、すごく品が良さそう。それに、美人だよ」

「さすが、お世辞がうまいわね」

「ほんとだって。俺も、商売柄色んな女の人見てきたけど……お姉さんは、なんていうかな、ただ綺麗なだけじゃなくて、うーんと、なんか特別な雰囲気があるんだ」

「……へえ」

 倭文は少し感心しながら呟いた。

 意外と、この少年は鋭いのかもしれない。

 全体に色素が薄く、線の細いつくりの割に、瞳だけに強烈な意志を感じさせる倭文の面は、葛城の生粋の純血の--言い換えれば、葛城王族の特徴だった。

 確かに一種独特の危うい雰囲気であり、誉められることもあったが、倭文は自分の造作をそれほど気に入っているわけでもなかった。

 何故なら、この容貌は「倭文自身」ではなく、「葛城そのもの」を表わしているに過ぎない。

 ただ葛城の血を引いたから、この姿で生まれてきただけ。その証拠に、一つ下の弟の香々瀬も、やはり倭文とそっくり同じ顔なのである。

「やっぱりお姉さんみたいな人にはさ、特別な品が似合うよ。……ここにあるのも、いいやつなんだけど」

 少年は声を落とし、小声で倭文に囁きかけた。

「この裏にね、気に入った上客にしか見せないとっておきが隠してあるんだ。……お姉さん、見せてあげるよ」

「……」

 あからさまに怪しい、と倭文は思った。

 よく見れば賢そうな顔立ちをしているのに、こんな手に相手がひっかかると思っているところが、まだ子供だ。

 別に無視して立ち去っても良かった。

 そもそも、市に糸を買いにきたわけではないのだし。

 ただ--。

 倭文の中で、何かが引っかかっていた。誘いかける少年の目つきが、妙に必死だったからかもしれない。

 説明できない何かが、倭文をこの場から離れさせないでいた。

「……じゃあ、見せてもらおうかしら」

「--わかった、ついてきてよ!」

 嬉しそうに笑うと、少年は顔馴染みらしい隣の店主に店番を頼み、倭文を伴って歩き始めた。

 

 少年は早足で表通りを抜け、入り組んだ裏道へと入る。

 いったいどこへ行こうというのか。人通りはどんどん少なくなり、やがてまったく人気のない川辺へ出た。

「……こんなところに、『とっておき』があるわけ?」

 そんなわけないだろう、と思いながら倭文は尋ねた。

 少年は答えず、立ち止まる。

 不意に彼は両手を上げると、掌を打ちながら大声を上げた。

「--つれてきたよ!」

 その声を合図にして、突然、草むらから三人の男達が現れた。

 いずれも屈強で、手に得物を持った、人相の悪い連中だ。

「世間知らずのお嬢様だ。多分、お忍びの旅の途中ってとこじゃないのかな」

 少年はすばやく男達の後ろに隠れ、媚びるような声を出す。

「ふうん、こりゃ……どっかの族の郎女いらつめってとこだな。おいガキ、よくやったな。今までで一番の上玉だぞ」

 頭目らしき男は、卑しい目つきで倭文の全身を眺めながら呟いた。

「おい、女。死にたくなければ、身につけてるもの、全部ここにおいてきな」

 男達は倭文を取り囲み、得物をかざして凄む。

「……まあ、こんなことだろうと思ったけどね」

 あまりにも予想通りの展開に、やや辟易して倭文はため息をついた。

「--ああ? 何だって?」

 男が眉を顰める。

 ――次の瞬間、倭文は無言で地を蹴った。

 襲の下に帯びていた平剣に手を当て、一瞬で抜き払う。

 白色の襲がはためき、長い刀身が陽光を反射して鋭く煌めいた。

 倭文は、踊るように舞った。--少なくとも、少年の目には、そう見えた。

 しかし、倭文が鮮やかに着地したとき、彼女の回りにいた三人の男達は、全員胴から血を噴き出して地に倒れていた。

「……まったく。面倒くさい」

 呟きながら、倭文は軽く平剣を払う。刀身を流れる赤い血が、無数の粒となって空に散った。

「な、なな、なんだよ、お前……」

 一人取り残された少年は、腰を抜かして唇を震わせた。

 眼前で行なわれたのは、彼がこれまで何度も見てきたのとは、まったく違う光景だった。

 いかにも育ちのよさそうな郎女が、剣を振り回して少年の兄貴分達を一蹴してしまうなどと……いったい誰が想像しようか?

