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3.今日は登校日

誤字脱字、読みにくい部分を加筆修正致しました。

 おはようございます。俺は、池上翔太 魔法高等学校ーさいたま校ー2年C組 魔法の使えない魔法学校の生徒です。


 今日は、登校日なので顔を洗って半額セールで買ったフランスパンを齧ってます。とっても硬いです。

 俺の住んでいる寮は、学校から5km離れた築50年のオンボロアパートです。

 日本は少子高齢化が進み、尚且つダンジョン騒ぎや化石燃料の枯渇などいろいろあったのであちこちに空き家が在り、そこを学校が買い取って寮にしています。

 この寮の周りは草ぼうぼうで幽霊屋敷のようです。お隣にはアライグマのご家族が住んでて「ギャーギャー」煩いです。

 他は誰もいません。

 ここに住んでるのは、ちょっとした事情と他の住人がいないので気楽だからです。

 移動手段は、魔石スクーターです。親父に入学祝いで買ってもらいました。親の七光り野郎と呼んでください。


 俺は、きっちり家に鍵をかけ(アライグマ対策)、パックの牛乳を飲みながら学校に向かうのだった。

 現代では、主要道路以外は砂利道で水たまりが出来ると歩くのも大変だが、交通事故は見たことがない。

 砂利道を進み、学校の駐車場にスクーターを停め、教室に入ると一番奥の席に座る。この学校では席順はないので空いていれば適当に座って構わない。ただしカースト上位者がいつも座る真ん中やや廊下よりは座りません。ここ大事。

 2年生になると授業は無くなり、週一回月曜日朝9時から2時間のホームルームのようなものが行われるだけだ。

 これは、ここ一週間でダンジョンで起こった情報や魔法使いに関連する問題などを掻い摘んで説明してくれるし、質疑応答もしてくれる。

 将来高校を卒業するとSNSや協会に行かないと情報が穫れなくなる。その準備段階のようなもので社会に慣れるための時間である。それ以外は全て自由なのだが、別にこの時間に出席しなくても落第することはない。

 つまり、学校に来なくても自動的に学校は3年間で卒業となるのだ。これは自由というのだろうか、放任?放し飼いとでも言おうか国は一応訓練する場は用意しましたと得意の体裁整えを行っているだけだ。

 唯一卒業できない人は、仏様のみである。

 この学校に夏休みや冬休みは存在しない。要は来るか来ないかだけで誰も咎める者はいない。自己責任しかない。

 ただ、学校は月曜から金曜まで開いていて剣術、槍術、短剣術、体術、魔法、ダンジョン探索など様々な講義や実習が予約すれば受講できる。図書館や闘技場、プールもなぜか利用可能だ。

 俺は1年生の時に全て受講しているので2年生からは受けることはない。

 俺の喫緊の課題は、攻撃力を上げる方法を見つける事なのだが、未だ糸口が見つからなかったのだが・・・・・。


 2時間のホームルームが終わると、

「よう、ブタショタ 2年なんだから魔法使えるようになっただろ。俺がみてやるからよー」

 こいつは、翔谷大平というウザい奴だ。

「いや、まだ発現してない」

「お前だけだぞ身体強化も発現してないのは。恥ずかしくないのか。俺だったら学校これないよ。普通死んじゃうよなー」

「・・・・・・・」うぜえ。

「おい聞いてんのかよ。このカス、カス、カス、カス、カッス、カッス、カッス、カッス、カッス」

 いつの間にか手拍子まで始める始末。

 こいつも二つ名持ちで、カーストブービーと言われている。みんなは”ブービー”と呼んでいる。

 つまり、一番下が俺で、その1個上が彼というわけである。そのため俺が発現しないかいつも確かめにきているのだ。俺が学校来なくなるとお前が一番ビリになること分かってんのかな?

 ボッコボコにされるとお前死んじゃうぞ。

「仕方ない。俺のガトリングファイヤーを見て勉強しなさい」

 そう言ってダンジョンに誘ってくるんだが当然行く気はない。

 こいつのガトリングファイヤーは、火の玉を連射できる魔法なのだ。ここだけ聞いていると凄い感じがするのだが、火の玉の大きさが問題なのだ。

「ブービー、火の玉大きくなったのか」

「早く聞けよ。まったく遅いんだよ。そうだなー1.2倍ぐらい大きくなったかな」

 なんか嬉しそうだし、こいつ単純なんだよなー。もう少し付き合ってやるか

「ダンジョン内でどうやって大きさ測ったんだい」

「聞いて驚け、慄き我を讃えよ。右手で魔法を放出しながら左手の親指と人差し指で大きさを測り、それをノギスで計測したのだ。ノギスだぞ、これ以上正確な測量はないだろう。ノギスだノギス、判るか?」

