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14.いざ、駅近ダンジョンへ

誤字脱字修正しました。

 おはようございます。池上翔太 魔法高等学校ーさいたま校ー2年C組 コスプレマニア撃退男です。


 今日は、ショッピングと駅近ダンジョン探索です。


 まず、探索者御用達のお店に行きます。

 朝9時開店です。

「すみませーん」

「おはようございます。どういったご要件でしょうか」

 お姉さんの朝のスマイルは大好物です。綺麗さが3割増です。

「ダンジョン産の巾着下さいーな」

「え?ちょっとお待ち下さい。テンチョーー」

 いきなり店長を呼ばれてしまった。店長がいきなり、

「お客さん、冷やかしじゃないですよね。」

「大丈夫です。有るだけ下さいーな」

「本当に、本当に、冷やかしじゃないんですね!」

 そう言いながらバックヤードへ消えていった。それから暫くお姉さんと店長の倉庫探索が始まった。

 実は、30年前以降ダンジョンの宝箱から稀に巾着袋が出てきた。

 最初はダンジョン産と言うこともあり、物珍しさで買われることもあった。

 当初は100万円したが、黒灰色の小汚い只物を入れる巾着袋をこんな値段で買う人はいなかった。

 協会の買い取り値がどんどん下がっていって5万円まで下がった。協会としても只物を入れるのに宝箱から出てくるのは不自然だと研究者が必死に調べたが、虫がわかないカビない袋としか分からなかった。

 しかし、宝箱産をカス認定してしまうと探索者の意欲が損なわれるし、有用な使い道が後で分かったら取り返しがつかないし、捨てた後に有用だと分かると責任問題になる。それでむりやりショップに5万円で引き取らせ10万円で売っている商品なのだ。誰も買わないけど。日本人らしいですね。

「はー、はー、買わないは、許さないよ。はー、はー、買わなかったら出禁だからね!」

 店長とお姉さんが窓口に帰ってきた。頭には蜘蛛の巣、肩には何年ものか分からない埃が溜まっていた。数は12個だった。ラッキー。

 120万円をカードで一括払いしたら店長さんがいらぬことを聞いてきた。

「君は、これを何に使うつもりなの」(頭に蜘蛛の巣付けてるからカッコよくない)


 ここで俺は、想定問答集から模範解答を導き出す。


「僕ん家お金持ちだから、おもしろいもの集めてんの。誰も欲しがらないシリーズだよ。だーれも欲しがらない物をだーれも欲しがらない物にいれれば、ほーら、だーれもだーれも欲しがらない物になるんだ。そしたらだーれも見たことのない物になるんだよ。アートだよアート。展覧会の時はお呼びするよ」

 そりゃ誰も見たくないんだから見たこと無いし、見るわけないわ。

 ふふ、これで不審には思うまい。策士、策士。

 お店の人達の目は既に点になっていた。

 それからこのお店の対応が俺だけ絶対店長呼びになった。

 別の意味で不審者となった事は言うまでもない。


 さて、まずは裏路地に入り、買ってきた巾着を取り出す。

 巾着の入れ口の紐をきゅっと絞ると紐がだらーんと伸びる。この先に100円ショップで買った名札タグを付ける。

 そして、お腹のマジックバッグに巾着を入れる。

 お分かりだろうか、マジックバックには、ダンジョン産の物しか入らない。つまり地球産のタグは入らない。よってマジックバックの入口でタグだけが残っている。

 3センチ程度のタグならスーツのベルドの下になってブラブラしない。

 このタグを引っ張ると巾着が出てくるのだ。

 この巾着の特徴は2つある。

 1つ目は、マジックバッグに入れて出すとゴムのようにびよ〜んと伸びるようになる。説明記憶では3mの槍や大盾が一袋で入れられるとある。

 今は、剣と盾しか入ってないので、手を入れて捜せば見つかるが、物が多くなると手探りで”えーと、えーと”状態になってしまう。刃物むき出しの物入れたら指切っちゃうよ。

 2つ目が、中の物は、ダンジョン物質の制限を受けない。つまり地球の物が入ると言うわけ。

 つまりこの巾着は、マジックバックの整理アイテムだったのだ。

 取説には、滅多に宝箱から巾着は出ないとなっていたが、滅多でも誰も見向きもしなければ沢山あることになる。つまり俺は相当の量をマジックバックに入れられる。

 巾着に剣と槍を入れ、仕舞ってみると簡単にスルッと入った。武器類は見ないでも即取り出せるようちょっと大きく分厚い星形タグにした。

 確認は取れたので、全国のショップから少しづつ取り寄せよう。この時代、当然お店はネットショップも併設している。

 え?そんなに買ったら、お腹がタグだらけになっちゃうって?その時は、巾着に巾着を紐付けて、芋づる式に吊るす予定です。ちょっと面倒くさいけど、あまり使用頻度が少ないものはこれでいいと思います。

