5.いざ、ダンジョン一層 スライム野郎
誤字脱字、読みにくい部分を加筆修正いたしました。
おはようございます。池上翔太 魔法高等学校ーさいたま校ー2年C組 ダンジョンビギナー探索者です。
今日は、昨日作ったカレーです。アーポンドカレー中辛です。リンゴとハチミツが決め手です。
お肉入りです。半額最後の1パックをゲットしました。何か達成感がありました。昨日の負けを取り返した気分です。
半額牛乳(買って3日目)を飲んでいるとお通じがすこぶるいいです。タンパク質が熟成した健康食品です。
朝食は半額パンにカレーを付けて食べます。
これから5日朝晩カレー三昧です。2日めが最高です。5日めはちょっと酸っぱいです。
美味しいです。
今日は、昨日のリベンジです。対策は考えました。装備は同じですがツナギは予備を入れました。
「よし!!」と気合を入れて玄関ドアを開けるとアライさんご一家がこちらにお尻を向けて座っています。向こう側には、耳が切れた歴戦の勇士っぽい猫が”にゃうーー”と唸りながら威嚇してきます。
あ、徐ろにお母さんが立ち上がりました。
お母さん大きいです。体格差二倍でしょうか。お母さんが一歩進むと歴戦の猫は、一歩下がります。
お母さんがまた一歩進むと猫は後退ります。お母さんは隙無く相手を鋭く見据えるだけでいっさい声を出しません。対峙したのは1秒か1分か、・・静寂の後お母さんが”ダッ!”と後ろ足を蹴ります。
歴戦猫は、後ろを向いて脱兎のように逃げました。完勝です。
お母さんがこちらを一瞬見て、、、ゆっくり我が家へ帰っていきました。
”寮を守ったよ”感がバリバリ出てましたよ。
”何か俺達仲間だよな”感もモリモリ膨らんでます。
まずいです。害獣に好かれるなんてとってもまずいです。
チキンの骨を捨て、、あげたのはまずかったようです。
ここは、心を鬼にします。見てません。言いません。聞きません。
<さてさて>
俺はとにかく煩悩を抑えダンジョンへ向かった。
今回は受付には行かないでダンジョン直行。
左回りルートで警戒しながら歩く。
いきなり5匹様となってしまった。できれば一匹で試したかったが、自分の都合よくモンスターは現れない。いつでも臨機応変に対処できなければ不測の事態に゙対応できない。
「よし、やるぞ!」パンパンと両手で頬を叩き気合を入れる。
安全靴を脱いでバックパックに入れる。ツナギの裾を膝まで捲る。両足に魔力を膝まで纏う。両足裏にシンバルを作り固くする。そのままスライムに近づき、「ストンピング、ストンピング、ストンピング、ストンピング、ストンピング」と踏み潰す。
10秒位で溶解液が消えると、魔石をマジックハンド(魔力を伸ばして挟んで縮める)で魔石を回収。
「おお、上手くいったな」
15秒で5個回収出来た。
反省点としては、シンバルを少し掠った一匹がこちらにアタックしようとしてきた。スライムのジャンプする前準備中の数秒間に倒せたから良かったが、10匹いたら受けていたかもしれない。
改善点は、腕に長方形の盾を魔力で作り撃退しよう。
いちいち靴を脱ぐのは面倒なので、シンバルだけ引っ込めて足は魔力の靴のまま移動しよう。
この2点かな。
「よし、やるぞ!」スタンピート、スタンピート、スタンピート、スタンピート、スタンピート、スタンピート、スタンピート、スタンピート、・・・・・・・
それから、1時間無言でひたすら狩った。群れが多く、平均5匹くらいで多いときは20匹だった。
もう無双状態だ。2度ほどアタックを受けたが、魔力を固くしただけの盾で防げた。だが、当たるとちょっと凹む。
しかし、ここまで魔力が減る感覚が全く無い。超高密度魔力なんて格好付けて言っていただけなんだけど本当に俺凄いのかも。
いかんいかん、俺にチートなんて無い。慢心が命取りの世界に今はいるんだ。
ただ、スタンピート(足で踏む)の繰り返しは、足にくる。プルプルしてる。
未だ9時半だが、食事しながら対策を考えよう。鮭おにぎりは、毎日食べても飽きないな。
