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12/21

12.いざ、知り合いの家

誤字脱字、読みにくい表現を加筆修正いたしました。

 おはようございます。池上翔太 魔法高等学校ーさいたま校ー2年C組 暫く豚肉が食べれない男です。


 今日は、学校の帰りにショッピングそして夕方に知り合いの家へ行きます。

 朝寝坊しました。途中のコンビニでスワンドイッチとコーヒー牛乳を買います。カツサンドです。

 お金には困っていないが、初心を忘れません、今日はご褒美の日です、特別です。


<さてさて>

 学校です。

 トピックスは、サイタマダンジョンで、新種の魔物が発見されたそうです。名前はプレブッチャーと呼ばれ、岩山なら岩に擬態し草原では草に擬態するそうです。

 10層以下で出現が確認されている。オークが近づくだけでミンチになるという化け物だそうだ。相当強い魔物らしく、人が接敵したらどうなるか判断できない。移動速度がゲキヤバに早いらしく、一瞬でいなくなるらしい。

 今までの遭難者(帰ってこない人をそう呼ぶ)がこの化け物にやられたのかは、不明。一瞬でミンチにするからわからないが、多数いるのではないかと予想されている。発見者は多数にのぼるため信憑性に問題はなく、確実に存在するそうだ。

 今まで過去に誰も見たことがないし超強いことは間違いないので、31層以降の魔物のイレギュラー(特異点)ではないかという説の信憑性が高いと協会はみている。世界での目撃例は無いそうだ。

 今後、上級探索者が出現したダンジョンを中心に大規模人数で調査をするそうなので情報があるものは、近くのダンジョン協会に連絡するようにとのことだった。

 怖えー、なんだよやっと10層のゲートキーパーまで来たのに。こんなのに出会ったらプチッで終わりだぞ。擬態して見つからないよう注意しよっと。


 ※プレブッチャー命名秘話ー(読み飛ばしても問題ありません)

 ショウタは、人に注目される事が無い、つまりいつも無視されるため基本見ていない。

 自分を見る人はいないと気にしていないのだ。

 ここ数日ショウタが狩りをしている時は、フードも被っている。擬態しながら高速で狩っている。

 これを近くで見たパーティーがいた。

 A氏:何だあれ、岩の表面が動いているぞ。全身擬態してるんだろうな。カリフォルニア知事の映画で、なんだったかなプレ、プレイボーイだったかな。なんか違うな。

 B氏:ブタ男が全部ミンチになってる。こりゃー屠殺人か。

 ううーんと二人が一緒に声を発した。

「プレ「ブッチャー」デター」

 C氏:プレブッチャー出たーと理解し、プレブッチャー出たの?と2人に聞いた。

 A氏B氏は、C氏が言うのだからきっとそうなんだと、自分が知らなかったなんて言いづらい。

 ああー、と生返事をした。大人の対応というやつだ。

 それ以来、パーティーの人が吹聴したことでこの名前になった。

 後に、語源を辿ったが、誰も言っていないという。これは、ダンジョンから聞こえたのではと噂が広まった。プレブッチャーは亡くなった探索者の亡霊では、だから仲間のはずのモンスターを狩っているのではとの憶測も広まり、ゴースト系の魔物との噂も広まった。こうやって都市伝説は生まれるのだ。


<さてさて>

 探索者御用達のお店で消耗品を買い、人が並ぶケーキ屋さんでおいしいシュークリームを買う。

 おいしいって説明になっていないとお嘆きの貴兄に、高級品を食べたことのないショウタに美食家のコメントはない、人から聞いた”おいしいよ”しか知らないのだ。

 知り合いの家から、今回お呼ばれされる事になったのは、ひとつ年下の娘の真美ちゃんからのメールだ。

 今まで病院に検査入院していた彼女が帰ってきたのだ。

 高校に入ってから(家がなくなってとも言う)彼女が入院するまでは、毎週月曜日に夕飯とお風呂にお呼ばれしていたのだ。

 知り合いとは、親父の悪友の家で、物心が付いた時には一緒に遊んでいた子なのだ。

 1週間前からメールを送っていたらしい。ここの所ダンジョン探索でスマホを見ていなかったら電池が切れていた。

 なぜ1週間前らしいと言ったのかというと、数百通のメールが着ていて最後を見るとそう書いてあったから。はっきり言ってストーカーなのだ。ちょっと何かあると電話してくる。通報案件だぞと言いたくなる。それで今週は行くと電話したのだ。