「……どうやら、襲の下の『これ』は見えなかったみたいね」

 平剣を持ったまま、倭文は少年に近づいた。

 この「腕」を持っているから、倭文は女一人で平気で旅が出来るのである。

 元々体力と反射神経には優れていたが、倭文がここまでの剣の達人になれたのは、よくも悪くも一言主のおかげだった。

 幼い頃あやまった好奇心から、今では王族でさえも立ち入らない葛城山に踏み込んだ倭文は、そのころには伝説となっていた一言主に出会い、その後十年以上に渡って「ひまつぶし」の相手をさせられた。

 つまり、否応なく剣と武術を仕込まれたのである。

 倭文の実感としては、一言主は「守護神」というより、むしろ「師」にあたる。

 無論相手は『神』であるから、今まで一度も剣で勝てたことはないが、倭文は人間が相手なら、この世の誰であっても負ける気はしなかった。


「……なんでこんなことしてるわけ? そりゃ、子供が一人で生きていくのは大変だろうけど、盗人の手下に成り下がるより、ましな方法がいくらでもあったんじゃないの?」

「--お前みたいな、苦労知らずのお嬢様にわかるもんかよ!!」

 座り込んだまま、少年は倭文を見上げて睨め付けた。

「決めつけてくれるわね。苦労してないって、君に何故わかる?」

 断定的な少年の口調に、倭文は少し気分を害した。

「喰うのに困ったことなんてないくせに! そんなの、見ればわかるさ!」

「たとえそうだったとしても。矜持を失って、薄汚い生き方をするような者に、何も言われることはないわね」

「……『薄汚い』、だと!?」

 倭文が冷淡に言い放った途端、少年は双眸に剣呑な光を浮かべた。

「馬鹿にするな! そりゃ俺は、今は父ちゃんも母ちゃんも死んじまってこんなことやってるけど、これでも誇り高い葛城一族の血を引いてるんだからな!!」

 瞳を滾らせながら、少年は大声で叫ぶ。

「……葛城?」

 思いもかけぬ言葉を聞き、倭文は反射的にそれを反芻した。

 右手を上げると、少年の鼻先に向けて、平剣の切っ先を翳す。

「言っておくけど、軽々しく騙っていいような名じゃないわよ、それは……」

 倭文は厳しい表情で少年に告げる。

「う、嘘じゃない! 母ちゃんが、死ぬ前に言ったんだ。俺達は、葛城一族の末裔だって……」

 倭文の気迫に気圧された少年は、幼い顔をひきつらせながらも、必死に反駁を試みた。

「俺達の御先みおやは、昔は金剛山の麓に里を持ってたんだ。だけど、何十年か前の戦で、里は滅ぼされて、一族は散り散りになった。何とか生き残った連中は、宗我まで逃げ延びて、そこに住み着いた。俺達はそこで素性を隠して、奴卑として働いてきたけど、どんどん数も減っていって、とうとう俺の一家だけになっちまったんだ……」

 急き込むように話していた少年は、突如倭文の前で無防備に顔を歪めた。

「俺が五歳の時、父ちゃんは誰か偉い奴の、でかい墓造りにかりだされて、そこで大石崩れに巻き込まれて死んじまった。……母ちゃんは、その後いっぱい無理をして、すぐに病になっちまった。でも母ちゃんは、言ったんだ。今はこんな土蜘蛛みたいな暮らしをしてるけど、俺達は、誇り高い葛城一族の血を引く者だから。それを絶対忘れるなって……」

 喋っているうちに感極まったのか、少年はついに黒瞳から涙を溢れさせた。

「……」

 倭文は少年を見下ろしたまま、手に持った平剣を下ろす。

 ――どういうことだろう、これは。

 金剛山は、葛城山のすぐ南に位置する山だ。二つの山は、かつて「双子山」とも呼ばれ、それぞれの麓に元を同じくする葛城の一族が住んでいた。

 北の葛城山には、倭文たち「葦田葛城氏」が。そして、南の金剛山には、「目弱王の乱」で泊瀬の大王に滅ぼされた、「玉田葛城氏が……。

 少年の言う、『何十年か前の戦』とは、「目弱王の乱」のことだろうか。それを逃げ延びた族人の一部が、宗我そがに土着したと?