戦果は魔石約100個だった。移動時間が一番馬鹿にならない、足が疲れる。
改善点は、魔力形状記憶を使う事だ。
※詳しくは、「3.今日は登校日」を参照
・背中に魔力を貼り付ける→真っ直ぐの状態で半硬にする。→柔らかくをイメージ→背中を前に屈める→戻れとイメージ→勝手に背中が真っ直ぐになる。
この魔力纏を背中、臀筋、膝に貼り付け、外骨格ロボットのように操作すれば、筋力を殆ど使わないで今の何倍もの力が出せるはずだ。
・足裏に移動時のジャンピングシューズ形状を作り移動する。直線移動するなら充分な機能だ。
この2つを魔力で作れれば、飛躍的に作業効率が上がるはず。
心配なのはツナギだ。魔力纏は服の内側だけだ、溶解液を浴びると予備は一着しか無い。浴びた時点で今日は終了となる。流石に17才DTのショウタくんが真っ裸は無理だ。誰かに見られた時点で人生の終わりを告げる。もうお婿に行けない。
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その後試行錯誤を繰り返しながら、熟練していった。
びよよ~んと移動しながら、”ブシュー”と踏み潰し、魔石を魔力を伸ばして”フョイ”と収穫 これを永遠と繰り返す。
”びよよ~ん、びよよ~ん、”、”ブシュ、ブシュ、ブシュ、ブシュ、”、”フョイフョイフョイフョイ”
”びよよ~ん、びよよ~ん、”、”ブシュ、ブシュ、ブシュ、ブシュ、”、”フョイフョイフョイフョイ”
”びよよ~ん、びよよ~ん、”、”ブシュ、ブシュ、ブシュ、ブシュ、”、”フョイフョイフョイフョイ”
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午後3時頃まで、ひたすらブラックブラック休み無し。
腹巻きポケットが満杯になった。”びよ~ん”とジャンプする度に魔石が落ちそうになる。今度チャック付けよう。
他に折りたたみ用買い物袋チャック付きを3個持ってきたけど満杯になった。本当は汚れ物がでたら袋に入れてバックパックに入れる予定だったんだが、持ってきててほんと助かった。
2000個は超えてるな。
もう限界なので入場ゲートに戻り、200個ほどをコンビニでおにぎりを買ったビニール袋に入れる。
受け付けに行く。受付横には、自動魔石受取機がある。周りから見れないように囲われている。
受付嬢は全無視して、何かゴリゴリと音がするが気にせず中に入る。
探索者カードをかざし、タッチパネルの魔石をタッチすると「魔石を入れて下さい」と画面表示がされる。コンビニビニールからジャラジャラと魔石を入れると計算中の文字が、、、、十秒後に
10クラス魔石212個 不良品0個 106、000円
税引き後入金額 84,800円
XX銀行XX支店 口座番号XXXXXXXXXXX
名義人 イケガミ ショウタ様 振り込みますか
と表示される。探索者は20%の税金が徴収される。
「はい」をタッチすると完了だ。
200個にしたのは、指名依頼でスライムを狩ってくる人が300から400個を納品している記事を見たたので、このくらいなら普通かなと。国家権力持ちの協会は守秘義務と言っているが信用できる訳がない。2000個を一日で狩る奴いたら一生スライム狩りやらされるか、実験動物にされるわ。
とにかく今日は疲れた。スーパー銭湯行こう。ちょっとバブリーなショウタくんだった。
<ショウタくんのお風呂事情>
寮には、ガスが無い。料理は電気だ。鍋で湯を沸かし、大きいタライに入れて温度を調節し入っている。残り湯で洗濯するのが日課だ。
前は週に一度は、父親の知り合いの家で入っていたが、今、娘さんが検査入院中なので行きづらいのだ。
偶には、ゆっくり湯船に入りたいのは日本人のサガではないだろうか。
<それから>
それから5日間スライム狩りを行った。
最早、スライムエクスキューショナーだ。
大きなバッグを何個も抱え出てくる。
全部で15000個になった。700万円超えの資産である。