 マジックバッグの中は、時間と空間が曖昧なので、劣化しません。

 鮮度抜群の冷蔵庫です。


 ショッピングが終わってマジックバックの検証もできたので、ダンジョンへ向かいます。


<ダンジョンへ>

 学校近くの駅前ダンジョンに来ています。

 最早、バックパックは必要なくなりました。

 手ぶらでダンジョンです。青ツナギとヘルメットを被ってますが、内側に手甲、スーツ、ブーツは装備してます。ダンジョンは何かあるか分からないからね。

 駅前だけあって、人が沢山います。ちょっと酔いそうです。

 1層の入口から左右2km位を探ります。

 今何をしているかというと、ショートカットゲートを探しています。

 壁を手当たり次第にぺたぺた触る。

 あった、あった。⑥と⑪の文字が浮かびあがる。

 ここで、ある仮説の検証をしたいため来たのだ。ゲートキーパーを倒していない別のダンジョンでもショートカット出来るかだ。

 ゲートキーパー戦をして、ふと思ったのが、このダンジョン攻略は、奥に奥に行って欲しいから便利アイテムで成長できるようになっているのではと。

 だったら、いっぱいあるダンジョンが全て弱い魔物からスタートし、皆が別のものを目指すのも有りかも知れないけど、それだったら色々なダンジョンを回ると成長するようにするはずだ。

 それと、ほぼ一斉にダンジョンが全世界に出来たのは、一つの点から放射線状に広がったともみれる。

 そう考えると、ダンジョン創生者は、奥に来て欲しい。ゲートキーパーが倒せたなら何処に言っても同ランクと思うはずだと予想した。

 であれば、創生者は、踏破能力があれば、何処でも同ランクのダンジョン攻略をしてもいいし、探索者にとって効率がいい場所を選ぶほうが最適に成長して行くと思うだろう。

 ソロのときだけ、向上アイテムが享受できる。

 つまり、ダンジョン創生者は、早く踏破して欲しい。それも一人の力で。よって一人の強き英雄を必要としている。

 これが、ダンジョンの意志だと仮説を立てている。


 でも、誰も信じてくれないだろうな。


 魔力を流し⑥層へ、壁をタッチ⑪と①が出てくる。⑪層へ行く、⑥のみ出てくる。

 マジックバックもそうだけどショートカットも微妙に面倒くさいんだよ。

 1から6、6から1か11つまり直近の上下にしかショートカット出来ないから、1層から31層行くのに6,11,21,31と4回ショートカットしなければならない。無いよりめっちゃ便利だけど。

 ラノベだったら頭にメニューが浮かんで無限に入るインベントリーとか、ショートカットも行きたい所をイメージすれば行けてしまうとか親切設計だよね。


 仮説検証は終わったので、ダンジョンを出る。


<あれあれ?>

 ダンジョンを出ると、お馴染みさん達がいた。

「おい、ブタショタ。この前、屋上に来なかったな。お偉くなったもんだな」

 こいつは、カースト上位パーティーでタンクのハーゲだ。(名前は知らない。自称角刈と言っている)

 中学まで柔道部にいて、インハイまで行ったらしい。(俺にヘッドロックしながら喋っていた)

 首を締められて、落とされたり、肩関節は外されたりしたことは何度もあった。


「へへへ、ダンジョン入っから追っかけようと思ったら、もう出てくるなんて根性ない子ちゃんかい。鍛えないといけないなー、同級生だし手伝ってあげるぜー」

 こいつは、カースト上位パーティーで斥候・遊撃のリーゼント。(名前は知らない)

