始まりの出会い
玄関のドアが勢いよく開いた。
「剣夜! 何時だと思っているんだ!」
怒鳴り声が家の中に響く。
時計はすでに深夜0時を回っていた。
青年は何も言わず、鋭い目で男を睨み返す。
――天神 剣夜。
本作の主人公、17歳。
そして怒鳴っている男は、剣夜の父である
**天神 正俊**だった。
「剣斗はお前と違って真面目だった……。なのにお前ときたら、稽古もろくにせんと夜遊びばかり! 天神家の面汚しが!」
正俊の怒声は止まらない。
その言葉を聞いた瞬間、剣夜の表情が険しくなる。
「また兄貴の話かよ……」
低い声で呟き、父を睨みつける。
「兄貴は関係ないだろ!」
剣夜は感情を抑えきれず、言い返した。
天神家は代々続く、剣術の名門として知られる家系だった。
剣夜の二つ上の兄、
**天神 剣斗**は、まさにその名に恥じない剣士だった。
剣道大会では負け知らず。
若くして圧倒的な実力を持ち、誰もが次期当主として認める存在だった。
しかし――
二年前。
剣斗は突然姿を消した。
理由も分からないまま行方不明となり、
それ以降、消息は一切掴めていない。
跡取りを失った正俊は、残された剣夜に厳しく当たるようになった。
母親はそのショックで倒れ、今も入院している。
そして剣夜もまた、その重圧と家庭の崩壊に耐えきれず、次第に荒れた生活を送るようになっていた。
「そんなに私が気に入らないなら、この家から出ていけ! 二度と帰ってくるな!」
正俊は怒鳴りつけるように言い放った。
剣夜は一瞬だけ父を見据える。
その瞳には怒りと、どこか寂しさが混じっていた。
だが、次の瞬間には表情を消し――
「ああ、そうするよ」
それだけ言うと、振り返ることもなく玄関を出ていった。
バタン。
静まり返る天神家の廊下に、ドアの閉まる音だけが響いた。
⸻
――場面は変わる。
夜空の下。
巨大な飛行船のような乗り物が、城の発着場に停泊していた。
その前で、一人の少女が乗り込もうとしている。
「レイ姫! 一人で行かれるのは危険です! 我々も御一緒に!」
慌てた様子で衛兵たちが止める。
少女の名は――
レイ・スティンクス。
19歳。
スティンクス王国の第一王女である。
だが本人は、そんな忠告など気にも留めない様子だった。
「別に危険なんてないわ。ちょっと行きたい所があるだけよ」
そう言って飛行船の梯子に足をかける。
そして振り返り、ニヤリと笑った。
「言っとくけど、お父様に言ったら……」
目が鋭く光る。
「……あんた達、容赦しないからね?」
衛兵たちは思わず顔を見合わせた。
王女の命令には逆らえない。
結局、誰も止めることはできなかった。
そして――
飛行船は静かに浮かび上がり、夜空へと消えていった。
⸻
――場面は変わる。
山の上。
一人の青年が、眼下に広がる町を見下ろしていた。
天神 剣夜だ。
(家出したのはいいけど……)
昇り始めた朝日を眺めながら、頭をかく。
(これからどうしたもんかなぁ)
その時だった。
突然、空間が歪む。
まるで空が裂けるように、目の前に奇妙な穴が現れた。
次の瞬間――
猛烈な風が吹き荒れる。
「なんだよ!? これは!」
剣夜は思わず叫んだ。
強烈な突風に体が持っていかれそうになり、慌てて近くの木にしがみつく。
そして、その歪んだ空間――
ワープホールの中から、巨大な影が姿を現した。
飛行船だった。
「おいおい……マジかよ」
剣夜は目を見開く。
やがて飛行船はゆっくりと地面に降り立った。
同時に、荒れ狂っていた風も静まる。
しばらくして――
飛行船の扉が開いた。
中から一人の少女が降りてくる。
それを見た剣夜は、とっさに木陰へ身を隠した。
(あいつ……何者だ?)
