第六章 陰謀の全貌
ミーアの協力でエリオは影の派閥の動きを追跡する。
彼らはルネッタを『魔術事故』で失脚させ、王家の正統性を強調しようとしていた。
「……それなら、私が罠になるしかない」
エリオは自らがルネッタを『攻撃する』と偽装し、影の派閥を誘い出す作戦を立てる。
学園祭の夜、ルネッタに毒入りの紅茶を渡し、『悪役の最後の悪行』として舞台に立つ事にしたのだ。
もちろんその紅茶は偽物。
毒など入ってはいない。
当日、影の派閥が本物の毒を混入しようとした瞬間、エリオはそれを暴露した。
「貴方達こそが、ルネッタを害そうとしていたのですね」
会場は騒然。
ヴィクター殿下も駆けつけ、真相が明るみになる。
「アンジェリカ・デーソル……君が何故それを暴く事が出来たんだ」
ヴィクターが問いに、エリオは深呼吸してこう答えた。
「……私はアンジェリカ・デーソルではありません。私……いえ、僕はエリオ・ノクティア・デルソル。男です」
衝撃の事実だったのか、会場が凍りつく。
水を打ったように静かになると、エリオはウィッグを外して男の姿を晒した。
「王家が僕に命じたのは『悪役令嬢』を演じる事。でも僕は、正義を守るために戦いたい。ルネッタさんを守る為に──」