 お前、途中 指で測ってんだろ。まあ突っ込むつもりは毛頭ない。カッスハラはヨクアリマセン。

だって、元がマッチの火より小さいんだから誤差の範囲だろ。カッスハラはヨクアリマセン。

 こいつは3年生パーティーに所属している。兄の親友らしいので縁故でのお情けパーティー入りだ。

 パーティー内での立ち位置は、斥候および囮だ。最初に彼が先行して魔物の顔面にガトリングファイヤーを打ち込む (顔以外だと当たっても気づかれない)。”ぷぷぷぷ”という音がなんとかわいいことか。

 女の子からかわいいと言われているのがちょっと羨ましい。(嘘です。全然羨ましくないです)

 モンスターが怒って追いかけてくると、メンバーが待っているエリアに誘い込む。一般的なタゲ取りだ。

そこをメンバーが横から襲いかかるという狩りのような戦法なのだが、ブービーが一番危険な役目(囮)だと気がついてないのだろうか。皆から勇気あるヒーローなどと煽てられているらしいが、このクラスで一番最初に死ぬのお前のような気がしてならないよ。

「ブービー流石だな。お前の時代来たんじゃないか。時間があれば是非参加したいんだが、隣のママさんが産気づいたんで見に行かないとまずいんだよ。また今度ぜひ見させてくれ」

 嘘ではない。隣のアライグマのお腹が大きいのだ。保健所に持って行こうか遠くに捨てるか悩んでいるのだ。早くしないと寮がアライグマに占拠されてしまう。

 昔、クマが街なかに出るから市役所で射殺処分しようとしたら熊は殺すなと批判が殺到した話を聞いたが、このアライグマは誰か引き取ってくれないだろうか?クマだし。

「しかたねーなー、お隣さんは遠くの親戚より大事だしな。今度よっぽど暇があったら見せてやらないでもないぞ。じゃあなーーー」

 こいつは、ほんとチョロイんだよな。ディスってきても不思議と気にならないだよ。


 そして今日はもうひとり来客があった。

「ようショタ」

 こいつは、山本山慶喜だ。通称ヨッシーと呼ばれている。

 彼は中学時代の同級生なのだがあまり親しくはない。(中学からぼっちなので)

 ただ、この前彼のノートを見た時、シールやグッヅがさいたま限定アイドルグループ 

 ”ダ・サイターマ・あざとガールズ” 通称DSAのものだったのだ。

 知り合い(俺にだって知り合いぐらいいるんだよ)がDSAの一人と同級生だったのでコンサートチケットを預かったのだが、自分は行けないので誰かにあげてくれと頼まれていたのだ。それも一番前のS席だったるする。

 ファンでもない人にはちょっとS席は渡せないということで、俺が一肌脱ごうとなったわけだが既に期日が後3日と迫っていたので焦っていたのは事実だ。最悪俺がファンの勉強して頑張るかと覚悟を決めるギリギリだったのだ。

 当然、俺の眼は”キラーン”となってヨッシーにあげたという訳です。

「この前ありがとうな。あんな席で応援できたのは初めてだったから舞い上がっちゃってさー、もう大変だったよ。」

 何が大変なのか、ちょっと何言ってるかわかりません。

「まあ、喜んでくれたらありがたいよ。」

「それからな。グッピーさんから直接話しかけられちゃって、手までニギニギされちゃってさー、結婚してくれって言おとしたら、親衛隊が駆けつけてきて、裏路地に引き込まれてフルボッコされそうになって、逃げて帰ってきたんだ。もうグッピーさん、いやグッピーは俺にメロメロだな。

 おっと忘れるとこだった。グッピーから伝言だ。チケットを貰った方にお伝え下さいって。

 えーと、”無理やり誘ってごめんね。会場の熱気を感じれば元気になると思ったの。ごめんなさい”ってほんと俺って罪作りだよな。伝言まで伝えるほど信頼されてるってことだよな。