 宗我は、耳成山の西に位置する土地だ。場所的にいって、無理のある話ではない。

 しかし……。

「君が葛城の血を引くと、証できるものはあるの?」

「……そんなものない。でも、母ちゃんは嘘をつかない。--俺も、つかない」

 目を涙で濡らしながらも、少年は毅然とした口調で言った。

「さて、ね……」

 倭文は困惑して呟いた。

 自分がもし巫女姫として生まれていたら、こういうとき真実が見抜けたりしたのだろうか。

 氏族にとって、己が系譜は最も重要なものだ。

 しかしそれ故に、自らの血統を高貴なものと偽る者は後を絶たない。

 日々の生活に困窮する奴卑が、自分たちは実は名門豪族の末裔なのだと、せめても夢見るのは、ありえないことではないだろう。

 いちいちそんな世迷いごとを相手にしていては、らちがあかない。

 --けれど、もし、『真実だったら』?

 玉田葛城氏を--葛城襲津彦を祖とする、眷属の半分を救えなかったことは、未だに一族の負い目となっている。

 まして、倭文は王族だ。いくら何十年も前の、生まれる以前のこととはいえ、自分にもその責はある。

 その時倭文はふと、一言主の託宣を思い出した。

(失われたはずの、もう一つの葛城の血が顕れた……これが、私の『求めるもの』……?)

 --いや。

 倭文は、すぐに自分の考えを打ち消した。

 ここは、淡海ではない。

 一言主は、倭文の求めるものは淡海にある、言った。

(……だけど、これもまた、探しているものの一部なのかもしれない……)

 迷いながら倭文は頭を振った。

 逡巡ばかりが続き、結論なんて出やしない。

 つくづく、族長なんてやらなくてよかった、と思った。

(……ああ、そういえば。こういう時、真偽を定める旧い方法があったなあ)

 不意に倭文は思いだし、少年に向かって言った。


「君の言ってることが真実かどうか、確かめる方法が一つだけあるけど。やってみる? それで君が本当に葛城の一族だったら、命は助けてあげる」

「……違ったら?」

「盗人、騙り。二重の罪ね。この場で斬り殺すわ」

 倭文は平然と告げた。

 まだ律令の法が整備されるにもほど遠いこの頃、都の外で罪を犯せば、そんなふうに簡単に処断されても文句を言えなかったのだ。

盟神探湯くがたちっていうのよ。煮えたぎった湯の中に石を入れて、それを素手で取り出すの。もし君が真実なら、火傷も何もしないはずよ。やるなら準備するけど。--どう? 試す勇気ある?」

 問いかけながら、倭文は少年の様子を注意深く観察した。

 少年は一瞬怯んだように体をすくめ、瞳を周囲におどらせる。しかし、倭文に切り殺された兄貴分たちの死体が目に入ると、彼女に挑むような視線を向けた。

「--いいさ。やるよ! 俺は、嘘なんかついてないんだから!」

「へえ……」

 倭文は少年の威勢に感嘆した。

(……つまり、少なくとも、自分で『嘘をついている』とは思ってないわけね)

 意外にも、少年のその一言と迷いのない瞳が、倭文の彼に対する印象を変えさせてしまった。

「早くやれよ! 俺は、恐くなんかないんだからな!」

 少年は必死に虚勢を張っているのだが、彼のその姿は、どこかいじらしくも感じられる。

(……ああ、駄目だ。私やっぱり『姉』なんだよなあ……)