 当然一緒にお風呂にも入った(4歳)し、結婚の約束もした(4歳の時)。

 彼女は、美しく育った。誰が何と言おうと綺麗だ。


<おひさしぶりぶりです>

 ”ピンポーン”「はーい、開いてるよ」

「ガチャ、池上翔太です お久しぶりです」

 車椅子に座った彼女が人差し指を自分に向けて”くいっ、くいっ”と”おら、こっち来い”と。

 顔を近づけると抱きつかれる。

 ”クンクン”と嗅ぎながら、「ショタ、遅いよ」とずーと抱きつく。

 いい匂いだと言いたいが、湿布の匂いで分からない。

「ああ、久しぶり」

「真美、離してあげなさい。翔太君の首とれちゃうよ」

 彼女の車椅子を押し、テーブルの前に移動する。俺は、対面の椅子に座った。

 お母さんが、「ごめんね。真美が入院してたから家にいなくて。元気だった?」

「ええ、おかげさまで、高校も2年生になったので、ダンジョン探索を始めまして何とかやれてます」

 真美が、テーブルの上に手を出し、パタパタと叩く、いつものように彼女の手を優しく握る。

「ねえ、ねえ、ダンジョンってモンスター出るんでしょ。ショタだったらバッタバッタとやっつけちゃうんでしょ」

「いや、ひと月ふた月でそこまで強くないよ。初心者、初心者。それよりシュークリーム食べよう。駅前で並んでるやつだから美味しいよ」

 彼女の瞼は閉じられている。誰も見ることは無い。

「今度、連れってって、ショタいいでしょ。そしてカフェでコーヒー飲んで帰ろ」

「ああ、今度な。今ダンジョンで忙しいんだ。下っ端だから中々時間取れなくて」

 嘘だ、ただ時間が惜しい。

「いいよ、いつだって待ってるから」

 屈託のないかわいい笑顔は、誰も疑わない。

 でも知っている。彼女の容態は、決して良くない。

 だから俺は、俺には時間がない。

 ・

 彼女との付き合いを説明するには、小学6年から遡って説明するしか無い。

 小学生の頃、俺は普通の体型、普通の身長(ちょっと小さいかな)で、普通の平凡な子どもだった。

 真美とは、毎日のように遊んでいたわけではないが、親の関係もあり、ちょくちょくは一緒に遊んでいた。その頃、女の子と遊ぶのはちょっと憚れる年齢になっていたし、みんなが誰が好きだとか言い出すようになってからは、恥ずかしいのかテレてるのか何となく合わないようにしていたんだと思う。

 体がちょっと触れても「やめろよ」と遠ざけていた事もあった。

 でも彼女は、しつこくしつこく絡んできた。俺は本当は嫌いじゃなかったし実は嬉しかった。本当は、段々感触が柔らかくなって、甘くいい匂いがして、ずっと一緒にいたいと。でも学校でみんなで話していると真美を好きなんじゃないかとからかって来る奴がいて、心にもなく「好きじゃないよ」と言ったら真美にチクられて、でも真美は、「私は好きだよショタのこと、結婚するし」とどんなに揶揄われても曲げなかった。

 なぜ彼女はショタと呼ぶかというと、3,4歳のころなんてショウタって発音できなかったからずっと俺はショタと呼ばれている。

 ”結婚する” 俺は、その言葉が今でも忘れていない。小学5年生は意外とオトナだ。意味が分からない訳ない。俺も小6だ 大人ほどではないがそれなりに教わって知っている。


 そんな、ふわふわした感覚のまま中学入学となった。

 御存知の通りめでたく探索者となる事が決定した。

 俺の母親は、真面目でとっても俺を愛してくれたと思う。いつも俺のことを一番に考えて、何かあったら即駆けつけて、パートの仕事だって忙しいだろうに、本当に大好きな母さん。

