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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

前世がウィルス由来の新生物の世界。

あなたと手を繋ぎたかった。

作者: カゼ ルビネ

子供?の死ぬ表現があります。

苦手な人は読まないでください。

「ケーキ、美味しいねえ。アイウも食べさせてあげるから」

私は自分の膨れたお腹を撫でる。

『ヤイユ、むりするなよ』

アイウちゃんが返事をしてくれた。

アイウは私、ヤイユが死にかけの時に現れてくれた。

私は賢い研究者の家系の家に生まれた。

けれども賢いが故に偉い人の気づいて欲しくないことに気づき、そして私以外死んだ。

病死、事故死なんかだ。

まだ幼い5歳の子供も例外ではなかった。


『なにこれ、アタシ。畳の上で死んだはずじゃあ』

血だらけで魔法事故として魔獣ばかりの廃墟都市に転移させられたときに、アイウが目覚めた。

私のすごく前の先祖でひいばあちゃんがアイウさんのひ孫だった。

アイウの知識をもとに魔獣だらけの廃墟都市を生き残った。

そして、アイウのアドバイスをもとに銀髪青目の姿とムメモという名前を変えて、色んなものを作り、お金も稼いだ。

『お金はありすぎて困ることは、ほとんどない。

稼げる時に稼げ。』

そこから一軒家を手に入れた。

『これでひとまずは安心だ。人間同士のコミュニティに入れた。』

アイウの知識と私が仕入れてきた知識をもとにたくさん便利な道具や薬を作った。

そしたら発明の女王なんで呼ばれるようになった。

『あくまでも、アタシはアドバイスしただけだからなあ、行動にうつしたのはヤイユ。』

アイウに、お礼を言えばそう返された。

事故の怪我と体が健康になるに従って、アイウの言葉が少しずつ少なくなっていった。

語りかけても返事がない時が増えてきた。

『アタシ、ヤイユにいることはイジョウ。あたしはノウもどきだからね。いずれ消えるの。カラダから消されるの。』

とんでも無いことを教えられた。

「待ってよ。消えないで。絶対に消させない。わたしの家族」

そうして、アイウに体を用意することにした。

わたしの体の中にいるから、アイウが消されそうになっているんだ。

なら、アイウを消そうとしない。アイウだけの体を用意すればいい。

アイウの知識によれば、人の体の中にある細胞はある一つを除いて基本的にどんな部分になるか決まっている。

ある一つは、女性の卵細胞。

わたしが女性に生まれたことをとても感謝した。

わたし自身の体を操作すれば、アイウはこの世で一緒にいることができる。

相手もいないのに一人でに腹が膨らむのは目立つ。

だからとりあえずそこら辺にいる私の監視でハニトラ要員の男に声を掛けた。

私はすごい研究をしすぎて、結構身分の高い家やそれの関係者からのアプローチが多かった。

「ヤイユさん、僕、エビシ・デイでいいんですか」

求婚者の中で一番身分と腰が低く、かつ研究の邪魔をしない存在を選んだ。

男はまんまとハニトラに私がかかったようで嬉しそうだが違う。

こっちがお前の存在を利用しまくってやる。

腹の中のアイウの存在を誕生させるまでの偽装として。

そこから、幻覚の魔法を使って、初夜を偽装した。

『ヤイユ、くるしい』

ごめんね、アイウ。もうすぐ、あなたの体を用意してあげるから。

そう思いながら、腸に包まれていたアイウの脳を腹の中に移動させた。

発生させた私の細胞とアイウの脳はすぐに馴染んで、普通の赤ん坊と変わらない姿に見せている。

「ただいま、ヤイユ。そして僕たちの愛しい子」

エビシは私の状態を報告という仕事をして帰ってきた。

嬉しそうに私の腹を撫でる。

申し訳ないが、この男には利用させてもらう。

そうして、年月が過ぎて、アイウを産む時だった。

攫われた。

エビシの雇い主とは別の組織が私を攫った。

ろくな設備もない状態で死にかけた。

起きてみれば、平らな腹。

「ごめん。僕がアイウをまもれなくて」

エビシは泣きながら謝ってきたが頭に入らない。

アイウはへその緒が絡まって死んだ。

普通に病院に生まれていれば助かった。


アイウはどこにいったの。


そこから私の世界は灰色になった。

私はただあなたと手を繋ぎたかっただけなのに。

読んでくれてありがとうございます。

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