Ⅰ
初めての小説を書きました。拙い文章力だとは思いますが温かい目で見守っていただけたら嬉しい限りです。
暗闇の中から誰かが言った。
僕が生きる世界は君たちの世界と違い何が起こってもおかしくない
ジョウシキ ヲ ステタモノ ダケガ イキラレル セカイ キミハ ドウ?
暗闇から目が覚めた世界はいつものベットと天井ではなく、草と空だった。
しかし、テレビで見る青空とは違い、太陽が笑っていることが直視できるのだ。
ざくっ
動くたびにまるで氷の上を動くような音がなるが、視覚で確認できるのは草がカーペットのように当たり一面を敷き詰めていた。
このまま何もしないのも良いのだが、なぜか動かないといけない気がした。
何か手がかりを掴むために立った。世界自然遺産に登録されていそうなほどに美しいカーペットを見渡しているとポツンと一つ淡いピンク色があった。近づくとどうやらウサギのぬいぐるみがあった。ウサギは可愛いとは思うが何とも間の抜けた顔だ。
何か手がかりかもしれないと思い、抱き上げた途端に映像が流れた。
―なぁ・・・・。誕生祝いだ。お・お前の・・・す・好きなうさ・ちゃんだ・ぞ・・・・・・・・
画像も声も途切れ途切れで映画なら見れたものではない。
話しかけてきたのは父親か親戚のおじさんか、お兄さんではなさそうだ、包み込むような温かい安心できる気がした。視点と話しかけられ方からするに子供、幼稚園ぐらいだと思われる。
ふと我に返るとウサギのぬいぐるみを落としてしまった、拾うためにしゃがむと、ぬいぐるみは自らの後ろ足で立ち、話だした。
「酷いことするなぁ。ふぅ折角、洗濯されて間もないのにぃ。」
「ごめんなさい。」
「ん?」
ウサギは嬉しそうに間の抜けたつぶらな目で見てきた。
「久しぶりのお客様かぁ、アンネ様も喜ぶぞぉ。プクク」
「アンネ様?」
ウサギはとても驚いている、顔は相変わらず間が抜けている代わりに体中で表現をしている。
「ど、どうして創造主のことを!!!しまったぁ」
うん、隠し事などできない性格らしい。
「うっきー!!!とにかく急いで帰らなきゃ!!!」
ウサギはサルと同じ鳴き声なのか?ただ顔と違いウサギらしく走るのは速かった。
「待って!聞きたいことがあるの!」
追いかけながら考えた“ウサギの主=創造主=アンネ”今いちピンとこない。
相変わらずウサギは早かった。よく考えるとあんな愛らしい短足、いや体なのに追いつけない。
あれから、どのくらい走ったのだろう、笑う太陽は動いた形跡はないようにも見えるし、疲れを感じないということは、まだそんなに走っていなのだろうか。
軽い坂を走っているようだ、頂上に立つと丘になっているようで見晴らしが良いのだが、困ったことにウサギがいない。ほかに変わったことは、湖が見えたことだ。
仕方がないので湖に行くことにした。湖というよりは海のように果てしなく広く青い。
普通のように思えたが、やはり違った。それはすぐに分かった。だからと言って湖の水が変なのではない、手を入れれば冷たく優しく受け入れ、掬い上げれば、行き場のない水たちは隙間を見つけて流れ出る。つまり水という物体としては何の問題はない。
見上げれば太陽は笑い空は晴れ渡っている、右は湖、左はカーペットが広がっていて、何もない。しかし、湖に移るのは、暗闇に誘うように木は生い茂り誘うかのように月は不気味に笑う。
ウサギは見失ってしまうし、周りにあるのは動くと雪を踏むような音がなる草むらと怪しい湖・・・・・・・
どう考えても頭で理解できないことが起こっていることは明確、ということは夢なのか?
「ジョウシキ ヲ ステタモノ ダケガ イキラレル」
不意につぶやいた。どこで聞いたのか、わからない。
もしかしたら、この湖の向こうの世界に行けるのではないか?いや、きっとそうだよ。
「ってなわけで、考えるのやめて!飛び込むとすっか!!」
冷たくゆっくりと落ちていく、水面から離れていく。一秒経ったのか一時間経ったのか分からない、冷たすぎて麻痺をしているのか、息が出来ないから苦しいからか考えることもままならないまま、溜め込んだ体内の空気を吐き出した。きっと随分、沈んだんだ見上げても光が見えない。死ぬのか、それもわからない、もしかしたら、もう死んでいたのかもしれない。