金色の髪。
身体には金属の鎧。
(外国人か……?)
しかしすぐに首をかしげる。
(いや、外国人でも鎧なんて着ないよな……ゲームじゃあるまいし)
剣夜は木陰から様子をうかがう。
一方、レイは周囲など気にする様子もなく、ただ静かに朝日を眺めていた。
その隙を見て、剣夜はそっと飛行船へ近づく。
そして誰にも気づかれないように中へ忍び込んだ。
「うわ……」
思わず声が漏れる。
内部には見たこともない装置や機械が並んでいた。
(近未来すぎないか、この飛行船……)
まるでSF映画の中だ。
剣夜は警戒しながら歩く。
(あいつ……何者なんだろうな)
そしてふと思う。
(宇宙人とかじゃねぇだろうな……)
もしそうだったら――
(バレたら殺されるかもな……)
そう考え、急に怖くなってくる。
(とにかく、バレる前に降りよう)
そう思った、その時だった。
飛行船のドアが開いた。
レイが戻ってきたのだ。
剣夜は慌てて物陰に隠れる。
レイは気づかないままコックピットへ向かった。
そして――
飛行船が動き出す。
「え?」
剣夜は固まる。
「嘘だろ!? 動き出しやがった!」
その瞬間。
レイが何かを察知したように振り返った。
足音を立てて戻ってくる。
そして――
剣夜の姿を見つけた。
「あなた、何者!? 何してるのよ!」
レイは腰の剣を素早く抜き、剣夜に突きつけた。
剣夜は慌てて両手を上げる。
「お前こそ何者なんだよ! 急に現れて! 宇宙人か何かか?」
「宇宙人じゃないわよ! 失礼ね!」
レイは怒鳴り返す。
「私が聞きたいのは、どうして飛行船にアンタが乗ってるのかってこと!」
剣夜も負けじと言い返した。
「急に現れたのはそっちだろ! 空が破れて飛行船が出てきたんだぞ!」
その言葉を聞き、レイはハッとする。
「……そういうことね」
小さく呟いた。
「やっちゃったわ……」
そう言うと、剣を鞘に収める。
剣夜は少し安心する。
しかし――
次の瞬間。
「ごめんね」
レイはそう言うと、
剣夜の腹へ思いきり蹴りを叩き込んだ。
「グほぉっ!」
鈍い音が響く。
剣夜の体がくの字に折れ、そのまま床へ倒れ込んだ。
完全に意識を失う。
静まり返る飛行船。
レイは気絶した剣夜を見下ろしながら、小さくため息をついた。
「……とりあえず、連れていくしかないわね」
そして飛行船は――
異世界へと向かって飛び続けるのだった。
天神 剣夜
年齢:17歳
身長:172cm
体重:63kg
性別:男
家柄:天神家 次男
外見:
整った顔立ちで爽やかな雰囲気を持つ青年。
運動神経が良くスタイルも良いため、同年代の女子からはそれなりに人気がある。
性格:
地頭が良く、本気を出せば何でもそつなくこなせるタイプ。
ただし基本は少し面倒くさがりで、家の流派に縛られることを嫌う自由な性格。
剣の腕:
剣の才能は非常に高い。
しかし、代々続く 天神流 を好んでおらず、型に縛られない 我流に近い剣 を使う。
そのため天神家の中では少し問題児扱いされることもある。
レイ・スティンクス
年齢:19歳
身長:161cm
体重:50kg
性別:女
身分:スティンクス家 第一王女
外見:
透き通るような美貌を持つ絶世の姫。
整った顔立ちと引き締まったスタイルを持ち、気品と華やかさを兼ね備えている。
一見すると典型的な王女に見えるが、その瞳には強い意志が宿っている。
性格:
非常にプライドが高く、負けず嫌い。
誰かに守られる「姫」という立場を嫌い、自分の力で道を切り開くことを望んでいる。
そのため、王族として扱われることに反発することも多い。
戦闘スタイル:
素早さと技術を重視した剣術。
体格差を補うため、スピードと正確な斬撃を得意とする。