 ・

 ・

<その後も10分ぐらい喋っていたけど聞いていないので省略>

 ・

 ・」

 ヨッシーがこんなお喋りだったとは、今の今まで知る気もありませんでした。今後も知る気はありません。

 伝言はあいつに伝えるよ。

ただ言っておくがお前に脈は無いぞ。ていの良い”使いっぱ”だかんな。

 何だか行けそうな気がするーー、ような言い方やめろよな。変な勘違いするとストーカーになるぞ。


 ここで思いも寄らないお返しを貰ってしまった。

 それは、白ヒゲおじさんのチキン8ピースパック無料券2枚だったのだ。

 ちょっと稼ぎの良いお父さんがいないと8ピース2個は無理だろ。ヨッシーの親父稼いでんなー。

 何でも去年のクリスマスに食べようと買っておいたものが台所から出てきたそうだ。当然親には内緒なので即刻処分するようにとのお達しがあった。

 しかしよく見ると有効期限が今週で切れる。普通そんなギリの物渡すか?、1年間の有効期限でだ。それから、親が覚えてるわけがないだろ。

 知り合いの家に持っていこうとしたのだが、来月まで東京の病院へ入院検査でいないため持っていけない。

 これは、理論武装完了ではないか?いや、天が我に味方したのだ。

 みなさんも経験がないだろうか、突然あーら不思議と白ヒゲおじさんのチキンが無性に食いたくなる日が年に数回やってくるのを。

 今回は、天啓によるものだ。完食は必死。2日間かけて美味しくいただきました。しばらく白ひげおじさんが夢に出てきそうだ。クリスマスまではもう良いや。そん時はヨッシーにタカろ。

 ・

 ・

 それから7日が過ぎた。・・・・・出ない。

 何が出ないかって?食ったら出る、当たり前のことだろ。・・・・思わず悪態をついてしまった。クソーー

 ・

 トイレに籠もって1時間ただひたすら踏ん張った。

「フンーーー、ムフンムーーームムムムムムムムムムムムムムムムムムムムムム」

 顔が赤い、汗が垂れる。でも何も来ない。

「カムオーン!ショウヘイカムオーン!ホームランカムオーン!」

 頭の血管が切れそうだ。


 「フンムムム!」 限界とっぱーーー

 

 あれ?あれ?・・・額から何かデロンとした何かが出てる。まままさかここから?”モノホン?”

 いやあり得ない。これは魔力だ。こんな所で出たら、ばっちいだろう。

 そう思って引っ込めるイメージしたら、あ、引っ込んだ。

 トイレを出てもう一度「フンム!」したら額からデロン。

 手からも出るかな?「フンム!」あ、出た。

 ・

 それから、いろいろ試したが、体全体どこでも出るようになった。

 しかし、魔力が戻せるなんて聞いたこと無いぞ。

 ・

 追伸、8日目に無事開通しました。(嫌な事程即報告、ホウレンソウは基本です)

 ・

 それから1周間ただひたすら試していったところ大体の特性は掴んだ。

 ・体中どこでも出し入れ可能。部分的でも全体でも。

 ・全体に出すと1mぐらい出せる。だるまさんみたいになった。服が弾け飛んでマッパになるかと思いきや、意外とブリーフは伸びること発見。緑色の超人ハル君は、だから真っ裸にならないんだ。

 結構疲れるので、訓練が必要。

 ・普通の洋服を貫通して出すことはできない。

 ・部分的に出すと3mはいける。太さにもよる。訓練次第でもっと伸びるかも。

 ・固く出来る。鉄パイプみたいに出来る。硬さは岩を殴ると「ボグ」と音が出ることから木刀のような硬さにはならない。今後鍛錬でもっと硬くなるかは不明。

 硬さを調節できる。真っすぐ伸ばして半分固くするイメージすると曲げてもビヨーンと戻る。

 

 ここで実験結果を一部披露しよう。実験場所はアパート前の雑草の中、

 観客6匹(アライさん2匹増えた)やっぱり捨てれなかった。

 だってチキンの骨美味しそうに食べてるんだもの。

 まず、素手に魔力を纏わせ、グローブの形で硬化させて岩を殴ってみた。

 いくぜ、「スウパー・ウルトラ・マグナムパーーンチ」

 とにかく強そうな言葉を並べ(小二病)強打したがちょっと痛いけど”ボグッ”だけ。

 子鬼程度ならタイマン出来そうです。

 次に金属バットに魔力を纏わせ殴ってみたら金属バットは無傷で岩に傷がついた。よくわからないが威力が少しだけ上がったようだ。

 ・2m以内なら、手の延長線に伸ばし物を挟んで手の中に握ることが出来る。

 魔力魔法だけに本当のマジックハンドだね。

 ・形状記憶ができる。

 背中に魔力を貼り付ける→真っ直ぐの状態で半硬にする。→柔らかくをイメージ→背中を前に屈める→戻れとイメージ→勝手に背中が真っ直ぐになる。

 これ、膝とおしりの筋肉もつけるとお引越し屋さん出来るな。腰痛くないし疲れない。


 ・色を変えられる。全くの透明から赤、白、黄色、黒、緑など頭に色のイメージがあればOK。

 これ、ダンジョンと同じ色にしたらほぼバレないんじゃ無いかな。隠密なんちゃって。

 でも出る時服着てなかったら露出狂で一生後ろ指さされる人生は嫌だ。

 小さい女の子連れのお母さんに「見ちゃいけません」とか目を隠された日には、3度は死ねるわ。


 とにかく、俺の特性が少しわかった。大きな進歩を遂げたと言っていいだろう。

 攻撃力も少しはあるのかな。




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