 だけど、俺が、探索者になる事になった時、もう荒れた荒れた。

 母さんは、警察、病院、市役所、県庁、国にまで電話をかけまくった。

 どこもかしこも門前払い。お役所なんて「法律で決められた事ですから」の一点張りだ。

 いつの間にか仕事も辞め、ネットも海外まで調べて、とにかく化粧もせずひたすら調べまくり家族会議が開かれた。

 開口一番、母親が「ツバルに亡命する」と言い出した時には、父親が本気で止めていた。

 ツバルって何処の国だよ。ここにはダンジョンが無いのでそんな法律は存在しないとのこと。別の意味で生存確率はどうなのよと言いたくなる。

 母親曰く、日本において翔太が生き残る事は無理とのこと。

 いやいや、さすがに確率ゼロはないでしょう。中1の俺だって、生きてる人知ってるし。

 父さんと俺自身に反対されて、本当に真面目な母さんは、おかしくなっていった。

 その前から、いろいろ調べているうちに、世紀末教みたいな宗教関係者と話すようになった。家にも良く来ていた。入信者の殆どが息子、娘が亡くなられた方が大半を占める。その人達の話をずっと聞いていたんだろう。1億人いたら探索者になるのは数%、数百万人いることになる。

 お亡くなりになる方もその半分はいるわけだ。その関係者はとなると大変な数になる。

 洗脳と言うか実体験を聞かされたらおかしいというより事実だからどうしようも出来ない。

 そのうち家に祭壇を作り始めて、流石に父さんも切れた。滅多に怒らない父親が「生きてる人間を死人扱いするな」と怒鳴りつけてから、母さんは、家に殆ど帰らず、どっかに行ってしまった。偶に帰ると「貴方の魂は、来世で報われるから大丈夫」と"ニコ”と笑うんだけど、焦点が定まっていなくて正直怖かった。


 そんな時、1年経って真美が探索者検査にダンジョンへ行く日になった。

 毎回300人近くがダンジョンに入り覚醒検査を受けるんだけど、間が悪いというのか運がないというのかこの日に限って、末世思考の過激宗教団体がダンジョンを爆破した。爆破といっても内側では爆発しないので、山を崩して入口を塞ぐため山自体を外から爆破した。

 その時、ちょうどダンジョン入口付近にいた真美が巻き込まれた。

 今では、ダンジョンの入口周辺も警備体制が強化されたけど、その当時は入口の門番程度だったのでその人達も巻き込まれた。

 何人か亡くなられた。真美は一命を取り止めたのだが、岩が腰、足に当たり一生歩けなくなった。その時の衝撃で視神経が切れたのか目も見れなくなった。


 家の方も母親が変な護符を買ったり、いろいろな人が出入りするようになり、父親がもうさすがに限界を迎え離婚することになった。親権は父親になった、俺が父が絶対と家庭裁判所で訴えた。

 中学も3年だった俺は、父親と今後のことを話し合った。

 家には、離婚した今でも母親が教団の人を連れてやって来る。母親を今だって嫌いじゃないんだ。中々追い返しにくい。でも「息子の所に行けば、幸せに暮らせるよ」と言ってくる信者の人もいる。ダンジョン行く前にこの人たちに何されるか心配だったよ。

 普通の父さんってどういう人なのか良く知らないが、あまり子煩悩では無い気がする。でも小さな会社だけど一生懸命仕事して、仕事が上手くいくと嬉しそうに話す父親が何か自分も誇らしくて、俺達のために給料もらってきて嫌なことも沢山あるだろうに愚痴も言わず(ちょっとは言うけど)頑張ってくれたから今まで俺は生きてこれたんだなとは思う。だから父さんは嫌いじゃないし、父さんにとっても滅茶苦茶な人生になっちゃったけどまだ若いし、幸せになってもらいたい。

 ここにいたらみんなが駄目になると思ったから、この家を出て、父親は別の遠くの街に、俺は魔法高校でも見つかり難い辺鄙な寮に行くことにしたんだ。

 信者の方に探索行く時「いつお迎えが」なんて言われたら気が狂いそうだ。

 父さんは、今でも毎月仕送りするとメールで「元気か」と聞いてくる。

「元気だよ、父さんもいい人見つけたら紹介して」と返す。

 もう、仕送りは必要ないんだけど、なんか絆が切れそうで言い出せない。めめしいかな。


 それから、中学時代いじめはなかったって言ったけど本当は結構殴られたり、教科書隠されたり、下駄箱の靴隠されたりした、その他にも事ある毎に何かされた。だけどこんな家庭環境で親呼べないよ。子どもって、やり返さない相手に容赦ないから、どんどんエスカレートするんだ。