 陰湿で、偶に千枚通しで太ももを刺したり、メリケンサックで脇腹を狙ってくる。


「おいおい、屋上訓練に来ないと強くならないよ。しょうがない、ここは一肌脱ごう。

 皆、どうだい今日は彼のために一緒にダンジョン行ってあげるっていうのは」

 こいつは、カースト上位パーティーリーダーでメインアタッカーのロン毛だ。(名前は知らない)

 こいつは、腹をしつこく狙ってくる。死にそうになったのは、2度3度ではない。一番危ない奴だ。

 親父が市会議員で、いろいろ、揉み揉み消し消ししてるらしい。

 暴行事件、婦女暴行は当たり前のクズだ。学生でも生きていて世のためになるとは思えない。


「「さんせー」」

 こいつらは、ピンクちゃんとパープルちゃん。後衛の遠距離魔法使いらしい。(雰囲気そうかな)

 二人共、必要に顔と男の子の急所を狙ってくる。顔は、まあまあ可愛い部類だろう。(興味ない)

 誰が見てもロン毛とできてんだろうなと下衆の勘繰り。

 とにかくこの5人は、俺を執拗にいじめてくる。

 この1年間、それ以外にも色々あり過ぎて書ききれない。

 5人の繋がりは中学の時からで、ロン毛が中心になって悪さしていたらしい。


 俺を囲んでダンジョンに向かおうとする。

「悪いんだけど、面倒くさいから構わないでくれる」

 ロン毛が耳元で、

「お前、ほんとに分かってないな。お前はペット、俺達のサンドバックな。付いてこないと二度と歩けないよう手足切り落とすからな。分かってんのか不能野郎。お前なんかこの世に生きていても何の役にも立たないクズなんだよ。だから俺達が有効活用してやってんだぞ。」

 と「ぺっ」と唾を吐きかける。

 不能ではないのだが、あ、不能魔法野郎って意味か。納得納得。

 後ろからハーゲが剣の柄で押してくる。

 しょうがない付き合うか。”はー”とため息しか出てこない。


 入場ゲートに差し掛かりパスをタッチしようとすると、ロン毛とハーゲが俺を囲み、リーゼントに腕を持たれて阻止された。

 ははーん、俺は自他ともに認めるチビだ。ロン毛達がカメラの映りを妨害し、リーゼントが入場記録をさせない。

 つまり”やり”に来たってことか。遂に一線を越えようって訳だ。学校の同級生で死亡事故はまだ無い。

 ・

 ・てくてく

 ・

 何とか3層まで連れてこられた。全員”はーはー”言ってるよ。鍛え方がお子ちゃまだ。

 探索者が通りかかると、俺を隠して見えなくしているのが良く分かる。

 ご苦労様なことですな。

 眼の前が5m程度の浅い崖になっていた。左方10m先に人間がなんとかよじ登れそうな所があった。

 下には5体のゴブリンがいた。

「はーはー、そこで待ってろ」

 ハーゲが、ドラのようなシンバルのような物を取り出し、”カッシャン、カッシャン、カッシャン”と何度も何度も鳴らしだした。30m先から新たなゴブリンが3体走ってくる。50m先からも5体走ってくる。

 崖の下で13体のゴブリンがジャンプしながら「キーキー」威嚇してくる。

 子鬼なので登れないようだ。


 ロン毛が青銅剣を抜いて、俺に近づき、剣を腹に向けた。後20cmで刺される位置だ。

「飛び降りろよ」

 ニヤニヤしながら言ってくる。他のメンバーもニヤニヤが止まらないようだ。

 君たちのお陰で、悪意を持ったやつを見分けられるようになったよ。ありがとうな。

「や、やめてくれー、ここ降りたら死んじゃうよー」(結構演技力あるな)

「ははは、何を言ってるんだ。これは訓練だよ。剣も持ってないでここに来たのは君の不手際、ダンジョンに待ったはないんだ。僕達は見届けてあげるから頑張って、ほら!行けよ!」

 ロン毛は、真っ直ぐ腹を刺しに来た。脅しかな。

 俺は、剣の先を親指と人差し指で挟み、軽く後ろに引っ張った。

 彼は、すれ違いにもんどり打ちながら、崖下に落ちていった。

「あーーーーー」”グシャッ”

 あ、剣忘れてる。剣ないのは不手際だって言ってたな。

 下を覗いてみると、ゴブリンにタコ殴りにされてる。”ドスドス”腹を蹴られたり”ガブガブ”太ももあたりを噛まれてる。早く立たないと素敵なお顔が取り返しつかなくなるよ。