 倭文は心の内で苦笑した。

 適わないくせに反発してくる幼い者を、どうしても無下にはできない。

 その姿は、常に倭文の後を追ってきた、あの生意気で出来の悪い弟に重なってしまうから。

「……いいわ、君が葛城の一族かもしれないことを、信じましょう」

「--へ!?」

 いきがっていた少年は、きょとんと目を丸くした。

「まだ……何も、やってないのに?」

「盟神探湯の裁きっていうのはね……行なう前に決するのよ」

「やる前に、でる?」

 意味が分からず、狼狽したように少年は聞き返す。

 倭文は彼のその姿を、微笑ましく感じた。

(……ああ、かわいいなあ。やっぱり子供ね)

 ついからかいたくなってしまう自分を押さえながら、倭文は少年に教える。

「嘘をついている者は、心に疚しさがあるから、それがどこかしら態度に出るものだわ。盟神探湯は、それを見極める旧い裁きよ。実際に煮え湯の中に手を突っ込まさせるわけじゃないわ」

「……なんだ、もう……。脅かすなよ。俺てっきり、本当にやるもんだとばかり……」

 ほっとした少年は安心して肩を落とし、地面に手をついた。

「……じゃあ、あんた、信じてくれるんだな。俺のこと……」

 倭文を見上げた少年の目に、今までとは違う色が浮かんだ。彼の中に、倭文に対する、これまでにはない信頼が生まれ始めている。

「今まで、誰も俺の言うことなんて、まともに相手してくれなかったのに……兄貴たちだって……」

「まあ、ね……」

 倭文は腰に手をあてて呟く。

 どのみち、いつか一言主に会わせる事ができれば、真実ははっきりするだろう、と思った。

「それにしても、なんでこんな商いをしてたの? 望んでやってたわけじゃないんでしょ」「まさか! うまくやらないと殴られるから、言うこときいてただけさ」

 吐き捨てるように言い、少年は周囲の死体を一瞥した。

「……母ちゃんが死んだ後、俺は何度も人買いに売られた。ひどい仕事ばっかりやらされて、満足にできないとまた売られた。--最後に俺を買ったのが、この兄貴たちだったってわけさ」

