甘々ホットケーキ完食指令!
なろうラジオ大賞7 参加作品。
テーマは「ホットケーキ」
「ねぇ塩見君。いつになったら一緒に行ってくれるの?」
「そのうち」
昼休みの教室で、彼女の甘野が詰め寄ってくる。
「もう! 私のこと好きじゃないんでしょ!」
「そんなわけ……」
「もう知らない!」
声を荒げた甘野は、そのまま走り去ってしまった。
様子を見ていた甘野の女友達が、俺の周りに集まってくる。
「ついに怒らせたね。いい加減に一緒に行ってきなよ。塩見、ふられちゃうよ」
「俺は何度も嫌だって言ってるんだ」
そんな事言ってもだな。
あいつだって、俺が甘いの苦手だって知ってるくせに……
駅前にある喫茶店。
ここではジャンボホットケーキが大人気。
味が良いだけではなく、それをカップル2人で一緒に完食すると幸せになれる、という迷信が価値を上げていた。
テレビやネットでも取り上げられ、今や校内でも知らない者はいない。
もちろん甘野も黙っちゃいない。
何度も一緒に食べようと誘ってくる。
ただ、俺は甘いのが苦手なんだ!
逆にはアイツは甘党で、甘味は別腹理論の持ち主。
「いい加減、行ってあげなよ。ほら、これあげるから仲直りしなさい」
と勝手に予約券を押し付けて、
「もしもし甘野? 塩見君がね、例のお店の予約、取ったって」
「おい!?」
こうして俺は覚悟を決めることに。
一週間後。
俺達はその店に向かう事に。
小洒落た店内に甘い香りが漂う。それだけで吐き気を催す。
はしゃぐ甘野と席に座ると、店員が恭しく熱々のホットケーキを運んできた。
何枚も重ねられた高層ビルのようなケーキ。
メープルシロップがこれでもかと降り注ぐ。
写真よりもデカくね?
なんで甘い物に甘い物かけるんだ?
「ねぇ、早く食べよ」
「お、おう」
なんの迷いもなく喰らいつく甘野。
俺は……
この日の為に特訓し、秘策を編み出したのだ!
こっそり持参した
お好み焼きの具材!!
「なに振りかけてるの?」
「シナモンだよ」
と言って鰹節と青のりをかける!
「それは?」
「チョコだよ」実はソース。
「バター?」
「うん」チーズです。
その他、キャベツ、紅生姜を粉末状にした物をかけ……
こうして俺達は無事にホットケーキを完食!
最後に記念撮影して、店内に写真が貼られる。
「美味しかったね」
「あぁ」
「これで私たちも公認甘々熱々カップルだね」
「そうだな」
めでたしめでたし。
……が数日後、
「ねぇ、知ってる? この店!」
「今度はなんだよ」
「ここのクレープ、すごく美味しくて人気なんだよ! 行こうよ!」
……次はクレープかぁ。
生春巻か、春餅にでもするか。