しかし、どんだけいるんだよ。リポップもあるから正確な数字はわからないけど、万単位だと思う。
はて?、スライム狩りをはじめて受取機に行き来すること3日目あたりだろうか、協会内で「うっき~」とポツポツ聞こえるのだ。協会で猿でも飼ってんのかな?動物飼うのはいいな。癒やされる。
普段殺伐とした職場だし、協会の人って毎日のように死亡通知書いてんだよ。
癒やされたい気持わかるわー。
一番の収穫は、数時間魔力使いっぱなしでも魔力が枯渇しないことだ。超高密度魔力って凄いよね。それでも減った感覚が無いんだけど。まあ、気づいていない可能性の方が大きいけどね。
今後魔石を200個づつ3ヶ月かけて納品する事になる。
ちょっと隠蔽できないかなーという希望です。
これだけで、探索者の義務1年分を余裕で超えている。
この5日間で、魔力纏の能力は飛躍的に成長できた。
ドロドロ魔力だとカッコ悪いんで、こっそり魔力纏に変更しました。小悪党と呼んで下さい。
もうここでやり残したことは無い。
<さてさてここで>
・・ショウタくん自分だけが生きてるわけじゃないんだよ。みんなみんな生きているんだ・・
ショウタくんは、自分はしっかりものだと思っている。本当はヌケサク君なのだ。
ボッチ歴≒学歴の彼には、人が自分に興味を持って見ているという概念が薄い。
ダンジョンから協会施設に入り受付横の自動魔石受取機に行けば誰かがいる。当然施設内に誰もいない訳がない。
その時の彼の状況は、青いツナギ4Lにお腹周りに大量の魔石が腹巻きに入っていて、ほぼ真ん丸なのだ。
後ろの大型リュックもパンパン、両手には花がらのお買い物袋がパンパンになって持たれた状態なのだ。
普通この物体が歩っているのを見て人間に見える人がいたら、眼科か精神科に受診なされることをお勧めする。
これを見たのは、一部の探索者と受付嬢である。
一瞬なのか数秒なのか皆固まっていたが、探索者が受付嬢に聞いた。
「あれは、未来から来たロボットでしょうか」
探索者は天然だった。
受付嬢は、勝手に思いついた持論(妄想)を偉そうに語った。
「あ、あれは、企業が作った魔石回収用自足歩行型ロボットの試作品ね。大手クランがテストしてるのよ。あくまで試作品だと思うわ。だって受取機の入口のドアに引っかかってたでしょう。それに今のままではフォルムがダサダサ過ぎて売り物にならないわ。今は試作だから色々無理やりくっつけてテストしてるって感じね。 あの頑丈さ高重量を運べるとこからみて有名メーカーのポンダかトドタかニィサンかズズキ製ね。それから、話しかけたり、近づいちゃだめよ。ダンジョンを歩けるってことは、完全防御、攻撃機能もついてるでしょうから。試作が誤動作すると何が起こるか分からないし、壊したら損害賠償だけで網走ダンジョン20年奉公は確実よ。裁判しても大手メーカーに揉み消されてすり潰されてゴミ箱にポイだからね」
もう一度言う。受付嬢は、勝手に思いついた持論(妄想)を偉そうに語った。
(電子制御機器はダンジョンで使えないのだ。今の科学力では未だ無理だと思う)
大手クランとは、パーティーが複数集まり事務効率化や適材人員の異動など最適な環境を整え優秀なパーティーを育てるために設立された数百人規模の探索者団体だ。これは立て前で、利益重視の人権無視の㋳集団である。下手に関わるとダンジョン漬けにされ、マジで死ぬまで働かされる。(ショタの知識)
これにより、ダンジョン帰りのショウタくんは、「初号機ー青丸網走20年」と呼ばれ、出会うと生涯不幸な事が起こり続けると密かに都市伝説となった。
出会ってしまった時の対処方法は、見ざる言わざる聞かざるのポーズで目口耳を手で抑え「うっき~」と言うと免れるらしい。
ーーどうやって手で抑えるか挑戦してみようーー(出来ないと出会った時に不幸になるかも)
受取機に入るドアもお腹が引っかかって中々入れない時点でショウタくんは気づくべきだったのだ。
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