「だゃずげでぇ」聞き取れないな。ゴブリン語かな。


 覗き込んでいたハーゲとリーゼントの二人が目配せして斬り掛かってきた。

「てめー、何しやがる!」「生かしちゃおけねー」

 左側、上段からの斬り降ろしをし掛かけてきたハーゲ、正面、中段から刺しに来たリーゼント。

 良い連携だね。ただ、遅すぎて蚊が3周回ってからお泊まりするよ。

 両方の剣を左右の親指、人差し指で挟み、後ろに”軽~く”引っ張る。

「あぎゃーーーーーー」「ふごーーーーー」皆さん落ちる時オリジナリティーがありますね。

 リーゼントの空中で手足ばらばらにバタバタするのかっこいい。絶対しないけど。

 あ、また剣忘れていったよ。もう俺が取ったみたいになってるじゃんか、俺引っ張た後離してるのに何で手の平開いちゃうんだろ。やっぱり剣いらないんだ。

 あいつら、身体強化出来ないの?そしたら齧られないのに。

 そう言えばロン毛がダンジョンに待ったは無いって言ってたな。勉強になるわー。

 青い顔でこちらを見ていた二人は、目配せして、無言でファイアーボールとアイスニードルを撃ってきた。

 何?遊んでるの?コスプレマニアだってもっともーっと早かったぞ。

 技を見せる気もないので、ひょいっとステップで避ける。

 二人の眼の前で、”ニカっ”と笑い、襟首掴んでダブル巴投げ。

「あーれー」「ひやーー」と叫びながら放物線を描いて崖下に落ちていった。


 下を覗くとロン毛が動かなくなってる。顔は誰だろ頬肉齧られて分かんねーわ。

 左手全部無くなってる。あれじゃ生えてこないな。探索者は指の付け根まであれば生えてくる。

 手首まで無いのは無理だと授業で習った。

 俺は、崖下に飛び降り、ロン毛に近づきざま、齧ってる子鬼にヤクザキック。

 顔殴ってる子鬼の頭に、サッカーボールキック。二体とも霧になる。

 リーゼントの毛を毟ってる奴はちょっとそのまま。

 ちょっと、男の急所齧るの辞めようよ。こっちまでシュンってなっちゃうでしょ。子鬼の胴体にかかとキック。

 ハーゲも顔を中心に見られたもんじゃない。くっついてる2体を蹴り飛ばした。

 パープルちゃんとピンクちゃんは、腕がぐちゃぐちゃ、顔がお皿数えちゃう人みたいになってる。(ちょっと古過ぎるか、いちま〜い、にま〜い)

 取りあえず子鬼は倒す。ピンクちゃんにキスしてる奴がいて、見守ろうかと思ったら齧ってた。

 この世界の子鬼は、女性を孕ませるために襲ったりしない。

 男女平等、とにかく襲ってくる。

 ショウタも男女平等で女性に甘くする事はない。敵対するものは全て敵だ。

 鎧とか着てると胴体は損傷が少ないけど、手足、頭、顔、太ももが重点的に攻撃されている。

 あ、忘れてた。リーゼントの毛むしりゴブ倒さないと。倒したけど毟り取られて頭に歯型が付いてる。

 仕方がないので、崖上まで全員を一人一人運ぶ。

 全員息はしているので、生きている。本当、探索者は丈夫でござる。

 ロン毛が瀕死なのに目を開けている。

「今度、絡んできたら・・・・・わかるよね」

 彼は、目からケチャップを流しながら震えていた。

 俺は、青いツナギを脱ぎ、シンバルを鳴らし続けた。

 おじさんパーティーがこちらに近づいてくる。

 シンバルをハーゲに握らせ、擬態しながらその場を去った。


 出口のゲートをマスクをして茶色の壁面の色に擬態し、かかとのインパクトを使ってぴょ~んと飛び出した。あまり解像度が良くないカメラなので何か画面がおかしくなったくらいしか分からないはず。


 やっぱり、ちょっと人を殺めるのは、良くない。

 ギリギリなら倒すが、力量差が違いすぎるのは、弱いものいじめ。彼奴等と同類にされるのは御免被りたい。

 自分もぎりぎり生きてたし、また仕掛けてくれば容赦はしないが。


 俺はスクーターで家路に着いた。



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