「……そう。それで、これからどうするつもり?」

「さあ。俺はまだガキだからな……またどっかに買われるか、奴卑に戻るかだろうな」

「……え?」

 少年の返事を聞いて、倭文は愕然となった。

 折角彼を縛り付けていた男たちがいなくなったというのに……この少年の頭には、始めから「自由に生きていく」という発想が無いのだ。

 それが、彼の抱えた現実なのか--そう思った時、倭文の口を自分でも思わぬ言葉がついて出た。

「--わかった。じゃあ、私が君を買おう」

「……あんたが?」

 少年は、驚いたように顔を上げた。

「なんでさ、急に」

 少年は訝りながら、突き刺さるような視線を倭文に向ける。

「私が今、そう思ったから」

 倭文は、事実だけを率直に答えた。

 明確な理由など、自分自身にも分からない。

 けれど、そうしたいと思ったのだ。――他ならぬ、この自分が。

「……いっとくけど、俺は、そんなに安くないよ」

 少年は強がってみせる。

「--これでどう?」

 倭文は、上衣の下につけていた「珠の御統たまのみすまる」を首から外し、少年に渡した。

 白糸をよった緒で作られた御統には、磨き抜かれた翡翠の勾玉が十五個も連ねられている。

「これ……これ、こんな高いもの……?」

 御統を受け取った少年は、面食らって上擦った声をあげた。

 裏稼業の為とはいえ、長い間海石榴市で店を出していたのである。

 この御統がどれくらい価値のあるものか、さすがの少年にもおおよその察しはついた。

「この勾玉一つで、立派な館が建てられるんじゃないの……?」

「まあ、人一人の値段にしては、安いほうかしら? でも今は旅の途中だから、あまり持合せがないのよ。それで手を打たない?」

「あんた、本当に世間知らずだね……。俺が兄貴たちに売られた時は、栗一袋と引き換えだったよ。……なんか、このまま一人で旅させるの心配だなあ」

「私の腕は見た通りだけど」

「いや、そういうんじゃなくて。絶対途中で変な奴に騙されそう……よし、わかった。あんたについていく!」

 覚悟を決めると、少年は初めて倭文に朗らかな笑顔を見せた。

「じゃ、決まりね。--君、名前は? あるんでしょ」

「俺は……稲目いなめ。宗我の稲目。あんたは?」

「私は、葛城の倭文。--葛城一族の首長、香々瀬王の姉よ」

 そう言いながら、倭文はふと自分で「嫌な名乗り方だ」と思った。  

 「誰かの何か」だなんて。付属物であることだけが、己の価値であるかのようではないか。

 かといって、「葛城の女首長」と名乗る機会を蹴ったのは、他でもない自分なのだが……。

「葛城!? あんたが、葛城の人なの? しかも、首長の姉って……じゃあ、あんた、葛城のお姫様!?」

「まあ、そういうことね。--ところで稲目、この辺の土地には詳しい?」

「え? ああ、そりゃ……ずっとこの界隈で売り買いされながら育ったから」

「そう。じゃ、ちょうど良かった」

 そういうと、倭文は驚いたままの稲目に向かって軽く笑った。

「私--実は、方向音痴なのよ。ちょっとこの先不安だったの」



 大和領内。泊瀬の列城宮。

 宮殿みやどのの奥から、長い合議を終えた各豪族の長たちが、三々五々に退出しようとしていた。

 合議は、早朝から始まって、日が傾く頃まで続けられた。途中何度か食事などの休憩を挟んだとはいえ、これほどの長さで続けられるのは、滅多にあるものではない。

 香々瀬は、ほっと息をつきながら、一人で回廊を歩いていた。居並んだ首長の中では最も若い王の一人だったが、その分老獪な先達たちに囲まれた心労は並のものではなかった。

 合議の間には、いかに大豪族といえども、供人を連れて入ることを許されない。長い緊張から解き放たれた香々瀬は、心安い族の供部の元へ早く戻ろうと、短いきざはしに足をかけた。

「--お待ちを、葛城の首長どの」

 そのとき不意に、香々瀬の背に向かって声をかけた者があった。

 香々瀬は、階に立ったまま振り返る。

「これは……大伴の大連おおむらじどの」

 香々瀬の背後に立っていたのは、大連・大伴金村おおとものかなむらだった。

 大伴氏は、古くから大和朝廷に仕えてきた名門氏族である。「むらじ」とは、武門を統括する官の役職で、「大連」はその頂点を指す。即ち、朝廷内でかなりの実力を持つ、首座の重臣の一人だった。

「……何か私にご用でも?」

 香々瀬は警戒しながら口を開いた。

 もう四十に近い金村は、その生涯の殆どを乱と戦に費やしてきた男だった。彼の関わってきた争いには、必然なくして起こったものも多いと聞く。

 これまで直接話した事は殆どなかったが、香々瀬は金村に対し、あまりよい印象を抱いてはいなかった。

「はは、そう邪険にされるものではない。別に、とって喰おうとしているわけではござらんよ」

 金村は朗らかに笑った。

 金村は上背も高く、がっしりとした体躯で、いかにも武人らしい剛毅な面立ちをしている。しかも彼の態度には、長い間朝廷の荒波を潜り抜けてきた者独特の、自信と余裕が備わっていた。

「ところで、今日はお一人で来られたのかな? 姉姫はご一緒では?」

 自分より遥かに年下の香々瀬に対し、金村は慇懃な口調を崩さずに問いかける。

 そんな彼の態度が逆に気に触り、香々瀬は露骨に仏頂面になった。

「葛城の首長はこの私です。姉が今日この宮に来る理由などありますまい」

 香々瀬は渋面のまま言い返した。彼の眼に、苛立ったような光が浮かぶ。

「おや、これは失礼。いや、そういう意味ではござらぬよ。この宮にも美しいものがありますのでな。お目にかけるのなら、姫がご一緒のほうがよろしいかと思ったのだが。いやしかし、清らなるものを愛ずるのに、姫も王も関係あるまい」