 よく、「いじめなんて辞めなさい」って言うけど、いじめられている側から見ると偽善者にしか見えない。いじめを取り締まったって、いじめが見つかればみんなにバレない新たないじめ方を見つけるんだ。競争化社会で子供の時から優劣を決めるのを義務付けてるんだから蹴落とすのは当たり前だよ。いい学校へなんて最たるものだ。

 でも、本当にいじめられている子は、いじめられない方法やいじめられた時の知恵を教えて欲しいんだと思う。社会に出たってそんな事は日常にあるし、競争社会を辞めたらみんな向上心や未来、未知の事を考えるなんて出来やしない。他の国の属国になるよ。

 いじめられたのは、あいつらが悪いから、先生が何もしないから、だから俺は何も出来なかったんだ。いじめる奴なんて許せないけど、腸が煮えくり返るほど相手にやり返したいと思うけど。

 でもね、そんな人間に俺はなりたくないんだ。俺は、世界で大リーガーになった人みたいになりたいなんて思ってないよ。俺がなりたいのは、平凡で、きっとみんな思っているようなことなんだけど、良く説明できない。


<さてさて>

 真美ちゃんも高校一年生、今は盲学校に通っているんだけど、未だ出席できない。

 あれから4年病状はどんどん進み、オバさんの話だとこのまま学校に行けないかも知れないと言っていた。

 特に腰の損傷が酷く、今も病院に通っていて内蔵も関係していて、だいぶ衰弱しているのが素人目にも分かってしまう。

 彼女は、中学2年から「結婚しよう」と言わなくなった。

 代わりに「いい人紹介しようか」と言ってくる。

 俺は何も言えない。彼女が視力を失ってから、身長は伸びず、ぷに丸になった今、彼女以外に誰にも相手にされないし、相手にされたもくない。


 きっと彼女だって目が見えたら・・・・・・きっと俺のこと・・・


 俺は、許さない。

 絶対に許さない。

 絶対に見つけてやる。

 絶対に元の姿に戻してやる。

 だって、俺には・・・・・・

 だから時間がない。

 会いたくても会いたくてもダンジョンに潜る。そう決めたんだ中学2年の時。

 それからいじめなんて考えなくなった。いじめをどうやって生き延びるかだ。

 ダンジョン行くことだけが生きがいになった。


 ※翔太君がなぜダンジョンに潜るのかは、攻略したいからじゃない。有名になりたいからじゃない。

 ダンジョン協会からの記事には、宝箱から緑のポーションが発見された記載がある。

 それには、一般の人が体の機能が回復し、歩けるようになったり、交通事故で目が見えなくなった人が治った記事があった。別にダンジョンでなくともその効能は変わらない。瓶はその場で消えるそうだ。


 ただし、日本で見つかったのは、30年間で4本。

 発見された階層は、25層から31層。

 見つけた場合は、国が買い取る事が義務付けられていて、勝手に転売、使用は重罪になる。

 必ずオークションに掛けられる。今までの落札価格が10億以下はない。

 こんなの大金持ちしか買えない。


 もう一つは、エリクサーだ。別名虹色のポーション。

 ただし、世界で見つかったのは、30年間で1本。

 アメリカの探索者が、31層で見つけた。

 ただ、探索中、仲間が足を食い千切られる事態が発生した。出血多量で失血死する寸前だった。リーダーは効能不明だがこのポーションを飲ませた。賭けに出たのだ。

 飲んだ瞬間全身が光だし足が生えてきたのだ。

 彼の古傷も、ヘルニアも全部なくなった。

 これは、記事にはなったが、正式に認定されていない。だって瓶もないし何も証拠がないから。

 協会は眉唾ものだと言っているが、みんな信じている。だって探索者やってたら信じたいから。


 そう、このポーションをこっそり持ち帰る事がショウタの目標なのだ。それもあと僅かの時のあいだに。



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