生徒会会議1 ~王の謎と未来の弾計画~
長円形のガラス机に、四人が向かい合って座っている。窓の外、雲が低く流れる。
東宮四季は、王の行動パターンを分析した資料を静かに広げながら語る。
「王くんは明らかに、戦術よりも“人の心”に長けているわ。私が負けたのは、力ではなく心の揺らぎを突かれたから…」
自身の敗北を、淡々と、それでもどこか悔しげに振り返る。
栄国ウェールズがぽつりと呟く。
「いや待てよ、あいつ実は時間停止とかしてないか? あるいは、未来視の能力を──」
「──ないないない!」「寝言か!」「設定盛るな!」
一斉にツッコミが飛び、会議室に一瞬だけ笑いが漏れる。
疾風流星は冷静に作戦面を振り返る。
「奴の地形利用は計算されたものだ。勝つつもりじゃなく、“勝たせない”戦い方をしている。つまり、全てを見ている第三者の視点に近い。」
「……つまり、全てを見ている第三者の視点に近い……」
それを聞いた四季が、眉を寄せる。
「まるで……観測者?」
「そうだ。観察者。記録者。そして、起点でもある」
疾風の言葉に、会議室が静まり返る。
中田真奈香が口を開く。
「私が気になるのは…王くんの周囲に集まる人々。敵だった者たちが、皆…何かを見出して変わっていく。これは偶然じゃない。彼の“在り方”が、私たちの常識を揺るがしているのかもしれない」
彼らは、協力して戦うことを模索するが、お互いの能力が干渉し合い、結局まとまりきらず、一旦解散となる。その空気の中、未来の弾計画の進行状況が報告される。
だが、その発案者・五頭龍について、真奈香がぽつりと呟く。
「…あの人の目は、何かを見透かしてる。私たちが“駒”にされている気がするの。信じきるのは、危険かも…」
誰も返事をしなかった。
窓の外、雲の流れがぴたりと止まったように感じられた。
会議室の空気が、一枚の薄氷のように、静かに張り詰めていく。