 金村は豪放に笑った。

「--美しいもの?」

「ご覧になられるかな? よろしければ、こちらへ」

 そう言うと、金村は香々瀬の返事も聞かずに回廊を歩き始めた。

 勝手な金村のふるまいに、香々瀬はしばし気を害して憮然としていたが、やがて不承不承といったていで彼の後についていった。

「……香々瀬王どのは、この列城宮に来られて、どのくらいになられるかな」

 前を向いて歩いたまま、金村が聞いた。

「先年母が亡くなった頃からですゆえ……まだ、数えるほどでしょう」

「ああ、先の女首長どのか……いや、あの方は、なかなか手強い御方でしたな」

 懐かしむように言いながら、金村は苦笑する。

「列城宮以外の大王の宮へ行かれたことは?」

「……ございません。首長を継ぐまでは、あまり葛城の外へ出ることも少なかったので……」

 金村の背を追って答えながら、香々瀬は姉の倭文を思い出した。

 本当に、あらゆる点で、姉と自分は正反対だ。

 幼い頃から、姉は御館の中にいたほうが少ないくらいで、気がつくといつもどこかを一人でほっつき歩いている、風変わりな姫だった。

 母たちも、口でこそそんな姉の素行を叱ってはいたが、心の中では姉のことを信頼している様子だった。

 そして族人の姉に対する尊信を見せつけられるたび、香々瀬は無言の内に責め立てられているような気持ちになったのだ。

 一人では何もできない、迂愚な王子よ、と……。

「--大王は新しく即位するたび、いや時には在位中であっても、しばしば新しく宮を造営したがったものです。なかでも、最も豪壮な宮殿を築いたのは、泊瀬の大王だったと言われているが……」

 回廊の曲がりで金村は立ち止まり、振り返って香々瀬が追いつくのを待った。

「この列城宮は、歴代の中でも、むしろ索漠とした造りのほうですな。若雀の大王が、あまり雅趣に興味を持たれない方だったからでしょうが……」

「そうかもしれませんね」 

 香々瀬はあたりを見回しながら呟いた。

 大王崩御以降、人気も減って閑寂としてきたこの宮は、どうも落ち着かない。生まれ育った葛城の御館の方が、よほど壮麗で活気もあるというものだ。

「……しかし、そんな中でも、宮人は少しでも華やかさを持たせようと努力している。……そら、首長どの。ご覧なさい」

 奥庭に沿った回廊を進んでいた金村は足を止め、庭の一角を指さした。

「あれは……」

 大半が宮の影に覆われている中、わずかに陽のあたっている場所に、香々瀬は眼を凝らす。

 そこには、紫花の群生があった。

「桔梗ですよ。采女が、庭造りに命じて植えさせたものです。ちょうど盛りを迎えていましてな。……さして珍しいものではありませんが、こうした宮の一角にひっそりと咲いているのを見ると、不思議と心休まるものではありませんか?」

「……確かに。可憐ですな」

 小さく花弁を広げた桔梗を見ながら、香々瀬は呟いた。

「われわれは、ただこうして愛でるだけですが。韓国からくにでは、あれを食するそうですよ」

「あの花を……食べるのですか?」

 香々瀬は少し驚きながら言った。

「半島から渡ってきた者によれば、咳止めに効果があるとか。--いや、試してみたいとは思いませんがな」

 金村は磊落に笑った。

 どう答えてよいものか分からず、香々瀬は黙って彼の笑いが収まるのを待つ。

「……いや、それにしても、首長どの」

 笑声を止めると、金村は急に平板な声で香々瀬に言った。

「今日の合議も無益でしたなあ。まったく、いたずらに時を重ねただけ……いや、今日だけではない。これまでも、これからも。何度ことをはかろうとも、あの場で真実など出てきはしませんよ」

「--大連どの?」

 急に蕩々と語り始めた金村の姿に不穏なものを感じ、香々瀬は小声で聞き返した。

「……首長どのは、若雀の大王を弑逆した者が誰か、ご存じですかな?」

「--っ、それが判れば、連日の合議など……! それに、罪人の行方は、今必死に物部の大連どのが調べておられる最中で……っ」

「……しびですよ」

 金村は、低く、凄味のきいた声で言った。

「もしくは、その残党といったところでしょうな」

「鮪……!?」

 香々瀬は、驚愕しながら慌てて辺りを見回した。

 自分は、今、とんでもないことを聞かされている。

 万一にも、これが周囲に漏れたら大変な事になのではないか--。

 しかし偶然か、それとも金村の意図によるものなのか、そこには二人以外、人の姿はなかった。

「鮪、とは……?」

「ああ、首長どのはまだ幼かったから、ご存じではないでしょうなあ。昔、若雀の大王がまだ日継の皇子であられたころ、物部の影媛かげひめという方を娶ろうとされたことがあったのですよ。しかし、影媛はすでに、当時の大臣おおみであった平群真鳥へぐりのまとりの息子、鮪と恋仲でしてね……」

