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最終章 物語を超えて
夜空に星が瞬く。
エリオは城のバルコニーに立ち、嘗てアンジェリカとして過ごした日々を思い出す。
女装も、悪役令嬢も、全部偽りだった。
でも、そこで感じた孤独も、優しさも、全部、本物だ。
ルネッタがそっと隣に寄り添う。
「貴方は誰よりも誠実な方です。私はそんな貴方を愛しいております」
エリオは彼女の手を握って微笑んだ。
「ありがとう。愛しているよ、ルネッタ」
星の下、二人の影は一つに重なる。
女装の悪役令嬢の物語は終わった。
だが、彼の物語は。
まだまだこれからだ。
THE END