 金村は、思い出を懐かしむように遠い目をしながら、その口元に嘲笑を浮かべた。

「当時の平群の大臣の威勢は、群を抜くものでした。影では、大臣自ら大王位を狙っているのではないかと、噂するものもあったくらいでね。まあ、今となっては真偽のほどはわかりませんが……。大伴もそうですが、あの頃古い豪族の殆どは、平群に対して反発を抱いていたものでしたよ。--そういう、父親の威光を嵩にきたのでしょう。影媛を争って、鮪は皇子に無礼を働きました。それは、いろいろとね……」

 何がおかしいのか、金村は喉の奥でククッと声を漏らした。

「皇子はたいそう我慢をされたものでしたが、やがて限界がきました。当時私は皇子にとても信頼されていたのでね。皇子は、私のところにどうするべきか、相談にいらしたのです。私は即座に申し上げましたよ、『そんな不敬の輩は、斬っておしまいなさい』と……」

 その時金村の瞳に浮かんだ不穏な光を見て、香々瀬はうっすらと戦慄を感じた。

「私は数千の兵をあげ、逃げ路を塞ぎ、鮪を奈良山に追いつめて討ち取りました。なんと、影媛はこの乱の折、果敢にも追ってきて、恋人が殺されるまでの一部始終を見たそうです。その後、媛は悲嘆にくれ、こんな詠を歌ったとか……」

 言うと、金村は、夕日の沈みかける紅の大和の空へ向かって朗々と歌い上げた。


 石の上 布留を過ぎて こも枕 高橋過ぎ 物多に

 大宅過ぎ 春日 春日を過ぎ 妻隠る 小佐保を過ぎ

 玉けには 飯さえ盛り 玉もいに 水さえ盛り

 泣きそほちゆくも 影媛あはれ


「……影媛は、そのまま泣きぬれて亡くなったそうです。愛息を討たれた平群大臣は、とうとう叛逆の兵をあげる準備を整え始めた……という、噂が流れました」

「――噂?」

「ええ、証拠などありませんでした。……逆に言えば、証拠などいくらでも作れたのですよ。平郡は、専横が過ぎました。誰も彼に味方しようというものはなかったのです。そうなると、権力者など、哀れなものでね」

 金村は冷ややかに言った。

「私は皇子に申し上げましたよ。『平群をお討ちなさい』とね。皇子は私に将軍をお命じになりました。私は兵を率い、大臣の館を取り囲み、火を放って焼き払いました。鮪の科は一族に及び、全ては根絶やしにされました。……そのはず、でした」

 金村は、憂うように、ゆっくりと告げた。

「しかし、最近、さる筋から妙な情報を掴みました。鮪は生きている……そして、若雀の大王に恨みを晴らしたのだと、ね」

「しかし、もしそれが事実なら、一連の乱で皇子の将軍を預かったあなたの、重大な失態では……!?」

 香々瀬は混乱しながら、悲鳴のような声をあげた。

 これは、尋常な話ではない。

 朝廷にとっての一大事――いやそれ以前に、金村にとってはその進退を、もしくは自身の命運さえも傾けるような秘事だ。

 それを何故、自分などにあけすけに語るのか!?

「平群が没落した後、長く日継でいらした皇子は、正式に大王に即位なさいました。――この、列城の宮でね。それまで「連」であった私は、この武功により大王から「大連」を拝命いたしました。……長い間、物部に独占されていた大連の位をね。やっと私の代で、わかつことが出来たのですよ。これは、長い間の一族の悲願でしたからな……」

「――それで……!?」

 香々瀬は顔を引きつらせた。

 いったい金村は、この自分に何を言おうとしているのか。

「滅んだ平郡に代わり、空位となった「大臣」の座についた者……それが誰か、香々瀬王どのには、おわかりかな?」

「それは……まさか……」

 香々瀬は喘ぐように呟いた。

 背中を冷たい汗が流れ落ちる。

「先の葛城の女首長どの……そう、香々瀬王どのの、母君ですよ」

「――!!」

 香々瀬は、胸の奥を鋭い刃物で切りつけられたような衝撃を受けた。

 長く、大和の政治の中枢にあった母。

 あらゆる政に無関係ではいなかったであろう母が、金村の語った策謀の裏にいたと……そういうのか?

 大王と大臣と大連の座を掴むために、皇子と葛城と金村が、密かに手を組んでいたと!?

 愕然と立ち尽くす香々瀬の姿を見下ろして、金村は慰めるような笑みを浮かべた。

「我らはみな旧い豪族ゆえ……これまでに、様々なしがらみを背負っておる。香々瀬どのは、歴史ある葛城一族の首長。けして、この責から逃れることはできませんぞ……?」

 金村の言葉は、香々瀬の頭に重く呪詛のように響き渡った。

(これが……これが、旧き大豪族を背負うということなのか?)

これまでの一族の歴史全てを――清濁問わず、その全てを引き受けねばならないと? その責任が、首長である自分にはあるのだと……。

 不意に、香々瀬はこの場から走り出したくなった。

 こんな恐ろしい話からは逃げ出して、何もかも放り出してしまいたい。

 ――しかし、そんな香々瀬の心を見透かしたかのように、金村は両手でがっしりと香々瀬の肩を掴んだ。

(いまし)は……私に何を……?」

「そう恐れることはない、首長どの」

 金村は、まるで頼もしい父であるかのように、香々瀬に向かって笑いかけた。

「鮪の件は、我らが引き受けよう。もともと、我らの身から出た錆ゆえな。首長どのは、新たな大王を立てることに、力を尽くしていただきたい。……先の女首長どのが、若雀の大王をお立てして、大臣の位についたように。首長どのも、新たな大王と共に、空位になっておる大臣の座につかれよ。それが、葛城の役目ですぞ……?」

「葛城の……役目……」

 力なく呟く香々瀬の肩を叩きながら、金村は心の奥で満足気に嗤った。

(噂通りの小者だ……思った以上に、御しやすい)

 金村の眼前に立つ少年は、大豪族の首長とは思えぬ儚さだった。

 確か十六になるということだが、そうは見えぬほどに華奢で幼い。

 綺麗な角髪には櫛を挿し、上質の絹のそこここを珠で飾っていたが、それらはまるで、主の少年を押しつぶす錘であるかのように、金村には見えた。

 この若い首長は、臆病で弱い。

 色白で柔和な面立ちをしているのだから、いっそ少女に生まれていればまだ救われたのに、と金村は哀れんだ。

(――姉姫のほうは、何を考えているのか分からず、得体のしれない不気味なところがあったがな。もし姉が首長についていたら、母親の時以上に手強いことになっただろうよ……)

 しかし、もう遅い。

 葛城は、最大の過ちを犯したのだ。

(まったく、こんなのが首長で、葛城も気の毒に……最も、俺にとっては幸いだったが)

 金村はほくそ笑む。

 こんな少年を操るのなど、彼にしてみれば、わが子を扱うよりもたやすいことだった。

「それで……私にどうしろと?」

 案の定、香々瀬はすがるように金村を見上げてきた。

 心得たとばかりに金村は、香々瀬の耳に用意してあった情報を吹き込む。

「丹羽の国の桑田という所に、橘王(たちばなのおおきみ)という方がおられるそうです」

「――橘王?」

 香々瀬は怪訝そうに聞き返す。これまで、一度も耳にしたことのない名の王族だった。

「第十四代『足仲彦(たらしなかつひこ)の大王』の、五世孫に当たられる方だそうですよ。性なさけ深く、風格のある御方とか。……まずは、訪ねてお会いになってみてはいかがかな?」

 香々瀬の肩をぽんぽんと叩きながら、金村はつくりものめいた温和な笑みを浮かべた。





(第二章おわり 第三章へつづく) 



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